集会・行動案内 TOP
 
不屈のうちなんちゅから みなさんへ 安次冨 浩【ヘリ基地反対協議会共同代表】


■はじめに

読者のみなさんへ新年のメッセージを送ります。昨年中は辺野古新基地建設反対闘争への多大な支援を頂き深く感謝申し上げます。
一昨年12月14日、キャンプ・シュワブ内の辺野古沿岸側に違法な土砂投下されて1年を経過しますが、防衛省が認めているように昨年10月末現在で全埋め立て面積への必要な土砂量(2062万㎥)の1%も満たないし、辺野古側の土砂量(2工区の計319万㎥)に対して20.5万㎥(6.4%)に過ぎず、沖縄防衛局の違法な埋め立て工事を完全に遅らさせています。シュワブ・ゲート前での作業車両の搬入(1日3回限定のミキサー車や10tトラックなどの車列を組んでの搬入)を阻止するゲート前座り込みや琉球セメント株式会社所有の安和桟橋前と本部塩川港での土砂搬出反対行動、海上でのカヌーなどの阻止行動などが功を奏しているのです。また台風や時化などの自然現象や天皇即位などの政治的要因が絡み県警機動隊のヤマト派遣という副次的な要素もふくめ工事は遅延しているのです。辺野古側の埋め立てを完了するにも10年近くかかるでしょう。

■オール沖縄の闘い

突然の翁長前知事の逝去(18年8月)に涙しましたが、故翁長知事の遺志を引き継ぐ玉城デニー知事の圧倒的な勝利を勝ち取り、安倍政権に衝撃を与えました。うちなんちゅの辺野古新基地建設反対闘争のエネルギーは衰えていないのです。うちなんちゅは玉城デニー知事を先頭に、司法も含めて政府からの様々な圧力に屈していません。
19年、青年たちから発信された「県民投票」(2月)でも大きな民意を突きつけ、参院議員選挙でも糸数恵子議員から高良哲美さんへとバトンタッチすることができました(7月)。自公政権との選挙戦を勝利し、沖縄の民意は揺らぐことは微塵もありません。オール沖縄会議は強固になっています。



■全日建関西生コン支部への弾圧

昨年の全日建連帯関西生コン支部への凄まじい組合弾圧に怒りを覚えてなりません。武健一委員長はじめ多数の執行部役員に対する逮捕、長期勾留攻撃は関西大手ゼネコンの忖度を受けた検察などによる闘う労働組合への組織壊滅作 戦であり、沖縄辺野古闘争を支援する労働組合への組合潰しです。全国の労働組合が団結して、関西生コン支部の支援に立ち上がる時が来ました。モリカケ問題や「桜を見る会」の私物化などで窮地に追い込まれている安倍政権を打倒しましょう。中国侵略戦争を仕掛けようとする安倍政権と立ち向かう時代に突入しました。腹を据えて闘いましょう。

■沖縄全域を戦時体制へと変貌

日米両政府は沖縄島をキーストーンにしたオフショア・コントロール戦略(中国民間船の航路上での封じ込み、軍艦などの航行を阻止する琉球弧での海洋限定戦争)を着々と展開しています。琉球弧とは政府が称する南西諸島のことを指します。台湾まで110キロと近い与那国島から石垣、宮古、奄美大島に繋がる島々です。
16年3月に与那国島へ陸上自衛隊沿岸監視隊160人を配備し、家族ともども94人が移転してきました。なんと与那国町の人口の16%が自衛隊関係者で占めるのです。これまで自衛隊配備反対の住民が過半数を超えていましたが、「軍隊がいる島」となり、島で培われてきた地域共同体や自治が危機に瀕しています。
これを皮切りに、防衛上の空白地帯を埋めるためと称して、尖閣列島国有化宣言をもとに自衛隊の配備強化が進められ、石垣島への地対艦、地対空誘導弾部隊を含む500人から600人規模の陸自部隊を配備予定です。



