虐殺加担を本気で止める~東京でのパレスチナ連帯の取り組み
【武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表】 杉原浩司
イスラエルによるパレスチナ・ガザでのジェノサイド(意図的な集団殺害)と民族浄化の開始からまもなく1年。岡真理さんが「21世紀のホロコースト」と呼ぶそれは、想像を絶する地獄の日々の連なりでした。最低でも4万人を超える一人ひとりのかけがえのない命が奪われ、今この瞬間も虐殺が続いています。この間、西岸地区でも、イスラエル軍の残虐な戦争犯罪が激化しています。
国際司法裁判所(ⅠCJ)が「ジェノサイドを防止するあらゆる措置を取れ」と暫定措置命令を出しても、ラファでの虐殺停止命令を出しても、あるいは国際刑事裁判所(ICC)がネタニヤフ首相らに逮捕状を請求しても、イスラエルは虐殺をやめません。日本を含み米国を筆頭とする「G7」の国々が、それを許し、むしろ後押ししてきたからです。
大量の武器をイスラエルに供給してきた米国、ドイツはもちろん、日本もまた、イスラエルへの制裁を何一つ行ってきませんでした。
■虐殺ドローン輸入をやめろ
イスラエル大使館前抗議を呼びかけたのが、昨年10月11日。以来、ガザ・西岸の状況はむしろ厳しさを増すばかりで、私自身、緊急対応モードを解除できないままです。
その中で、意識的に取り組んできたのは、日本政府や企業の虐殺加担を止めることでした。最初の課題は、イスラエル最大の軍需企業であるエルビット・システムズと、日本の軍需商社である伊藤忠アビエーション(伊藤忠商事の100%子会社)、日本エヤークラフトサプライが2023年3月に結んだ、日本への武器売り込みのための「戦略的協力覚書」を断ち切ること。NAJATによる商社2社へのハガキ作戦などの取り組みに、同年10月7日以降に声を上げた若者や在日パレスチナ人が合流。伊藤忠本社前抗議や就活イベントでのアピール、ネット署名(24000筆超を提出)、伊藤忠系のファミマなどの企業へのボイコットを呼びかけました。不買運動がマレーシアにも広がったことがとどめを刺し、伊藤忠は2月5日に覚書の終了を発表。数日後に日本エヤークラフトサプライも追随し、国際的にも反響を呼ぶ大きな成果となりました。
ほっとしたのも束の間、2月20日の「大軍拡と基地強化にNO!アクション」による防衛省交渉において、防衛省が導入を検討する攻撃型ドローンの候補機7機のうち、イスラエル製が5機にも及ぶことが判明(その後、スペイン・豪州製が加わり、9機中5機に)。税金によるあり得ない虐殺加担をやめさせる取り組みを開始しました。
既に3万筆を超えるネット署名を防衛省と輸入代理店4社(川崎重工、住商エアロシステム、海外物産、日本エヤークラフトサプライ)に提出。関西でも、川崎重工に絞ったネット署名2万2千筆以上が同社の神戸本社に提出されています。
ただ、伊藤忠などの協力覚書と比べると、ハードルは高いです。政府が方針を決めており、小型機については既に実証試験の報告書も提出されています。相当な圧力が必要です。
取り組みは確実に効いてきています。多用途・攻撃型ドローンの輸入代理店である川崎重工の橋本克彦社長は、6月26日の株主総会で、「イスラエルの無人機(の輸入)は南海トラフ巨大地震が発生した場合の仕組みに活かすためで、戦争に使用する目的ではない」(6月27日、神戸新聞)と発言。「一体どちらが正しいのか」との文書質問に、防衛省は「お答えする立場にない」と逃げ、橋本社長の説明が虚偽である可能性が高まりました。導入を狙う側の動揺が早くも表面化しています。
伊藤忠の例にならい、9月20日以降には川崎重工(「Kawasaki」のバイク)と住商エアロシステムの親会社である住友商事(スーパー「サミット」やドラッグストア「トモズ」等)を中心に、ボイコットを呼びかけます。
▼イスラエル製ドローン兵器
■虐殺兵器展にさせないために
もう一つの重要課題は、10月16~19日に有明の東京ビッグサイトで開催予定の「国際航空宇宙展」への反対です。とりわけ海外ブースは事実上の武器見本市であり、前回2018年にも出展したエルビット・システムズをはじめ、イスラエルに武器を輸出しているBAEシステムズ、ボーイング、ジェネラル・ダイナミクス、ロッキード・マーチン、RTX(旧レイセオン)などの欧米軍需大手も出展します。
フランスですら、6月のパリでの国際武器見本市「ユーロサトリ」で、イスラエル企業の出展を禁止しました。憲法9条と前文を持つ日本が、現在進行形の大虐殺に武器を供給中の「死の商人」に商機を与えることは許されません。
9月5日には、主催者の日本航空宇宙工業会への申し入れ(同会は、事前の要請受け入れの約束を反故にし「警察を呼ぶぞ」と恫喝)とアピール、官邸前アクションを敢行。オンライン署名も開始し、9月23日には岡真理さんを招いた講演会も行います。開催初日などに現地での大抗議行動も行います。オンライン署名の拡散にぜひご協力ください。
関西の皆さんとの連携も強めていきましょう。
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