集会・行動案内 TOP
 
■編集後記■

―日本帝国主義を排す

大陸と日本との間の海を「日本海」と呼ぶか「東海」と呼ぶかということで、呼称をめぐる覇権争いがある。昨今問題の東南海(南シナ海)諸島だが、大きく分けて「東沙諸島」「中沙諸島」「西沙諸島」そして「南沙諸島」があり、「南沙」を除き中国の言う呼称で統一されている。そうした事実上の領有権がすでに中国にあるということだ(羽根二郎・明大講師講演から)。そして「南沙」は中国含め現在6カ国が個々島々に対し領有権を主張しており、今回その内のフィリピンが国際司法に訴え出て「中国の領有権を認めない」とする判断を得たわけだが、結局、先頭に立って抗議しているのは日本フィリピンだけで、それは無論アメリカの思惑を代弁する二国であるからに他ならない。

そういった実態を踏まえていえば、今回の件で問題は二つだ。たしかに中国の位置からは大きく「中国の舌」と揶揄されるように異様な形での領土権の主張だが、ここまで中国の覇権が及んだ経緯は、日本が日清・日露戦争以降、台湾を植民地化する過程で、中国人を労働力として酷使しつつ資源を求めて南下していった結果に過ぎない。中国の領土権主張の背景には日本のアジア侵略の歴史があるということだ。そしてだからこそ無条件降伏した日本は、サ条約で南沙・西沙のすべて権利を放棄させられている。

もう一つは、今回の仲裁裁判所の判断を認めないと抗議しているのは、中国だけではなく台湾も含めてであり、それは「いわゆる人の住めない岩礁は島ではなく、従って領土権を有しない」とした判断に対してであるが、日本政府が「今回の裁判は日本の問題には関係しない」と抗弁し「法の判断を守れ」と声高に叫べば叫ぶほど、そのことはブーメランのように返って来て、日本の最南端の排他的水域を根拠付ける「沖ノ鳥島」が、今や岩礁ですらない事実が浮上してきた点だ。子どもじみた日本の稚拙な主張は、見ていて哀れだ。

日本は四海を囲まれているが、ロシアとは北方4島で、韓国とは竹島で、尖閣では中国と占有権をめぐって争っている。残る海域にアメリカが位置するが、むろんそこでの争点はない。なぜなら、そもそもこれらの領土問題の起源が、戦後アメリカに「文句を言いなさい」と指示されたものあるからに他ならない。日本のアジアにおける不安定化こそが、アメリカ隷属の根源にある。

(古橋)



関西共同行動ニュース No72