集会・行動案内 TOP
 
安倍政権の自発的対米従属・・・ワシントン拡声器とは-
アメリカの民衆と一緒に沖縄 基地、原発問題の解決をめざそう!
【 新外交イニシャティブ事務局長】猿田佐世
報告:星川洋史 (関西共同行動)



〔7月 22日、「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」の年次総会で「自発的対米従属をどう克服するか」と題して猿田佐世さんの講演会を行いました。猿田さんは、米国・ワシントンでの活動をもとに日米関係、沖縄辺野古基地問題、原発問題など、具体的な例を豊富に取り上げましたが、その内から中心的課題の日米関係の発言部分をここでは取り上げました。―星川〕

日本ではアメリカが全体として、外交、軍事(基地)、経済問題、尖閣問題、従軍慰安婦問題などで事細かく迫ってきていると感じがちですが、実はアメリカの政界、ワシントンでは全体で日本のことを真剣に、詳細に考えている訳ではありません。そうした政治家、政府関係者、知識人はごく少数です。多くて 50 人、少なく見れば3人というところです。


そのごく少ない日本通の中心的な人がアーミテージとナイです。彼らは、アメリカの中ではそれほど有名な人、重要な人ではありません。


その彼らが出した第3次アーミテージ・ナイ報告書(2013年2月)では、原発の推進、安保法制、自衛隊に海兵隊能力を、武器輸出3原則の撤廃などを要求しています。日本の政府や日本のマスメディアは、この報告がアメリカ全体の声のように扱います。


日本政府は、日本に注意を引きつけるためにアーミテージやナイなどのシンクタンクにお金を出し、日本研究を働きかけます。それを引き継ぐ人をつくるために大学にも金を出しています。この対日政策コミュニティーに入れる条件は「日米同盟の強化」「米軍のアジア太平洋でのプレゼンスの強化」「TPPの推進」などを認めることです。その中では日本政府の要求に対して「いいね」 「いいね」にしかなりません。これは、日本政府の手によって「アメリカの声」がつくられていることを意味します。自発的対米従属そのものです。それを引き出し、利用することで自分たちの利益を引き出しているのです。アーミテージ報告書を出したCSIS(国際戦略研究所)は、そうした機関の最大のものです。


リチャード・アーミテージ


ジョセフ・ナイ


ワシントンでは、多くの日本政府関係者、原発や武器輸出に関わる大企業の社員、世界を動かす情報を得るための大手メディアの人たちが働いており、ロビー活動に参加しています。さらに二階さんや片山さつきさんら自民党議員達もワシントンによく出かけます。


ワシントンでいちばん沢山ロビイストを持っている国は日本です。このロビイスト達が、従軍慰安婦決議が出ないように議会に働きかけたり、教科書で「日本海」を「東海」(韓国名)と書き換えられないようにとロビー活動も行っています。


しかし、こうしたやり方が、これまで成果を創り出している事も事実です。日本政府の意思をワシントンの意思と称して伝えることは、マスメディアの協力もあり大きな声となります。


私はこれを「ワシントン拡声器」と呼んでいます。


しかし、この構造は日本からアメリカだけでなく、トランプ政権下では、アメリカから日本の方向でも起こっています。アメリカのエスタブリッシュメントが、トランプ政権誕生直後すこし道を外れるトランプ氏を日米同盟の道に引き戻し、米軍と自衛隊の一体化に引き戻すのに安倍首相を使いました。これは、普天間基地の「少なくとも県外発言」で日本の外交官僚がアメリカの日本ロビー引き出し、鳩山首相を引き下ろしたのと構造的には同じです。

私たちも、独自の外交活動でアメリカの外交に 影響力を発揮する必要があります。政府とは違う、国会議員外交、地方自治体や専門家の外交でアメリカに働きかける必要があります。例えば辺野古基地建設の問題でも、アメリカの環境団体に対しては辺野古の自然を守る必要性を訴え、女性団体に対しては米軍・軍属による沖縄でのレイプの問題を伝えるなど必要です。働きかける相手が少しでも得になるように話すなども必要だと思っています。


私は、そうした活動も行って、辺野古新基地建設を止めるためにも頑張ろうと思います。




関西共同行動ニュース No75