集会・行動案内 TOP
 
「ドローンの眼」がとらえる 沖縄基地の全貌  【沖縄ドローンプロジェクト事務局長】 影山あさ子

7月 16 日、宮古島でのことです。私たち、沖縄ドローンプロジェクトのメンバーが陸上自衛隊宮古島駐屯地(2019年3月開設)に隣接する住民の畑から、ドローン(小型無人飛行機)を飛ばして撮影していると、駐屯地の中から自衛官が5名、出てきました。司法警察員を名乗る警務隊の自衛官で、「基地の上でドローンを飛ばすな」、「撮影した映像を削除せよ」と求めてきました。彼らは警察にも通報し、宮古島署の警備課長らもやってきました。

「ドローンは危険だ」「テロも起きている」と自衛官が言いますが、宮古島駐屯地上空を飛んではいけないという法律はありません。住民とプロジェクトメンバーから 「法的根拠を示せ」 と迫られ、また、住民に隠して弾薬庫を設置し、ミサイルを運び込んだ事に対する猛烈抗議も受け、最後は警察からも規制する法律がないことを説明されて、自衛官は基地の中に戻っていきました。

沖縄ドローンプロジェクトは、2018年にできた有志の市民の集まりです。辺野古を中心に、ドローンを飛ばして、新基地建設現場の監視と撮影を1年半続けてきました。埋め立て用の護岸が出来てしまった辺野古では、船から工事の様子を見ることができません。そこでドローンを飛ばそうということになったのです。

辺野古では、防衛局が設置した汚濁防止膜が海底を削り、海草藻場を荒していたり、高濃度の濁り水を流出させたりしていることが、ドローンの撮影を通して明らかになりました。計画とは異なる不正工事が数々行われています。

宮古島では、自衛隊の基地建設工事で信仰の対象である御嶽(うたき)が半分以下に削られてしまったことが撮影を通して明らかになりました。保管庫と住民に説明していた施設が、説明とは異なる大きな弾薬庫であることも、撮影映像から確認することができます。

しかし今後は、このような撮影は極めて困難になります。2019年6月13日に改正ドローン規制法が施行されたからです。

オリンピック、テロ対策を口実に成立したこの法律によって、防衛大臣が飛行禁止区域を指定できることになりました。自衛隊基地、米軍基地の上空とその周囲300m、米軍基地については提供空域、提供水域まで禁止区域に指定することができます。施行と同時に、新たに 13 か所の飛行禁止区域が指定されました。2019年9月 16 日現在、沖縄県内ではまだ指定された場所はありませんが、順次、指定が進んでいくことでしょう。

辺野古・キャンプシュワブの米軍提供水域は、埋め立て区域よりもはるかに広い海です。もし、ここが飛行禁止区域に指定されたら、工事現場から4キロ以上離れたところからしか撮影できません。辺野古の工事現場は見えません。



ドローンを飛ばすには、飛行禁止区域の基地司令官に飛行許可を求めなければならず、米軍はすでに空軍、陸軍、海軍、海兵隊の四軍とも、ドローンは原則禁止、報道機関であっても許可しない方針を明らかにしています。沖縄島の面積の 15 % が米軍基地に占められていますが、それよりはるかに広い空間に蓋をしてしまおうとしているのです。

ドローン規制法に違反すれば、懲役1年以下、罰金 50 万円以下の刑罰が科せられます。警察官、海上保安官、自衛官は、ドローンの破壊など必要な措置をとることが認められ、自衛官が基地の外に出て取り締まることを認めています。自衛官の活動範囲も限定されていません。



ドローン規制法=「ドローン目隠し法」は国民の知る権利を侵害する極めて危険な法律です。スケッチをした、写真をとったというだけで、市民を逮捕、拘留した戦前・戦中の「要塞地帯法」そのものです。

私たちも、 「飛行禁止区域」に指定されるのを待っている訳には行きません。ドローン飛行が違法化され、二度と撮影できなくなる前に、沖縄島の米軍基地群と奄美大島から与那国島まで、琉球弧の島々におかれる自衛隊基地の実相を全力で撮影しました。撮影した場所は、陸上自衛隊奄美駐屯地、米海兵隊北部訓練場、米海兵隊伊江島補助飛行場、米海兵隊キャンプ・シュワブ、米海兵隊キャンプ・ハンセン、米空軍嘉手納飛行場、米空軍・米海兵隊嘉手納弾薬庫地区、米陸軍トリイ通信施設、 米海軍・米陸軍ホワイトビーチ地区、米陸軍貯油施設、米海兵隊牧港補給地区、米陸軍那覇港湾施設、陸上自衛隊勝連分屯地、航空自衛隊那覇基地、陸上自衛隊宮古島駐屯地、航空自衛隊宮古島分屯基地、 石垣島陸上自衛隊駐屯予定地、陸上自衛隊与那国駐屯地の 18 か所です。

その映像をまとめたドキュメンタリー映画「ドローンの眼」 (製作・著作沖縄ドローンプロジェクト/森の映画社)も8月 15 日に完成しました。

第1部「改正ドローン規制法と辺野古」( 28 分)と第2部「ドローンで見る沖縄の基地」( 40 分)の2部からなり、第1部では、辺野古新基地建設工事の監視と撮影で明らかになった防衛局の工事の違法と不正、辺野古の最新の様子を奥間政則さん(土木技術者 / 沖縄ドローンプロジェクト分析担当責任者)の解説とともにお伝えします。ご覧になれば、提供水域の境界線上から見る辺野古の工事現場がどれほど遠いのか、きっと驚かれることでしょう。

第2部

「ドローンで見る沖縄の基地」には、沖縄県民が同居を強いられてきた沖縄島の巨大な米軍基地群、自衛隊の最前線基地がおかれようとしている奄美大島、宮古島、石垣島、与那国島の今が、映しだされます。

「基地の中に沖縄がある」と言われる現実は、鳥の眼でしか見ることができません。

10 月 11日・ 12日は、神戸の元町映画館(☎078-366-2636) で、10 月 13 日は大阪・十三のシアターセブン(☎06-4862-7733)で、「ドローンの 眼」おひろめ上映会を行います。関西では私、影山あさ子がお話しさせていただきますので、 ぜひ、ご来場ください。

沖縄の現場は、日本とアメリカの戦争準備の最前線です。ドローンの眼、空を飛ぶ鳥の眼で、皆さん自身にその現場を確かめていただきたいと願っています。

「ドローンの眼」 、沖縄ドローンプロジェクトへの問い合わせは okinawa.drone.project@gmail.com まで。

*沖縄でのおひろめ上映会は、 10 月5日14:00~  「でぃるる」ホール(那覇市西3-11-1 )、
東京は 10月 31 日~ 11 月2日に渋谷の光塾(渋谷3丁目 28-15 B1 )、
神奈川は 11 月3日に新横浜のスペー ス・オルタ(新横浜 2-8-4 ) )にて。



関西共同行動ニュース No81