集会・行動案内 TOP
 
沖縄知事選の歴史的勝利を受けて
【ヘリ基地反対協議会共同代表】 安次冨浩

この文章は、超過密なスケジュールの中で、沖縄意見広告運動のために来阪された安次冨浩さんに時間をとってもらい、12月2日に実現したインタビューをもとに文章化したものです。多面的で豊かな長時間のインタビューでしたが紙面の都合でまとめさせてもらいました。
(文責 星川洋史)


■知事選の勝利は 辺野古埋め立て反対の民意の強さの証明

 9月30日投票の沖縄県知事選挙で玉城デニー候補は39万6632票の歴史上最多の票を得て政府が応援し自公維希が推薦した佐喜真淳氏を破って大勝しました。この結果はオール沖縄の健在を政府に示したのだと思います。

 何故そんなことをいうかというと、今年2月の名護市長選で、稲嶺進さんの3期目当選にむけて闘ったのですが、私たち選対の楽観と戦術ミスもあり敗北しました。そこには、私たちの弱さもありましたが、政府総ぐるみの介入がありました。そのときの政府・与党側の戦術は「辺野古問題には一切触れない」ということでした。その上で、企業を中心に期日前投票の徹底化と、これまでの名護市長選では自主投票だった創価学会が、自民党、政府の「対決から対話へ」など本心とはまったく逆のスローガンで辺野古隠しの戦術にのって全国から7000人を動員し、佐喜真氏に投票する運動をしました。ステルス作戦(注:公開的な論議をさけ、企業や創価学会などを使って陰で期日前投票を進めるなどの選挙策)、後に「勝利の方程式」と言われる策を使って勝利を手にしました。さらに彼らは、菅官房長官を何度も動員し陣営を締め付け、若者に人気がある小泉進次郎を派遣し、名護高校そばで街頭演説するなどしました。この選挙政策で、政府与党は名護につづく石垣市、沖縄市の市長選などで勝利を手にしました。しかし「オール沖縄」は、知事選での大勝直後の那覇市長選で玉城知事と佐喜真氏以上の差をつけて城間幹子市長が、豊見城市長選でもオール沖縄の山川氏が勝利しました。知事選での大敗を受けて政府与党は、打撃を避ける意味から、菅や小泉など「大物」を派遣せず、公明党・創価学会も動員を取りやめました。公明党支持者や創価学会の中でも3割を超える人が玉城氏に投票し、玉城陣営の選挙の集まりに創価学会旗を掲げて参加したりしました。企業の間でも玉城氏に心を寄せる人たちもありました。

 知事選では、10代、20代の若者では佐喜真氏の支持が若干上回った、それ以外ではデニーさん支持でした。若者の間でも玉城陣営は大きく差を縮めました。右翼や一部若者の間で流行っているネガティブキャンペーンに対抗して「デニーナイト」というライブで玉城氏がギターを弾いたり、若者たち用の宣伝カーを出すなどしました。若者の中でも変化は生まれています。

 政府・与党のやり方、ステルス作戦・「勝利の方程式」は敗北したのです。それは、安部政権の辺野古新基地建設路線の敗北であり、憲法9条改悪、戦争する国づくりの敗北のはじまりです。



■辺野古埋め立て反対県民投票での協力を

 安倍も菅もことあるごとに沖縄の民意に寄り添うと言ってきました。沖縄の知事選挙とそれ以降の自治体選挙。沖縄の民意は「辺野古に基地は造らせない」であることははっきりしているのに「辺野古が唯一」と言い放つばかりです。デニー新知事との会談でも「寄り添う」はポーズだけでした。それだけでなく、岩屋防衛大臣は、県の辺野古埋め立て承認撤回に対して、行政不服審査法に基づいて国交大臣に執行停止の請求を行いました。この法律は行政などの行動で被害を受けた民間人や団体がその停止を求めて訴えるためのもので、防衛省が同じ内閣の国交省に訴えるやり方は法律の趣旨を逸脱し茶番劇、詐欺まがいとさえ言えるもので違法です。こんなやり方にはファッショ的臭いを感じます。(*防衛省は2015年にも同じ手法を用いた)彼らは、沖縄の訴えを聞くのではなく、埋め立てに着手すれば、人々の間であきらめの気運が高まるだろうと期待しているのです。

 こうした政府・防衛省の強引なやり方が進もうとする中で、土砂搬出予定港としていた本部港が台風24号、25号の被害で使用不可能になり、それでも強引な使用許可要請に対しては本部町が拒否しました。困った沖縄防衛局は、名護市安和区の琉球セメントの桟橋を必要な沖縄県の許可なく使用しようとしています。これも明らかな政府による違法行為です。この琉球セメントは、安倍の地元山口県にあり、安倍と親戚関係で政治資金も提供している宇部興産と深い関係にあります。

 知事選勝利以降も辺野古のゲート前の座り込みや、埋め立て予定の海でのボート・カヌーの戦いは拡大しながら闘われているが、埋め立て土砂搬出をとめるための闘いが本部町や名護市安和区でも始められています。
 また、市民の自主的署名運動で9万2848筆(有効署名、押印漏れなどを含む署名総数は10万950筆)集め、県もこれを承認し「辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票」が2月24日に行われようとしています。この運動は先の県知事選での「辺野古埋め立て反対」の民意を一層確実なものとして打ち堅め、玉城県政を推し進めるために大きな意味を持っています。多くの市町村もその実施を担うとしていますが、石垣市や宜野湾市などいくつかの政府・与党系の市長、議会が民意を問うことを恐れ予算などを口実に、反対しまたは非協力に走ろうとしています。だから、われわれは、投票で「埋め立て反対」票を獲得するための運動に会わせて、これらの自治体の首長に投票を実行するよう働きかける取り組みも必要です。議会が投票に反対しても首長が決めれば実行することができることになっています。

 これらの運動には、住民に働きかけるための宣伝カー、ポスター、ビラ、のぼりなど多くの費用がかかります。事前投票のための交通手段を確保するためにも人員と費用がかかります。本土の人たちには、カンパでの協力をお願いします。

 私たちは朝鮮半島の非核・平和的民族統一の動きを見つめながら、平和運動、反基地闘争を進めていきます。朝鮮半島が平和になることは、日米両政府、特にあべ安倍政権が固持し続けている沖縄の基地体制ばかりでなく、本土の米軍基地、安保体制の存続の根拠が失われることにもつながっています。沖縄をアジアの「平和な緩衝地帯」とするという故翁長知事の遺志を実現することにもつながります。  

 日米両政府が進めているオスプレイの配備と購入、全国各地での訓練によって、これまで沖縄のことと思われてきたオスプレイなどの墜落による危険は本土でも現実化しようとしています。佐賀空港、岩国、横田、木更津など基地周辺はもちろん、全国的に広がる米軍機訓練空域は、沖縄が抱えてきた被害を全国化させます。安倍政権の下で放置されてきた、米軍の勝手気ままを許してきた日米地位協定の抜本的見直しを求める全国知事会の提言の主導力になった「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」を提案したのは故翁長前知事でした。

 翁長前知事の遺志を受け継ぎ辺野古埋め立て阻止、米軍基地撤去、東アジアの平和のための共同の取り組みを訴えます。




関西共同行動ニュース No79