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イラクの平和と護憲のための連絡会通信

 この「連絡会通信」は「イラク派兵差止関西訴訟」のメルマガの後継通信です。昨年四月の名古屋高裁判決をうけ、控訴取り下げ又は一審で終結など、残るは岡山訴訟のみとなった。名古屋高裁判決ほどではないが、この判例を無視せざるを得ない状況になったようです。
 既報の通り、昨日の大阪靖国合祀取り下げ訴訟は惨敗でした。朝の遅い私も駆けつけ傍聴抽選に並びましたがスカでした。「あちら」の抽選人を含めて二百人ほどが並びました。
2009.2.27   W


<イラクの平和と護憲のための連絡会 通信12> *転送紹介歓迎*  
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目次
1.速報:イラク派兵差止・岡山訴訟(第3次)「岡山地裁判決」
     平和的生存権に踏み込む
2.最新の2009年「模範六法」にイラク訴訟「名古屋高裁判決」が掲載
3.民間人の戦争補償を求めることは「平和に生きる権利」を守ること
  大阪空襲訴訟「第1回口頭弁論(202号法廷)が来月4日に迫る
4.「イラク戦争6年−わたしたちの選択」のご案内
  米従軍拒否兵ジェフ・パターソンさん来日講演
5.9の日パレード 次回は3月9日(月)です
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2月24日、岡山地裁(近下秀明裁判長)が岡山第3次訴訟の判決を言い渡しました。(参考:『朝日新聞』岡山版2.25 http://qzto.exblog.jp/
  
判決は、憲法判断に踏み込まず、事実認定もしませんでしたが、訴えの根拠となる「平和的生存権」については、憲法上の「基本的人権の基底的権利」とみとめ、裁判規範性をもつ具体的な権利だとして原告の主張をみとめました。さらにその例として「徴兵拒絶権、良心的兵役拒絶権、軍需労働拒絶権など」をあげ、これらの権利が具体的に侵害された場合は、個人が国にたいして損害賠償を求めることができるとしました。
  
★判決文の当該箇所(P27より)
「平和的生存権については、法規範性、裁判規範性を有する国民の基本的人権として承認するべきであり、本件における原告他の主張にかんがみれば、平和的生存権は、すべての基本的人権の基底的権利であり、憲法9条はその制度規定、憲法第3章の各条項はその個人的規定と見ることができ、規範的機能的には、徴兵拒絶権、良心的兵役拒絶権、軍需労働拒絶権等の自由権的基本権として存在し、また、これが具体的に侵害された場合等においては、不法行為法における被侵害法益としての的確性があり、損害賠償請求ができることも認められるというべきである。」
  
★識者の判断は?(『毎日新聞』25日岡山版より)
名古屋高裁以降、初の司法判断となった岡山地裁判決の評価を識者に聞いた。
【佐藤慶、石戸諭、松井豊】
  
高裁判決の平和的生存権に関する論文を執筆した奥平康弘・東京大名誉教授(憲法)は「名古屋高裁を意識した判決だ。特に平和的生存権の解釈に力点を置いている。(徴兵拒絶権など判決で)例示された事例に対応するような状況が乏しい以上、現実への影響は少ないが、憲法の持つ平和主義の精神を中心に据えた解釈だ。9条に基づく提訴の可能性を残した判決」との見方を示した。
  
また、平和的生存権に詳しい愛知大法科大学院の小林武教授(憲法)は「平和的生存権の内容を具体的に挙げた点が特徴といえる。政府は名古屋、岡山と続いた司法の判断に誠実に耳を傾け、現在日程に上っているソマリア沖への自衛隊派遣などに慎重になるべきだ」と語った。
http://mainichi.jp/area/okayama/news/20090225ddlk33040740000c.html
      
★岡山の会、岡山弁護団、全国弁護団連絡会の「声明文」の結び部分
  
「この判決により、平和的生存権の具体的権利性はまさにゆるぎないものとなった。判決は結論として、原告他の平和的生存権の権利侵害を肯定しなかった。
しかし、政府は今後も海外派兵を拡大しようとしており、また、国民保護法制を制定するなど、戦争をする国づくりを着々と進めている。
こういった状況下で、平和的生存権の権利侵害を主張しながら憲法に反する政治を司法の場で正していく必要は今後も続いていくことは間違いない。
  
その中で、本判決で平和的生存権の具体的権利性が明確に示され、平和的生存権が確立したといえることは、憲法の平和主義を実現していくために極めて重要な意味を持っている。
この点で、岡山地裁第1民事部が平和的生存権の具体的権利性を肯定したことは高く評価されるべきである。」
  
なお、岡山第1・2次訴訟の判決言い渡しは4月23日11:00の予定です。
3次訴訟と同様「要請はがき運動」をすすめるとのこと(文案など作成中)。
ご協力ください。

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■2009年『模範六法』にイラク訴訟「名古屋高裁判決」が掲載
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最新の2009年『模範六法』の、憲法前文の項と9条の項にイラク派兵差止訴訟の「08.4.17名古屋高裁判決」が掲載されました。
  
