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近畿の軍事基地化と私たちの課題

【米軍Xバンドレーダー基地反対京都/近畿連絡会 代表世話人】 大湾宗則


■はじめに

京都を中心として近畿の軍事要塞化は朝鮮半島を睨んで急速に進んでいる。

航空自衛隊経ヶ岬駐屯地が日米共同使用され、14年10月、その敷地内に米軍Ⅹバンドレーダーが配備され、そのため自衛隊基地が拡張されている。

航空自衛隊経ヶ岬駐屯地に同居する米軍経ヶ岬通信所でⅩバンドレーダーが運用されて2年強が過ぎた。昨年11月から米軍共同使用として更に陸上自衛隊福知山射撃場が加わった。この外、日米共同使用されている基地は、近畿には滋賀の饗庭野に3つの日米共同基地があり、兵庫には伊丹駐屯地がある。いずれも日米地位協定適用の治外法権がまかり通っている。

米軍Ⅹバンドレーダー基地を中心として再編されている近畿の軍事要塞化は、予想されるTHAAD導入によって一段と強化され、舞鶴海上自衛隊基地が日米共同使用に加えられれば、軍事要塞は完成する。なぜなら舞鶴はイージス艦の母港であり、ヘリ基地用の滑走路があり、オスプレイ駐機も可能で、強襲揚陸艦の接岸も可能である。そして日米共同使用の航空自衛隊小松基地は、戦略爆撃機で補給される可能性がある。

トランプ米大統領の世界戦略からすると、この安上がりな自衛隊基地の日米共同使用はさらなる一般化が予想される。これは同時に日米軍事一体化であるが、「頭脳はアメリカ、手足は自衛隊」として益々私たち国民が、「金も血」も支払うことになりそうだ。

正念場を迎えた沖縄では、辺野古の新基地建設がなされれば日米共同使用となる。辺野古新基地が予定されている運用範囲は、南の東南アジアからインド、西の中国、東の朝鮮半島が活動領域にあり、その任務はアジアに投下された日本の資本権益を防衛するための戦略的前進基地として作られようとしている。

一方、米韓政府合意として韓国の星州に米軍のTHAADミサイル(高々度終末弾道迎撃ミサイル)とXバンドレーダーがセットで配備準備が進められている。津軽・車力分屯基地と経ヶ岬分屯基地、韓国・星州(金泉ロッテゴルフ場)のTHAAD・Xバンド、これに日米韓のイージス艦のレーダーと日本・沖縄各地、韓国各地のPAC―3ミサイルなどを組み合わせれば、東アジアに日米韓のミサイル防衛(MD)戦略網が完成する。これと並行して日韓軍事情報包括保護協定が調印されており、朝鮮との緊張激化が一層高まることになる。ここ京都/近畿は、朝鮮敵視政策の最前線として作られつつあり、東アジアミサイル防衛(MD)戦略の地理的中心が京都・近畿である。だからこそ、この近畿の軍事要塞化に反対する闘いは、「沖縄・韓国(星州)・近畿」を結んだ国際連帯が是非とも必要になっている。

Ⅰ.沖縄は、アジア人民に向けられた日米共同の前線基地

日本政府は、「防衛(安全保障)・外交は、国の専権事項」を振りかざして、沖縄の高江でオスプレイパッド建設を強行し、今、辺野古新基地建設のための大浦湾埋め立て工事を再開している。

12月22日、北部訓練所の4000ha/8000ha返還(式)と引き替えに高江を取り囲んで建設された新たな6パッドは、辺野古新基地完成後はオスプレイ用のパッドである。

沖縄戦と日米安保で盗んだヤンバルの森を71年間も蹂躙し、不用な土地を返す代わりに高江周辺の6つの新オスプレイパッドを建設することは、米軍の運用効果を高めた基地再編であり、この運用は日米共同で行われ、朝鮮半島、アジアに向けた人民抑圧の前線基地として沖縄県民に対する更なる基地被害の増加以外でしかあり得ない。

これが「沖縄の負担軽減?」か、怒りがこみ上げてくる。

Ⅱ.安倍内閣の本気度は着実に実行されている

a.14年7月2日、安倍内閣は、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、15年9月19日、安保関連法案を参議院で強行可決・成立させた。

b.安保法制関連法が成立するとすぐ、「内戦」状態の南スーダンへ自衛隊が派兵された。自衛隊員は武器使用の規制緩和で初めて人を殺す場面に直面する。訓練された自衛隊員も躊躇する。しかし、軍隊に躊躇は許されない。相手を「虫けら、生きる価値のないもの」と差別的に思い込むことで相手を殺すことが可能となる。

沖縄で起きた機動隊員の「土人・支那人」発言は、単に沖縄差別とだけ見てはならない。軍隊と警察・機動隊という暴力装置が「人殺し可能」になるための教育、精神訓練を受けていることに注視しなければならない。

c.つづいて沖縄における辺野古高裁・最高裁判決、厚木における最高裁判決で民意無視の政治が行われた。

砂川闘争の最高裁判決でさえ、「日米安保条約は高度な政治問題。それが違憲かどうかは裁判所ではやらない」と第三者統治論(国会にゆだねるべし)を持ち出し、司法判断を回避した。