宮古島には既に航空自衛隊第53警戒隊(対空レーダー部隊)があり、新設される駐屯地に警備隊380人が配備され、中距離地対空、地対艦ミサイル部隊と併せて2020年以降に配備される陸自部隊は指揮所を含め700~800人規模の計画です。また、保良地区には弾薬庫が建設中です。有事の際には県営の下地島空港(3000m)が狙われるでしょう。
奄美大島には奄美カントリークラブ地区及び節子地区の2地区に警備隊、中距離地対空誘導弾部隊、地対艦誘導弾部隊、移動警戒隊計600人が配備計画です。既に海自奄美基地分遣隊(瀬戸内町)と空自奄美通信隊(奄美市)が展開されています。
これらの計画は「日米同盟 未来のための変革と再編」(05年)合意に基づき、中国との全面戦争を想定した「エアーシーバトル構想」(12年)から全面戦争を回避するために中国経済の海上封鎖を狙う琉球弧での海洋限定戦争に変更した「オフショア・コントロール戦略」に沿った配備計画です。しかも、地域住民の避難計画はゼロということであり、島々の住民を盾に取り、焦土作戦=捨て石作戦の再現展開する「軍隊は住民を守らない」ことの現代版ともいます。
平和を求める琉球弧の住民たちは沖縄戦の体験と戦争の愚かしさを訴え、自衛隊配備反対闘争に立ち上がっています。残念ながらヤマトの人々は遠い島々のことに思いを馳せず、尖閣諸島の領有化問題から端を発した「嫌中」思想に絡み取られ、琉球弧の軍事化が対中国戦争を招く危険性に理解が乏しく、「われ関せず」との状態なのでしょうか?
MV‐22オスプレイの沖縄配備に際してヤマトの多くの人が他人事としてみていました。最近、米軍オスプレイが京都市街地の上空を訓練飛行するありさまに怒りを覚えませんか。日本の大手メディアが辺野古問題や琉球弧の軍事化の状況にうちなんちゅが抵抗している姿を伝えていないことも要因の一つですが、あまりにも政治に無関心すぎる市民が多すぎます。やがて自らの首を絞めることになります。
佐賀県のノリ養殖漁師たちは佐賀空港への自衛隊のオスプレイ配備を止めています。秋田市民はイージス・アショア配備反対に立ち上がっています。沖縄の反戦・平和の闘いから点と点を線に結び、面へと広げる状況を作り上げましょう。香港市民の民主主義を守る闘いや韓国市民の民主化闘争を学びましょう。反戦平和の嵐を全国中に巻き起こしましょう。
日米同盟の狙いは、沖縄地域全体を前線基地化し、在沖米軍基地の共同使用と島嶼部での戦闘は自衛隊が担うシステムの完成です。米国トランプ大統領の意向を受け、2年以内に中距離弾道ミサイルの配備(場所未定)と中小型核兵器の貯蔵を計画しています。辺野古弾薬庫の改修工事が符合します。またしても、沖縄の島々を「戦場(いくさば)」にする「悪魔の軍事戦略」なのです。
防衛省は種子島の隣にある無人島「馬毛島」の購入を地権者と合意しました。
米軍空母艦載機の夜間含めた離発着訓練を行なうためです。南太平洋の硫黄島から訓練移転する計画です。事前集積拠点としても検討されています。自衛隊佐世保基地には水陸機動団(米海兵隊の自衛隊版)が存在し、佐賀空港への自衛隊MV‐22オスプレイ配備計画とも連動していくでしょう。また、沖縄島の北部に位置する伊江島の米軍飛行場では新たに着陸帯(LHDデッキ)が建造され、アラスカや韓国、岩国基地からF15戦闘機やF‐35垂直離着陸戦闘機、オスプレイなどがタッチアンドゴー訓練で頻繁に飛来しています。沖縄の空、否、日本の空は米軍機の戦闘訓練空域となっているのが現実です。
 辺野古新基地建設計画には滑走路のみならず、272mの長さをもつ埠頭も建造されます。強襲揚陸艦ワスブから257mの強襲揚陸艦アメリカが佐世保基地へ12月に配備(航空機燃料と弾薬を積む格納庫が広くなり、F35B戦闘機やオスプレイの運用能力が強化され、LCAC【ホーバークラフト型揚陸艇】は搭載できないため、ドック型輸送揚陸艦ニューオーリンズなどと一体運用するとされました。
 自然豊かな大浦湾を軍艦が集積する軍港へと変貌させるのです。自衛隊のヘリ空母「いずも」、「ひゅうが」も寄港するでしょう。弾薬輸送船も着艦するのは間違いありません。
 しかし、うちなんちゅの粘り強い反対運動は、沖縄防衛局が提出する「設計変更届け」を軟弱地盤問題や活断層問題などの理由で玉城知事の「不許可」の行政処分を支えていき、非暴力抵抗闘争で勝利の展望を切り開きます。オール沖縄会議の団結を基礎に「沖縄の自己決定権の確立」と「基地との共存・共生を拒否する」ことをモットーに、イデオロギーの対立を乗り越え、沖縄のアイデンティティを大切にしながら、「勝つまでは諦めない」抵抗精神で。

■うちなんちゅは不屈

昨年10月31日未明の首里城火災に多くの人が落胆されたかと思います。しかしうちなんちゅは不屈です。
うちなんちゅは再建に向けて立ち上がりました。那覇市などへ全国から義援金が集まり始めています。戦前の首里城は旧日本軍が沖縄戦の時にその地下に司令部を構築したため、米軍の徹底的な爆撃と砲撃を受け壊滅させられました。復帰後多くの人々の知恵と技術によって再建されたのです。言わば、うちなんちゅのシンボル的な存在でした。うちなんちゅは今回の不幸な出来事を乗り越え、必ず再建します。国営ではなく、県営の首里城として。




関西共同行動ニュース No82