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憲法破壊の政治に抗して(講演録) 

11/14「とめよう改憲! 大阪ネットワーク」講演会・部分要約(文責・古橋)
飯島滋明【名古屋学院大学教授】

■知らない間に進められていく軍事化

今日はどんな日か。朝から沖縄宮古島では、2キロも並んだトレーラーに積まれた弾薬の搬入をめぐり、住民による阻止行動が繰り広げられています。そこは保良(ぼら)であり、本来「弾薬庫」と称するべきところを訓練所とごまかし、かつ近くの住民の集落から200mも離れていません。戦争が始まれば当然攻撃対象となり、助からないと諦める市民もいます。

南西諸島への自衛隊配備は台湾有事に備えてということですが、例えば晴れた日には与那国島からは台湾が見えます。110キロしか離れていないところで米中が戦争を始めたら、島の住民がどうなるのかと考えなければなりません。

■アメリカの作戦ありきの防衛計画

岸田自公政権は、2013年の「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛整備計画」といった「防衛計画3文書」を改定して、「敵基地攻撃能力の保有」「南西諸島への自衛隊配備強化」を明記するとしています。

こうした動きの背景には、「自衛隊リストラ論」があり、かつてのソ連冷戦時代に北海道に戦車部隊を置いたような時代ではなくなったために、新たな「敵」を作る必要があるためです。

そしてより根本には、その当時も今もアメリカの軍事戦略として日本にはソ連が、ソ連でなければ中国の艦隊が、日本を抜けて太平洋に出られないように「封じ込める任務」が求められており、現在はアメリカ軍の「エアーシーバトル構想」によって、日本は第一列島線に沿って、九州から沖縄、南西諸島への実力部隊の配備が強行されているわけですが、アメリカ軍としても「敵」が必要なわけです。

アメリカ軍のシナリオによれば、そこが最前線となった時、在日米軍はハワイに撤退し、尖閣一帯は「破壊された地域となる」とされています。さらに中国のミサイル能力の向上があり、戦略も「エアーシーバトル」から「遠征前方基地作戦=EABO(エアボ)」に移り、アメリカ軍は島々を転戦してゲリラ的に中国の艦船と対峙する訓練を強化しています。

専守防衛の日本では、これまでは持てないとされてきた空母を、自衛艦を改造してオスプレイやF35B戦闘機を移送できるようにしました。さらには新たな自衛隊組織「水陸機動団(上陸部隊)」が創られて、アメリカの軍事戦略を担います。

日本は、どこから撃つのか分からない北朝鮮のミサイル攻撃に対して「敵基地攻撃能力」を持とうとしていますが、これもまた中国の軍事基地に向けたものです。こうした中で、日本の防衛費を倍増させる必要があるとしているわけです。



■戦争をするための公教育

問題は、当然ながら中国と戦争になれば、同時に多くの日本の市民が犠牲になることです。従って政府は、そういう事態が起きても厭わない国民精神を育成しようとしています。

敗戦までの日本では、戦争を遂行するため、多くの国民が戦争に協力することが必要とされ、幼少期から公教育として「国のために死ぬことは尊い行為である」と教え込む必要がありました。一方、憲法26条で「教育を受ける権利」が保障されていますが、その権利は憲法13条にある「最大の尊重が必要であるとされた個人の幸福追求」のためにあり、無償化とされた公教育への国家介入を否定する条項なのです。

しかし、アメリカの要求で自衛隊が創設され、53年の池田・ロバートソン会談で、「日本の教育に愛国心と国防の責任感の醸成すること」をアメリカに約束し、以来それを実行してきました。

その結果として、たとえば第一次安倍自公政権下では「教育基本法」が改悪され、教育内容への国家介入が正当化されました。菅自公政権は、今年4月27日に「政府としては「従軍慰安婦」という用語を今後は「慰安婦」とする」と決定したのもそのためです。

■私たちはどうすべきか

わたしたちは、これまでも政治的に無力であったかといえば、そうではなく2020年の「改正検察庁法案」を集会やデモによって廃案にさせましたし、菅義偉氏が自民総裁選に出られなかったのは、世論の力でした。

先の衆院選挙では、自公で過半数を占め、改憲に前のめりな日本維新の会の躍進を許しました。続く参院選を前に「戦争のできる国づくり」を許すのか、主権者の意志をさらに明確に示す必要があります。

今回の野党共闘に対し、「失敗であった」とする声が聞こえます。「なぜ負けたのか」については丁寧に検証を行う必要があるものの、依然、小選挙区制度の下では、野党共闘は必要です。

自民党幹事長の甘利さんや東京8区で石原さんを小選挙区で落選させたことや、議員数を減らしたとはいえ、31の選挙区では1万票差内で負けており、共闘しなかった72の選挙区では、野党は6議席でしか勝てなかったということから見ても、次回勝つために必要なことは、更なる野党共闘の強化しかありえないことを示しています。

■改憲発議と改憲手続法

さらには今後の選挙戦では、情報発信の重要性があります。自民党などは公然とウソをつきます。かつて54年に起きたビキニ事件で第五福竜丸が被ばくし、大きな反米・反核感情が沸き起こりましたが、その世論は、CIAのテコ入れとマスコミの大宣伝で「原子力の平和利用」を歓迎するまでに急変させました。1950年代後半、岸信介はCIAから支援を受けました。何かをいえばすぐ「反日」とされる裏には、現在もアメリカが自民党を支えているからです。こうした動きはさらに強まることが予想されます。

日本維新の会の松井代表は、早くも「来年の7月の参院選で改憲発議を行う」と発言しています。自民党の掲げる改憲4項目「自衛隊の明記(九条改憲)」「緊急事態条項(コロナ対策)」「参議院の合区解消」「教育の充実(無償化)」の問題点を指摘することの必要性は当然ですが、加えて「発議」するための現在の憲法改正国民投票法では、公正・公平な実施が望めず、「CM規制」「ネット規制」「外資規制」「デマ情報に対する規制」「在外投票の保障」などの法改正抜きには改正発議など許されない―とする世論喚起が、今から必要になってくると思います。

政府が強行に推し進めるのであれば、私たちは運動で返していかなければならないと思います。







関西共同行動ニュース No89