しかし、辺野古裁判では、特に高裁判決では、「(戦後70年の経過や現在の世界・地域情勢から)辺野古新基地建設には合理性があり、尊重すべきだ」「県内に普天間代替施設が必要である。候補として本件新施設などがあげられるが、他に県内の移転先は見あたらない」「国防・外交に関する事項に地方公共団体は権限も責任を負う立場でない」「仲井真前知事の承認取り消しは、日米間の信頼関係を破壊する」「新基地建設は日米安保と日米地位協定に基づく」「新基地建設に反対している民意には添わないが、普天間飛行場その他の基地の負担軽減を求める民意に答えている」と、日米安保、日米地位協定を当然とばかりに前提とした判決、驚くべき違憲判決が下された。そして最高裁は沖縄県の上告を棄却し、この高裁判決を確定した。

どうしてこのような強権的な政治が行われなければならないのか。それは「安倍の戦争好き」「安倍は米国のポチ」と片付けることでは済まない。安倍が退陣すればこの暴虐は収まるのだろうか。そうではない。安倍内閣も資本家階級を中心とする支配階級の単なる代理人でしかないのだから。

また、厚木基地における爆音訴訟の判決は、米軍機のみならず、自衛隊機の夜間・早朝離発着も防衛省の運用内と判決し、国内法適用から自由にした。「国策による防衛は『国内・治外法権』」などということは、断じて許してはならない。

Ⅲ.朝鮮半島敵視・最前線基地近畿における反戦闘争の課題

A.京丹後・福知山に拠点を作ろう

一昨年12月25日の人身事故、昨年12月10日の人身事故を受けて地元京丹後・宇川の区長会から改めて防衛省に率直な住民意見が出され、京丹後市長や京都府など行政も米軍に対して「米軍人・軍属の交通事故防止のため、運転講習を受けた後に運転を許可する」という要求を出すまでに至った。また、区長や「憂う会(米軍基地建設を憂う宇川有志の会)」、宮津の仲間と交流し、住民との話し合い・交流も深まった。しかし、未だ京丹後に拠点を作るに至っていない。

米軍による陸上自衛隊福知山駐屯地の実弾射撃場の使用が昨年11月から開始されている。9月から反対闘争を開始し、現地訪問活動、福知山市への抗議申し入れと街頭宣伝活動を行ってきた。ここでも少しずつ友人ができつつあるが、拠点に至っていない。

B.日米共同使用の自衛隊基地反対闘争の開始京丹後で起こる交通事故、騒音、日米地位協定に関わる抗議行動などを掲げて、防衛省中部防衛局、京都府、京丹後市、京都府警などへ闘いを行ってきた。

また、月二回の京丹後・宇川への訪問活動、京都市内での「まちなかビラ」活動、報告集会、反弾圧集会、Xバンドレーダー基地撤去の現地集会、チラシ、ニュース、「会報」パンフなどの教宣活動、沖縄現地派遣、韓国・星州現地派遣など多彩な活動を取り組んできた。これを支えるため毎月の運営委員会、会員同士の討議と学習の「例会」、財政活動なども取り組まれてきた。

京丹後・福知山での拠点作りはこれまで通り継続するが、自衛隊基地拡張反対闘争がスローガン倒れになっている。

自衛隊や「防衛・外交は政府の専権事項」は、いずれも違憲である。自衛隊は憲法の如何なる条文の裏付けもない。「専権事項」も同じである。

54年に成立した自衛隊が今日までに成長したことは、反戦、反基地、憲法闘争の敗北の結果であるが、だからといって自衛隊が違憲であることを取り下げてはならない。

しかし、自衛隊は既に「国民の支持を得ている」ことは、世論調査で示されている。この国民の支持を得ている自衛隊と基地に対して、現在進んでいる自衛隊海外派兵の違憲性、日米共同使用及び自衛隊の膨張と海兵隊仕様への組織再編、これらを暴露しながら、改めて自衛隊海外派兵反対、自衛隊違憲闘争を作り上げていかなければならない。



C.沖縄辺野古新基地建設も正念場を迎えている

近畿の軍事要塞化阻止闘争を踏まえて沖縄闘争に連帯する。

辺野古新基地建設阻止の沖縄への連帯は、京都に於いては、「No Base!沖縄とつながる京都の会」と密接に連携し、辺野古への現地派遣、京都、近畿での集会、報告会、デモを敢行し、街頭情宣やニュース、「会報」、「パンフ」の発行など情宣活動に取り組む。そして近畿各府県の取り組みも要請する。

D.日米合同軍事演習に反対し、国際連帯精神を高揚させよう

3月から始まる米韓合同軍事演習とそれに後方支援を装った日本の自衛隊参加を絶対許さないという闘いを準備する。今ほど国際連帯が必要なときはない。

具体的には、4月1日、京都で「米韓合同軍事演習徹底抗議」の集会・デモを京都・近畿における諸団体全てに呼びかけ、共同闘争として取り組む。この取り組みを成功させるため、周到な準備を進める。集会、デモ、報告会 情宣活動 近畿集会、全国集会の準備。

E.THAAD配備阻止闘争の準備を!

日本政府・防衛省は、17年度予算でTHAADミサイルを自衛隊に配備する予算を計上した。既に稲田防衛相がグァム米軍基地でTHADミサイルの視察を終えている。配備地は未確定だが、朝鮮半島を対象にしているという点で日本海に面したところ、THAADミサイルの射程距離が200㎞という点を考慮すれば、日本の戦略拠点以外にない。

京都/近畿へのTHAADミサイル配備阻止闘争に備えるためにも「米韓合同軍事演習徹底糾弾闘争」を成功させ、京都/近畿に反対闘争の大団結を築きあげなければならない。



関西共同行動ニュース No73