前文の「二項関係」の「11」に「05.10.25甲府地裁判決」の当該箇所、平和的生存権の「個別具体的な内容を確定することは困難」であり、「憲法上保障された具体的権利・利益とはいえない」とした部分が掲げられ、そのすぐあと「13」に「08.4.17 名古屋高裁の判決」の当該箇所、平和的生存権は「憲法上の法的な権利」であり、「具体的権利性」を有するとみとめた部分が掲載されました。
  
また、「第二章 戦争の放棄」「第九条」の「19」に同「高裁の判決」の当該箇所、航空自衛隊の空輸活動が他国による武力行使と一体化した行動であって、「本条一項違反する活動を含んでいる」とした部分が掲載されました。
  
★『模範六法』にのるということは、それが重要な判例であると同時にスタンダードな判例として捉えられていくことになります。「法律を勉強する学生の多くは『模範六法』を使って勉強するので、これからは平和的生存権は具体的権利だということや、イラク派兵のような海外派兵は9条違反であり、9条も平和的生存権も生きた規定なんだということを当然のものとして学ぶ学生が増えてくるということになります。これは嬉しいことですね。」と、名古屋訴訟の川口弁護士がメッセージを添えてご紹介くださいました。前文と9条にかかわる画期的な判決が、高裁レベルで確定した意味の大きさを改めて感じさせられました。
   
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■民間人の戦争補償を求めることは「平和に生きる権利」を守ること
  大阪空襲訴訟「第1回口頭弁論」が来月4日に迫る!ぜひ傍聴を
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昨年12月8日、民間被災者および遺族ら18人が提訴した「大阪空襲訴訟」の初めての口頭弁論が3月4日(水)15:00〜大阪地裁202号法廷で開かれます。
http://o-bengosi.hp.infoseek.co.jp/osaka-kusyu/
  
大阪への全空襲(100機以上の無差別爆撃=大空襲8回を含めて50回)の被災者はおよそ130万人。死者は1万5000人を数えたといいます。これまで国は、戦争被害者のうち、軍人軍属にたいしては補償をしながら、一般の民間被災者やその遺族にたいしては、これを放置し続けてきました。同訴訟は、そのような国の無責任をただし、補償と謝罪をもとめるものです。
  
同時にこの訴訟は、「戦争損害については、国民は等しく受忍しなければならない(戦争損害受忍論)」という立場にたってきた従来の司法の姿勢を問うものであり、わたしたちひとりひとりが「平和に生きる権利」をどうとらえ、どのように獲得・実現していくかということを問われる「市民訴訟」でもあります。口頭弁論の傍聴、「訴訟を支える会」への参加を広く呼びかけます。
  
★ご存知でしたか?戦争補償における平等主義を
 <高木吉朗弁護士「大阪空襲訴訟が問うもの」(『民主法律』276号)より>
  
戦後の日本の戦争補償制度は、原則として軍人・軍属を対象としており、民間人の被害については、外地在住・強制抑留者への慰労金、被爆者への医療給付等の例外を除いて一切行なわれていない。…(略)…
しかし、このような戦後の日本の戦争補償制度は、国際的にはきわめて特異なものである。欧米諸国では、フランス、イギリスなどの戦勝国、旧西ドイツなどの敗戦国を問わず、@軍人・軍属と民間人とを区別しない国民平等主義、そして、A自国民と外国人を区別しない内外人平等主義を基本とし、戦争被害者に対する補償を行なっている。
  
このような戦後の日本の戦争補償制度の特異性は、戦後の日本政府の歴史認識をきわめて率直に反映している。…(略)…
より直截に言えば、「侵略戦争という『公務』を遂行し、侵略戦争に協力・貢献した者のみを、補償する」というのが、日本の戦争補償制度なのである。そして、このことは、戦傷病者戦没者遺族等援護法による戦没者の認定基準が靖国神社の戦後の合祀基準ともなっていることに、象徴的に現れている。
  
すなわち、1953(昭和28)年4月以降は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正により、「戦犯」に対しても他の戦没者遺族と同様の国家補償がなされるようになったが、靖国神社はそれにあわせて戦犯合祀を順次始めていった。現在、靖国神社の合祀者は約246万6000名だが、その80%以上の約209万名が、このようにして戦後に合祀された者である。
  
このように特異な日本の戦争補償制度であるが、これを下支えする役割を演じているのが、他ならぬ裁判所である。最高裁は、戦争損害については、憲法の全く予想しないところであり、国民は等しく受忍しなければならない、と判示しているのである(戦争損害受忍論)。…(略)…
(しかし)日本国憲法は、他ならぬアジア太平洋戦争の反省をふまえて制定されたものであり、戦争損害なくして日本国憲法は生まれなかったといってよい。政府の行為によって二度と戦争の惨禍が起こらないようにすることを誓っている憲法が、自らの出自ともいうべき戦争損害に対して「全く予想しないところ」などという態度をとっていられるはずがない。…(略)…
  
