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首都圏の米軍・自衛隊再編 【戦争に協力しない!させない!練馬アクション】 池田五律


◆対中抑止多国間安保の拠点化が進む横須賀

海上自衛隊艦隊司令部と在日米軍司令部が設置されている横須賀基地。2021年5月には仏ヘリ空母ジャンヌダルク、9月には英空母クィーンエリザベス、10月には豪イージス駆逐艦プリスベーンが寄港し、日米のならず、NATO諸国、クアッド諸国も含む多国間安保拠点化しつつある。特に、クィーンエリザベスは長期的にインド太平洋地域に展開し、空母化される海上自衛隊護衛艦と共に米空母に随伴するといった運用が想定されているのではないかと言われており、横須賀に司令部機能を置き、艦載機は小牧でメンテナンスす
るとの憶測もある。



5月から横須賀を母港とする米原子力空母ロナルド・レーガンは、ハワイ沖で行われる「環太平洋合同演習」(リムパック)に参加するために出港。空母化される海上自衛隊護衛艦「いずも」も6月に出港。リムパックには、陸上自衛隊のミサイル部隊も参加。「存立危機事態」を想定した訓練をしたと防衛省も明らかにしており、リムパックに合わせた日米共同演習が、「台湾有事」を想定した「対抗力」を示す名目で中国を軍事的に威嚇するものだったことは明らかだ。ペロシ米下院議長訪台時には、ロナルド・レーガンを中心とした第5空母打撃群は、フィリピン海で中国軍の台湾周辺での演習を監視。その後「いずも」は、最近「中国の進出」の「脅威」が喧伝されている南太平洋へ向かい、中国をけん制。また、リムパックには、韓国海軍も歴代最大規模で参加。6月に、米韓合同演習を実施。ロナルド・レーガンは、8月20日に横須賀に帰港したが、それも束の間、9月下旬には5年ぶりに韓国訪問。8月には、日米韓合同のミサイル対処訓練も行われた。日米韓軍事一体化も進んでいる。

◆横田の日米共同司令部化・府中には宇宙作戦部隊・首都圏の空はオスプレイ天国

横田基地には、在日米軍司令部がある。2012年には航空自衛隊総隊司令部も府中から移転した。その理由の一つは、航空総隊司令官が海上自衛隊のイージス艦も含むBMD統合任務部隊の司令官を兼務し、米軍との情報共有・連携強化を図ることであった。だが、米軍のミサイル防衛の新司令部は、2018年に相模原補給廠に発足した。府中基地はと言えば、2022年、宇宙作戦群が新編された。空自の宇宙航空部隊化が進行している。

横田には、2018年、米空軍特殊作戦群が運用するCV22オスプレイが配備された。木更津基地は、米海兵隊普天間基地のMV22オスプレイの整備拠点になっている。2020年からは、陸上自衛隊のV22オスプレイの「暫定配備」も始まった。厚木基地にも、普天間基地のMV22オスプレイやヘリ、岩国基地のF35Bも飛来。横田空域が存在していることもあり、首都圏の空はオスプレイ天国化している。3月に、東富士演習場で陸上自衛隊水陸機動団が米海兵隊とオスプレイを使用した合同訓練を実施するなど、陸自のオスプレイ運用力錬成も図られている。習志野の空挺団、特殊作戦群と日米のオスプレイ部隊との合同訓練も懸念されている。



◆陸自の総隊制移行と朝霞駐屯地強化

在日米陸軍司令部は、キャンプ座間にある。第一軍団前方司令部も、2011年に発足した。一方、陸上自衛隊の総隊司令部は、朝霞にある。陸上自衛隊は、2018年に各方面隊を包括し一元的に運用できるようにする総隊制に移行し、水陸機動団、空挺団、特殊作戦群、陸自オスプレイを運用する第一ヘリコプター団、海外派兵専門の宇都宮に駐屯する中央即応部隊などは、総隊直轄部隊とされた。朝霞には、2022年には、電子作戦隊およびその本部も設置された。なお、朝霞に編成されていたシステム防護隊は、2021年に
市ヶ谷に本部を置くサイバー防護隊隷下に改編された。このように司令部機能が集中している朝霞駐屯地周辺は、横田、横須賀と並んで重要土地等調査規制法に基づく「特別注視区域」に指定されることが危惧されている。

朝霞は、日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ)の開催場所でもある。ミャンマー国軍将官教育が問題になっているが、それらが行われているのも、朝霞だ。観閲式の舞台でもある。陸上自衛隊広報館も併設している。

◆首都戒厳治安出動部隊・第一師団と自治体への浸透工作

練馬駐屯地は、政経中枢師団・第一師団の司令部がある。故石原慎太郎が、「三国人発言」を行って大規模震災対処訓練に向け隊員を鼓舞したのは、その駐屯地祭でのことだ。2022年3月2日、17日にも、迷彩服・戦闘服姿の隊員が、「災害対処」を口実に、練馬駐屯地から江戸川区役所へ向け夜間行軍演習。反戦デモ弾圧想定が明るみに出て問題化しているが、首都戒厳治安出動は第一師団の主任務であり続けてきたのである。既に、朝霞駐屯地へのデモの際に、情報保全隊がつきまとうといった光景が出現している。

練馬区役所本庁舎での自衛隊募集展示開催、自衛官OB区議による自衛隊工科学校の進学先としての勧奨を区に求める動きなど、自治体への浸透工作も目立ってきた。

◆入間基地と戦闘医療態勢整備

「弾道ミサイル危機」が高まると、市ヶ谷などにPAC3部隊が配備される。朝霞に配備されるのは、航空自衛隊入間基地の部隊だ。入間基地は、2020年度からC‐2輸送機、2021年にRC‐2電波情報機が配備され、増強されつつある。ウクライナへの物資輸送、アフガニスタンへの中央即応連隊派兵も、入間から行われた。

2022年3月には、新たな自衛隊病院が開院した。それは単なる病院ではない。戦闘医療の訓練施設の機能を果たすことになると推測される。所沢には、防衛医科大学があり、2014年には看護学科も開設された。医療に関しては、ダイヤモンドプリンスのコロナ患者治療で有名をはせた自衛隊中央病院や、部隊医学実験隊についても、注視する必要がる。NBC対処態勢の強化も、今後目論まれるだろう。



関西共同行動ニュース No92