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【編集後記―世界に悪をまき散らす日本】

 生物学者の市川定夫さんは、1984年ムラサキツユクサのおしべが、普段は青色であるが、わずかな放射能によってピンク色に変色することを発見した。そしてその事実を当時の反原発運動団体が、原発施設の周辺に群生するムラサキツユクサの標本を収拾して裏付けたのだ。つまり、原発は、その通常運転の結果とりわけ風下の住民に知れず被ばくをさせていることを証明した。政府は放射能の影響には「しきい値」があり、IAEAが科学的に「問題ない」というレベルまで低くすれば害はないと説明するが、話は逆であって、そのように説明しなければ原発が運転できないからに過ぎず、だから全ての原発を止めるべきなのだ。

 しかも、政府は「人間は普段宇宙から届く放射線に被ばくしている」から、「処理水」に含まれる同程度のトリチウム放射線もまた問題はないと説明するが、真っ赤な嘘であって、市川さんの研究によれば宇宙からの自然放射線と比較して、核反応生成物=人工放射性核種は体内に取り込まれても排出されずに生体内に濃縮され、外部被曝であれば大きな問題にならない微量放射線であっても、生物に重大な影響をもたらすことを明らかにした。

 人は聞くだろう「それが本当なら、大変なことだがそんな事実があるのか」と。しかり。70年前の核実験による核被害の実相が、ようやく地域住民によって明らかにされつつあるように、福島原発事故による核被害が明らかになるのはこれからであって、私たちが許した「処理水」の放出とはそういう悲劇の選択を意味している(古橋 記)。




関西共同行動ニュース No94