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自衛官人権裁判の現況

◆護衛艦「さわぎり」いじめ自殺事件訴訟
99.11.8 佐世保基地の自衛艦「さわぎり」艦内でA三海曹(21歳)が上司らのいじ
     めを苦に自殺。
01. 6.7 長崎地裁佐世保支部に両親が息子の名誉回復と再発防止を求め提訴。
05.6.27 長崎地裁の一審判決、ある程度の厳しい指導はやむを得ないと請求却下。
05.7.11 福岡高裁に控訴 
08.8.25 高裁は国に損害賠償350万円支払い命令。先輩・同僚らは鬱病に気づいてお
     り、適切に報告されなかったとし、いじめと自殺の因果関係を認めた。
     防衛庁は上告を断念して勝訴確定。

◆女性自衛官人権裁判
07.5.8 北海道空自基地庶務部勤務の女性自衛官(空士長、当時20歳)は06年9月 
     頃、A三空曹にボイラー室へ呼び出しをうけ酒を飲まされ暴行・強制わい
     せつを受ける。後日上司らに相談するが、かえって退職を迫られる。
     やむなく父親や弁護士と相談し札幌地裁に提訴。ごたごたで体調崩し病とな
     りこれら損害1100万円を請求。
10.7.29 札幌地裁の判決、580万円の損害支払いを命令。国側控訴を断念し勝訴。

◆護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺訴訟
04.10.27 横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」乗組一等海士が、隊内のいじめが原因で
     京浜急行に飛び込み自殺(21歳)バッグから遺書みつかる。
     いじめの元上司二等海曹は逮捕、05.1月、懲役2年6月執行猶予4年の判決。
06.4.5  両親が国と元上司を相手に横浜地裁に提訴、慰謝料など1億3千万円を請求
11.1.26 横浜地裁は元上司の言動と国の監督責任を認め、440万円の支払い判決。
     一方「自殺は予見できなかった」として損害の請求は認めず。これに対し
     て母親らは控訴するとしている。

◆空自浜松基地人権裁判
05.11.13 空自浜松基地のS三空曹が、先輩のNに「指導」を口実に強要、暴言の 
     パワーハラスメントをうけ鬱となり自殺する。
     (N二空曹は五日間の停職処分のみ)。
08.4.14  両親と妻、生後四ヶ月の長男ら遺族が浜松地裁に事件の真相求め提訴。
11.7.11  浜松地裁の判決予定。(提訴以来21回の弁論)

◆「命の滴」裁判(自衛官訓練中暴行死事件)
06.11.21 陸自真駒内基地で自衛官島袋英吉氏(沖縄出身、20歳)が徒手格闘訓練
     中に投げ技で頭部を強打し死亡。自衛隊側は公務災害として処理した。
10.8.3  しかし、なぜ畳の上でなく体育館か、頭部強打というが肋骨が折れ内蔵
     損傷なのか、情報開示資料は肝心なところが黒塗り、など不審なところ
     多く、両親は札幌地裁に真相と国賠を求め提訴した。
    *組織ぐるみ隠蔽のおそれもあるこの裁判は、7月8日第5回弁論を迎える。
     なお遺族は09年に真相解明のための『命の雫』(文芸社)を出版した。

◆陸自朝霞基地・少年自衛官自殺事件
07.11.19 少年A(19歳)は同年3月に高校を卒業し入隊。教育訓練の後東部方面隊輸
     送隊に配属される。同年8月頃、母親や教官に「除隊したい」「美容師専
     門学校にいきたい」など告げる。母親へは10月には除隊できると告げてい
    たが、その間入院治療や上官による殴打暴行などがあった。結局除隊の引
   き延ばしにたえきれず、11月19日朝霞駐屯地通路で自殺が発見された。
08.4月  少年A隊員に暴行を加えたS隊員は、さいたま簡易裁判所おいて暴行罪・
     罰金刑となる。
10.7月  少年の除隊引き延ばしに加え暴行を受けるなど精神的負担のため精神障害
     を発症したとして、両親は前橋地方裁判所に慰謝料など請求を提訴する。
     今年6月8日には第6回の弁論を迎える。

●以上は今年11年6月4日、浜松で行われた自衛官人権裁判勝利全国交流会で配布され 
た資料をもとに作成した。以上のほかにも以下のような裁判もあるので加えます。
◇08年9月、広島の海自江田島基地で、徒手格闘名目で15名による暴行で隊員を死に
至らしめた事件があった。遺族が提起し現在松山地裁で係属している。
◇11年5月24日の朝日新聞大阪版による。陸自信太山基地の隊員陸士長(28歳)が訓練
中に上官に殴られ右目がほとんど見えなくった。09年8月国と上官を相手に提起さ
れ5200円の損害を請求した。大阪地裁は4800円の和解案を提示し被告側が応じたと
 言う内容。軍事評論家の前田哲男氏は「自衛隊側はなかなか責任を認めようとしな 
いが珍しく早期和解だ」とコメントしている。

  このところ自衛隊員の自殺は年間百人近くと言われしかも若い隊員である。これら
の隊員は営内居住が定められ、階級規律も厳しく閉鎖的で何かにつけ密室の出来事とし
て済まされやすい。こういうところへ切り込んでくのが自衛官人権裁判と言っていいだ
ろう。無償の行為に黙々ととりくんでいく弁護士さんらに敬意を表したい。

2011/6/14 W

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