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 新石垣空港整備事業にかかる月内の事業認定申請に対する抗議と中止を求める緊急声明


沖縄県の首里勇治土木建築部長は去る7月9日、県議会観光振興・新石垣空港建設促進特別委員会で、本格的な強制収用手続きとなる事業認定申請を当月内に行うとする方針を明らかにした。
これより1ヵ月前の6月8日、白保全国ネットの代表らは首里部長を訪ね、「強制収用・本格着工」のスットプを求める1390人分の署名を提出した。これを受けて首里部長は「任意取得に努力する」と約束した。しかし何ら新たな誠意ある対応をすることもなく、舌の根も乾かないうちに当月内の事業認定申請を表明したのである。これは私たちを愚弄する以外の何物でもなく、満腔の怒りをもって強く抗議する。
また今年5月には110人を超える共有地主が、沖縄県のあまりに拙速な強制収用手続きの着手に対してその中止を求めるとともに、書面だけではなく、面談等による本計画の詳しい説明を受けたいとの文書を、沖縄県知事宛内容証明郵便で送った。地権者からこのような要望があれば当然、丁寧に説明して協力を求めるのが事業者のあるべき姿である。しかし沖縄県はこの申し出に全く対応しないばかりか、返事さえ出さず、一方的に任意による交渉を打ち切って事業認定申請を強行しようとしている。
沖縄県知事は国交省航空局長に「未同意共有地主には今後ともねばり強く説得にあたり、事業への理解と協力を求めて県の責任において用地を取得する」という確約書を提出して、新石垣空港の設置許可を受けている。共有地主の要望を無視し、1年足らずの文書のみの用地提供願いだけで、はたして「粘り強い説得」と言えるのか、確約書違反もはなはだしいと言わざるを得ない。沖縄県はただちに当月内の事業認定申請を中止し、まずは共有地主の要望に応えて当該計画等について共有地主の問いに誠意を持って詳細な説明をするべきである。
ところで沖縄県が発表している新石垣空港事業用地の取得率(7月6日現在)は取得確実な公的機関を含めても51%にしかなっていない(共有地主を除く)。用地の買収交渉に入ってからもまだ1年程度であり、任意による十分な説得が尽くされたとは到底いえない。
一方国の通達では、事業認定の申請時期について「原則として、一の事業認定申請単位における用地取得率が八〇パーセント(土地所有者・関係人数全体に対する契約済の土地所有者・関係人数の割合をいう。)となった時」(建設省 経整発第五三号・河総発一八二号・道一発第三〇号 平成元年七月一四日)という基準が定められている。
現時点の用地取得率51%はこれを大きく下回るもので、沖縄県が月内に事業認定申請を強行するならば、この国の基準(「ルール化通達」)をまったく無視した不当なものとなり、断じて許されるべきものではない。ちなみに沖縄県がこの間喧伝している用地取得率81%は、広大なゴルフ場の売却によって作られた面積ベースの数字であり、事業認定申請の時期を検討する際に考慮される数字ではない。
 沖縄県は今回の事業認定申請を特別委員会で表明した際、事業認定後も任意交渉は続けると述べている。しかしこれは本末転倒というものである。用地取得のための強制収用は、私有財産権が憲法で保障されている民主主義国家においては、任意交渉の限りを尽くしてそれでも取得ができない場合に初めて発動するべきものである。今回の沖縄県の事業認定申請は、未買収用地を取得するために、特に地元の地権者に向けた脅しの手段として利用しようとする、まるで暴力団まがいの行為であり、公序良俗に違反する。
 沖縄県はただちに事業認定申請の手続きを中止し、任意による用地の取得を尽くさなければならない。強く強く要求する。
2007年7月23日


白保の海と大地を未来にのこす全国ネットワーク(白保全国ネット)
空港建設に反対し、白保の自然を守る会(石垣)
沖縄−八重山−白保の海とくらしを守る会(沖縄)
石垣島・白保に空港をつくらせない大阪の会(大阪)
八重山・白保の海を守る会(東京)
新石垣空港整備事業にかかる月内の事業認定申請に対する抗議と中止を求める緊急声明 2007.7.23