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関西沖縄戦を考える会 主催

「普天間の挫折と東アジア共同体構想」 【 鳩山友紀夫講演会より】  文責:齋藤郁夫





〔関西・沖縄戦を考える会の講演会が一二月一五日、エルおおさか南ホールでひらかれ、鳩山友紀夫さん(元首相、東アジア共同体研究所理事長)が講演した。講演を聞いた人からは、 「上品だ・腰が低い・政治家には向いていない・押しが弱い・理念は持っている・裏がなく誠実な感じ」等の感想を聞いた。以下はその講演要旨です(齋藤) 。 〕


■普天間移設で挫折


普天間移設問題で挫折をしたから、今後沖縄に寄り添っていくと決めた。 (私に) 今一番温かいのが沖縄の人たちだ、初めて「低でも県外、できたら国外へ」と言ってくれたと。

09 年政権交代し、普天間の代替地の候補地を 40余り探したが、奄美と徳之島だけで、そこもダメだった。オバマ大統領に会った時、 「今までどおりでなくてもよいが、できるだけ早く結論を出してくれ」と言われた。米国から辺野古への話はなかった。日本政府の方が米国を忖度して辺野古に移そうとしてきた。

役人は考えを変えず、米海兵隊訓練マニュアルなる外務省極秘文書により、北部訓練場から一二〇キロ以内でないとだめだといった。それによれば、移設先はほとんど沖縄だけになる。それで、総理を辞めた。その後極秘文書なるものを探したが、そんなマニュアルはなかった。この件は、朝日新聞も取材に来たが、記事にはならなかった。

年に三~四回は辺野古の座り込みに参加している。自分の責任として、辺野古NO!の結論が出るまで寄り添っていく。

■抑止力はあやしい

真の平和は武力ではなく対話と協調でしかつくれない。沖縄の離島(宮古・石垣など)への自衛隊配備に反対だ。沖縄を琉球の平和外交の状態に戻したい。平時には米軍は必要ない。常備駐留は不要だ。日本は日本だけで守ればよく、自衛隊増強は不要だ。周りと仲良くするのがいい。脅威は武力 × 意図だから、意図を減らせばいい。総理を辞めるとき、 「学べば学ぶほど抑止力が必要」 と屁理屈を言ったが、相手が攻撃しない状況をつくることが抑止力だ。

広島市長は「核の傘はイリュージョンだ」と言った。北朝鮮が日本を核攻撃したら、米国が攻撃するぞと安倍首相は言ったが、報復では終わらない。ロスが攻撃されるかもしれない。そのリスクを冒して米国は攻撃するのか。実際には、核が抑止力になるというのはあやしい。むしろ、エスカレートして紛争を起こしやすくなる。

「抑止力と言ってしまったのは間違いだった」と柳澤さんに言われた。


■尖閣問題

尖閣のことは、野田さんが石原さんの言葉にひっかかって国有化を宣言したので、中国も言わざるを得なくなった。周恩来と田中角栄の合意(棚上げ論)に戻すべきだ。

南シナ海などで確かに中国は軍備を増強しているが、これは当事者同士が結論を出すまで待つべきだ。中国の軍事費はGDPの一・三%で、日本とそう変わらない。米国は突出している。大切なのは対話と協調をどうつくるかだ。

広州での国際フォーラムの後、参加者が北京で習近平主席と会談した時、彼は「一つの花が咲いても春は来ない。すべての花が咲いて初めて春が来る」と言って、 〔2020年代にこの地球から貧困をなくす〕ための支援を表明し、 「我々は運命共同体だ、侵略や内政干渉はしないが、屈辱とは闘う」と言った。

私はアジアインフラ投資銀行の国際諮問委員会の委員の一人として、安倍首相と習近平主席との関係改善をしたいと思っている。それは世界の平和にとってよいことだ。東アジア共同体は本部を沖縄に置くのが、私の夢だ。将来は北朝鮮にも入ってもらいたい。拉致問題解決の環境づくりとしても役立つ。

沖縄の民意に寄り添った活動をしていこう。


■質疑応答(要旨)

① 普天間移設、今ならどうする?

―今なら、海兵隊に帰ってくれと言える。

② 今は官邸の力で役人は右往左往しているが、民主党政権時代の役人は?

―民主党政権の時も、内閣人事局をつくろうという話はあったが、つくらなかった。今は内閣人事局が相当の力を持っている。

③ 地位協定について

―変えたいとは思ったが、役人は運用でやればいいと。イタリアやドイツははるかに正しく変えている。協定を変えるのは政治しかない。

④ 日米合同委員会について

―この内容は表に出ない。総理にもわからない。米国従属を変える、真の独立のためには変えるしかない。それは、沖縄だけの問題ではない。

⑤ 東アジア共同体について

―東アジア共同体構想は、不戦共同体だ。EUが戦争を防ぐための経済同盟からつくられたように。東アジア共同体ができないのは、日中韓の不仲が大の問題だ。しかし目標に近づいてきている。ASEANは共同体だ。東アジア共同体ができるのは時間の問題だ。ロシア参加は大歓迎だ。米国が外されたと思ったことが鳩山辞任の原因だが、米国を外すと思われたのなら、それは誤解だ。

⑥ トランプと安倍のインド太平洋戦略をどう思うか

―インドを入れ中国を外している。「自由と繁栄の弧」に似ている。

⑦ オール沖縄に学び野党共闘のまとめ役・立憲民主党の顧問はできないのか

―安倍政治をこれ以上続けさせてはいけないが、そんな依頼は来ないだろう。安倍政権に対抗する旗を揚げ、一人一人が結集して闘わないと無理だ。

⑧ 総理時代に何が一番つらかったか

―普天間のことは政権全体のことだが、個人的なことでは、母からもらった「子供手当」で批判されたことだ。会計責任者しか知らなかった。女房は、机をドンと叩いて、もらって何が悪いと言いなさいよ、といったが。

⑨ 鳩山友紀夫という名前はいつから?

―戸籍は変えていないから、ペンネームだ。友愛に関係しているので、総理になる前から考えていた。




関西共同行動ニュース No76