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敗北を乗り越え、辺野古新基地阻止、知事選勝利へ (名護市長選を振り返って)

【真宗大谷派僧侶】 知花昌一



2月4日の名護市長選挙は辺野古新基地建設阻止を訴えた稲嶺氏が3458票の差で辺野古容認の自民党=政府の推す渡具知氏に敗北した。がっかりしている中で負けた勝負を振り返ることはつらいものである。相手の良さが目立ってしまう。逆にこちら側の欠点が浮き彫りになる。それでも総括するのは負けたことから次の勝利への多くの教訓が見えるからです。

名護市の目ぬき通りには「私たちは名護市長選での公開討論会の実施を求めます」の横断幕が市長選挙が終わった3月 30 日現在も掲げられている。渡具知氏が若者達の申し入れを拒否し続けていたからである。渡具知氏側の選挙は、有権者の関心を辺野古以外に向ける「徹底した焦点隠し」であった。渡具知氏も辺野古容認であるにもかかわらず「辺野古容認ではない、県と国との裁判の結果を見て判断する」として辺野古については欺瞞的に明確にしない。外部からの応援弁士にも辺野古や基地問題を禁句・「NOワード」にした徹底ぶりである。

政府によって基地再編交付金を打ち切られたことを理由に「取れる金を取っていない」「経済停滞」していると虚偽の宣伝し、若者の雇用・子育て支援、リゾート開発など経済振興に目を向けさせ、非正規、低所得の支持を得た。

前回まで自主投票としていた公明党・創価学会が渡具知支持を打ち出し、県中央から動員し支持層をまとめた。

今回から 18 歳で選挙権の行使がなされたが、渡具知氏の娘が高校3年生でスポーツ部で、友人の親を応援するLINEなどが大量に流れ若者を捉えた。

一地方都市の選挙にかかわらず重要性を認識し、自民党は2度も投入した人気の小泉進次郎や菅官房長官など国会議員・官僚を総動員し、無党派層を取り込み会社回りなど徹底した。それに加え前月には南城市でオール沖縄の瑞慶覧さんが自民党古参現役市長を破ったことで自民党は危機感を煽り、選挙戦を展開。その結果、期日前投票は投票総数に占める割合は 58 パーセントとなり、ほとんどが会社動員であった。その時点で勝負は決まっていたようなものである。

一方稲嶺さん側は、辺野古新基地反対を前面に打ち出し、焦点化しようとしたが最後まで相手を引きずり込むことができなかった。

世論調査や出口調査で3分の2が辺野古新基地反対であることに安堵し、「名護市が米軍再編交付金を切られても財政的にも健全で、経済振興も進んでおり、負ける理由はない、勝てるはず」と「慢心」が出て、必死さが足りなかった。

前回は有権者の3分の2の辺野古新基地反対票が稲嶺さんに届いたが、今回は、辺野古で連日300台の工事車両が出入りし、護岸工事が進んでいることを見せつけられ、政府に抗っても警察権力を動員して工事は押し進められ、運動の成果が見えてこないことで「反対してもどうせ作られてしまうんだ」と「あきらめ感」が醸し出され、それを払拭できなかった。

ITを活用した若者へのアプローチも相手側がうわまわったと言われている。地元の運動員よりも外部からの支援者が多く、目立つほど活発に動き、違和感が醸し出された。相手側は「外人部隊が自分たちの名護市をかき回している」とふれ回った。

名護市長選は一地方市の選挙であるが、日米安保・基地問題、ひいては 11 月の知事選にも影響が出る政治の重要課題であるにもかかわらず、基地反対側はその認識が薄く、有名な党首や文化人など無党派層をとり込む動きが見られなかった。

人生は失敗や敗北から多くのことを学び、乗り越えることで、豊かにするものである。

民主主義・選挙は、いろいろな要素・縁が絡み合って結果が出る。ときとしては多数であろうと思われることが敗北する。だけど4年に1度リベンジのチャンスがある。

沖縄は米軍基地問題について生活の問題としていつも選挙の争点になる。復帰して 45 年、県知事は、革新の屋良さん、平良さん、保守の西銘さん、革新の太田さん、保守の稲嶺さん、仲井眞さんそして保守ではあるが辺野古新基地反対の翁長さんときている。革新はもとより保守でも積極的米軍基地容認者はいない。沖縄には、選挙結果がどうであれ闘い続け、闘うことで時代を切り開いてきた民衆の歴史がある。

今回名護では結果として負けてしまって悔しい限りであるが、落胆する暇もない。4月 23 日から28 日まで500人結集し、工事をとめる奇跡の1週間をつくり、翁長知事の埋め立て承認撤回を後押ししようと辺野古で闘いが準備されている。 11月の知事選に是が非でも勝利する流れを作りたい。




関西共同行動ニュース No77