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中北龍太郎・共同代表を偲ぶ 【関西共同行動事務局員】 星川洋史



 中北龍太郎さんが、24年12月8日に亡くなりました。まさか彼より年上の私より先に亡くなるとは!関西共同行動だけではなく、広く市民運動、労働運動、学生運動、反戦平和運動への打撃です。

 中北さんと我々(関西の市民・学生などの運動参加者)が出会ったのは、78年頃のことであったろうか。関西新空港反対運動、三里塚闘争などへの権力の弾圧をうけた学生・労働者・市民活動家への弁護代理人を引き受けてくれたことが、その 関係の始まりであった。そして、中北さんが独立して法律事務所を開設された頃に、私たちはことあるごとにこの事務所を会議のために利用させていただきました。同時に関西共同行動の取り組みも、この頃から始まりました。現在の「関西共同行動」の結成の契機は、中北さんの存在なくしては語れません。

 当初この行動は、80年頃からの反安保統一行動「6月共同行動」として始まりましたが、中北さんは、最初の頃から「6月にこだわらない」として「年間を通じて活動しよう」という意見を持っていました。しかし、仲間たちの多くは「6月共同行動のままで良い」との意見だったと思います。しばらくは意見がまとまりませんでしたが、ある集会から中北さんは、強引ともいえるやり方で、「関西共同行動」という主催者名を公表し、既成事実と化したために、以後なし崩し的に受け入れられたように思います。少なくとも私はそうでした。

 今になってこの名称変更の問題を考えてみると、多くの仲間は、「新しく造る運動は60年安保闘争の広がりと激しさを引き継ぐものだと」との思いを持っていたように思います。それに対して中北さんの意見は、「6月」という響きが持つ「狭さ」への批判であったのだろうと思います。結果としてその後の関西共同行動の活動の広がりと諸課題とのつながりは、この中北さんの感覚に沿って展開され、継続されてきた運動であったといえるでしょう。

  「6月共同行動」は、スタートした最初の頃から三里塚闘争の「一坪共有運動」に取り組んでおり、その方針に対し「土地売り渡し運動である」「政府公団の手先だ」等の不当な批判と暴力にさらされていましたが、共同行動運動内部では、意見の対立を暴力で解決する内ゲバには反対することで一致し、その原則を守り続けてきました。そのことが今日まで、様々に運動内部での違った意見の存在や対立がある中にあっても関西共同行動の活動を生き生きとさせてきた一つの理由だと思います。関西共同行動設立時からの共同代表であったのは、元東大阪ベ平連の和田喜太郎さん、三里塚闘争に連帯する会の上坂喜美さん、そして人権派弁護士としての中北龍太郎さんでしたが、この3人の代表に共通していたのは、「一坪共有地」問題を巡る中核派による連帯する会などへの内ゲバ攻撃に確固として反対であることでした。

 共同行動の運動を始めた頃は、元べ平連の小田実さんや山本健治さんなども会議や集会・デモなどに代表者的に協力していただきました。元大阪女子大学教授の杉村昌昭さんなどもその頃からの付き合いとなります。

 以後40年以上にわたり全港湾、全金港合同、関生(全日建連帯)などの左派労働運動、沖縄の人々、在日韓国・朝鮮や中国人など運動団体などと協力・共闘関係を保ちながら共に運動に取り組んできました。反戦・平和運動、沖縄現地や経ヶ岬など本土での反基地闘争と連帯して運動に参加してきました。こうした様々な取り組みに参加する中で、中北さんは代表として挨拶・発言をされてきました。

 戦争する国造りへの反対し、憲法9条改憲に反対する大衆運動を展開するために結成された大阪平和人権センターや共産党、社民党など政党を含む「おおさか総がかり行動実行委員会」との関係においても中北さんの存在が大きかったように思います。

 東京での狹山差別裁判闘争では、中北さんは弁護団事務局長として長く働いてこられました。この問題では私たちは十分に取り組めたといえないのですが、裁判闘争の最後の局面ではありますが、中北さんの心を受け継ぎ、闘争への勝利に向け取り組みたいと思います。

 最期に、この関西共同行動ニュースの各号の巻頭言を飾るのは必ず中北さんの原稿であり、他に譲ることがなかったことをお話したい。

 2年前に始まるロシアのウクライナへの占領、攻撃、そして4カ月前に始まるイスラエルのガザ地区への破滅的攻撃の一方で、中・台対立の深まりと台湾有事に向けた動き、朝鮮・韓国の危機的対立が深まり、同時に国内にあっては腐敗・堕落にまみれた岸田政権は、こうした危機さえ利用しながら日本の軍事化・強権化を進めています。

 課題は尽きず、だからこそ書くことを辞めなかった中北さんの諸論文と共に、かく中北さんが作り出してきた活動の成果を基に、世界・アジア・日本のこうした戦争的危機と向かい合い、闘う主体となるようみんなでこれからも頑張ろう!






関西共同行動ニュース No95