この訴訟は、単に「平和憲法を守る」というだけではなく、そもそも平和憲法はこの国に根付いているのか、を問う訴訟であるといえる。原告らの過酷な体験を埋もれさせることなく、この訴訟の意義をいかに広く知らしめ、支援を得ることができるか。そこに、平和憲法が果たして国民の間に根付いているのかどうかの一応の答えが示されることになるだろう。 
  
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■3.16「イラク戦争6年−わたしたちの選択」のご案内
   チラシはこちらから http://sentaku.okoshi-yasu.net/ 
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◆憎悪にみちたイラク人少年の瞳のなかに自分を見たとき僕はもうこれ以上占領軍の役割を正当化できないと悟った◆
  
イラクでは、私は JVB要員だった。連合軍訪問事務局で“中将以上の階級保持者”と“それに相当する文官”を警護するのが任務だ。 JVB要員であっても、基本的に私の任務は歩兵だった。 JVBの仕事がないときは、“捜索と哨兵”任務や他の歩兵任務に動員された。任務の最中の活動については“自己防衛”の名の下に正当化されると判断していた。けれど、そうした見方はまちがっていたと悟るようになった。私は占領する権利のない国に居て、人々の生活を脅かし、アメリカ人の場合なら住居や人々に対して求められるはずの威厳と敬意の基準もないまま活動していた。
  
いまなおイラク国民は死亡し続けている。バグダッドだけでも、5年と 9,500億ドル(約112兆683億円)を費やしてなお、市民は、電気と水道が数週間も一度に停止する事態に悩まされている。若いイラク人少年が憎悪に満ちた視線で私を見つめていたさい、その瞳のなかに自分を見たとき、私はもうこれ以上占領軍の役割を正当化できないと悟った。肝心なのは抵抗することだ。最初から兵隊にならない道を選択したにせよ、入隊してから悟ったにせよ、真実を悟ったときが立ち上がるときなのだ。やがて真実は明らかになり、誰もそれを隠すことはできない。イラク占領は大惨事だ。真実を求めよう。そして立ち上がろう。
(by 陸軍州兵所属特技兵エレオネイ“エリ”イスラエル2007年8月9日付Courage to Resist掲載文より)   
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悩み苦しむなかから「戦わないこと」を選んだ若者たち。イラクやアフガンで戦うことを拒否した兵士たちの支援組織 「Courage to Resist」設立メンバー、ジェフ・パターソンさんを招いて平和のつどいを催します。  
▼日 時 3月16日(月)18時30分〜 (開場18:00)
▼会 場 大阪市立 住まい情報センター 3Fホール
     (地下鉄「天神橋筋六丁目」駅下車3号出口 JR環状線「天満」駅から北へ徒歩7分)
地図URL
http://www.sumai.city.osaka.jp/index/page/e811183529a0905131f34550bc5039d3/
▼参加協力費 500円(高校生以下無料) 
▼プログラム&プロフィール
講演1★ 「抵抗する勇気−戦争を終わらせることができるのは誰?」
ジェフ・パターソンさん
 イラクやアフガンで戦うことを拒否した兵士たちの支援組織
 「Courage to Resist(抵抗する勇気)」設立メンバー。
 カリフォルニア州在住。元海兵隊員。沖縄キャンプ・ハンセンに駐留。
 湾岸戦争への派遣を拒否した最初の兵士。2ヶ月の服役後に除隊。
 拒否兵や家族の支援を開始。現役将校として初めてイラク行きを拒んだワタダさんや、映画『アメリカばんざい』のパブロさんらの支援もしている。
  
講演2★ 「イラク戦争を通して考える“正義”のあり方」
清末 愛砂さん 島根大学講師。
 ジェンダー法学、パレスチナ難民女性のオーラル・ヒストリーの研究をしている。アジア女性資料センター運営委員、パレスチナの平和のための関西連絡会共同代表、非暴力平和隊・日本理事。
 主な著書に『母と子でみる パレスチナ−非暴力で占領に立ち向かう』(草の根出版会)、『「対テロ戦争」と現代世界』共著(御茶の水書房2006)な
どがある
▼お問合せ先:「ジェフさん講演会」実行委員会
         TEL・FAX06−6966−9003 
         E-mail heiwa-tsubasa07@fol.hi-ho.ne.jp
         HP http://sentaku.okoshi-yasu.net/ 
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■「9の日市民パレード」!
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3月9日(月)中ノ島公園女神像前12:00集合、12:15分スタートです。
イラク開戦6周年を前に、平和への思いとともに御堂筋を歩きましょう。
ご友人・知人に広くお声をかけていただき、みなさんでお出かけください。   
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みなさんの投稿を募ります。ira9mag-net@paw.hi-ho.ne.jp へお寄せください。
「イラクの平和と護憲」のための投稿に限ります。形式は問いません。日ごろの活動の様子、ご意見など、自由にお書きください。事務局の方針にそわない場合は掲載できない場合がありますのでご了承ください。「告知板」への投稿は、登録者本人が関わっているものに限ります。ペンネーム(イニシャルなど)と合わせて、お名前・連絡先を明記してください。
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2009年2月25日 発行 イラクの平和と護憲のための連絡会
 


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