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■編集後記■

「八リウッド・テン」ということばで象徴される が、 50 年代のアメリカ全米を席巻した赤狩り=「非 米活動調査委員会の査問」において、ハリウッド関 係者の多くが職を失い、逮捕・勾留された。作家リリアン・ヘルマンの自伝的作品を映画化し た 77 年作の「ジュリア」という映画がある。その映 画を観たとき、主人公として登場するヘルマン自身 がどういう人物であったのか非常に興味を持ち、こ の時代を回想したヘルマンの著作「眠れない時代」 を読んだ。

ヘルマンが眠られなかったのは、この非米活動調 査委員会そのものの反動性故ではなく、およそ 10 年 も持たない暗雲の時代であったにもかかわらず、誇 示していた信条をたやすく放棄して、恥じることが ない多くの同僚の存在を見せ付けられたからだっ た。自らのこれまでの言動を謝罪し、そして進んで 仲間の行動を告発することが求められたとき、直前 まで「そんな破廉恥なことができるか」と声高に叫 んでいた当人が、委員会では進んで証言した。無論 そうしなければすべての財産を失うことになった。 そして、大量のブラック・リストが作られた。

回想録の最後で「この時代を許した結果、ヴェト ナム戦争とニクソンの時代がやってきたのだ。そし て問題は、あの時代の過ちを誰ひとりとして認めな いばかりか、まるでなかったことであるかのように この国が振舞えることを明らかにしたことだ」と語 る苦々しい言葉が、今の自身の有り様に重なり胸に 突き刺さる。リリアン・ヘルマンは、両視力を失う も 79 歳まで生き、 84 年に亡くなった(古橋) 。




関西共同行動ニュース No75