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これからの辺野古は 【ヘリ基地反対協議会・共同代表】 安次富浩



 翁長知事は、9月21日、国連人権理事会のなかで、わずか2分間のスピーチで、しっかりとうちなんちゅの思いを、国際舞台で発言した。「沖縄の70年間にわたる、基地問題は、まさに差別そのものだ。なぜ在日米軍基地施設面積の74%も沖縄に集中するのか、日本の国土の0.6%の沖縄に、74%の米軍基地が集中するのはおかしい。これは沖縄差別だ」と。さらに、「人権侵害でもある」と発言した。そして、「辺野古には基地は絶対につくらせない」とする政治信条は健在である 。

 埋め立て承認取り消しの失効停止した石井啓一国土交通相の決定(10月27日)を不服として、翁長知事は11月2日、「国地方係争処理委員会」(係争委)に対し、審査の申し出書を提出した。その理由として、①公正・中立という行政不服審査制度に沿って判断する国土交通相が「辺野古が唯一の解決策」との閣議決定方針から公正・中立の判断はあり得ない。②公有水面埋め立て承認は、国が米軍基地の建設を目的として行うものであり、執行停止決定が沖縄防衛局長を私人と同様の立場にあると認めたのは明らかに誤りであると明確に指摘した。「国地方係争処理委員会」の結論は法的に90日以内とされており、1月30日が期限となる。どのような結果がでるのか注目したい。また翁長知事は11月6日、石井国交相に対して「埋め立て承認取り消し」は適法である旨の質問状を送り、国交相からの是正勧告を拒否する回答文書も発送した。

 安倍サタン政権は是正勧告に従わない翁長知事に対して、11月17日「代執行」の行政手続きを福岡高等裁判所那覇支部に提訴した。一方で最高裁は10月30日付の人事で福岡高裁那覇支部長に多美谷寿郎判事を就任させた。最高裁による突然の人事異動の目的は、成田・三里塚農民の市東孝雄さんの農地を成田空港会社へ土地明け渡しを命ずる不当判決を下した反動判事を送り込むことにあった。安倍サタン政権へ露骨に協力する最高裁の醜い姿勢に怒りを覚える。

 今の日本には「在日米軍基地は憲法違反」とした伊達判決( 57年7月)を覆した最高裁判決( 59年12月)以降、日米安保条約に関して「高度な政治的判断を要する」と司法判断を避け続け、行政への配慮から司法の独立を失い、したがって三権分立は存在しないのである。しかし、法廷闘争は必要である。12月2日には代執行の口頭弁論が始まる。政府との全面対決が司法の場でも到来する。福岡高裁那覇支部を包囲するうちなーうまんちゅ(大衆)のマグマを爆発させなければならない。

 来年1月には宜野湾市長選挙が行われる。宜野湾市民は24日の投票日に向けて、熾烈な選挙戦に入った。現職の佐喜真市長は「辺野古移設反対」を避け、「危険性の除去」のみを主張し、自民党右派・日本会議に所属している人物である。安倍サタン政権は西普天間地区の軍用地解放で後押し、現職先行の選挙戦に持ち込んでいる。

 元県土木建設部長であった志村候補をオール沖縄で推薦し、「普天間基地即時閉鎖、オスプレイ配備撤回」、「辺野古新基地建設反対」の統一スローガンで厳しい選挙を迎えつつ、前回選挙で上滑りの選挙戦を反省し、どぶ板選挙を展開中である。

 翁長県知事と稲嶺名護市長および宜野湾市長は辺野古新基地建設阻止に向けての政治的な三本柱、否、三本の矢である。志村候補の必勝は安倍サタン政権のみならずオバマ政権への大きな動揺を来すであろう。

 来年6月には県議会選挙も控えている。翁長県政与党の過半数維持を目指して、現職議員のみならず、新人候補も奮闘している。オール沖縄の力で安倍サタン政権に服従し、公約違反の自民党県議や保守系無所属県議たちを多数落選させねばならない。

 そして、7月の参議院選挙を迎える。オール沖縄は元宜野湾市長の伊波洋一氏を統一候補として推薦している。島尻(島売り)安伊子議員は安倍サタン政権の沖縄北方担当大臣として就任した。選挙違反まがいのカレンダー問題を抱えており、多くの県民から嫌われているため、「予算確保」を目玉に保守層や経済界の支援を当てにしての大臣登場である。すこぶる政治的な人選である。島尻(島売り)安伊子議員は県外移設の公約を真っ先に裏切り、「特定秘密保護法」の参議院審議において強行採決の先導役を担った反動的人物である。彼女は「台所から政治へ」とスローガンを掲げているが、本音は「台所から戦場(いくさば)へ」と声高に叫びたい議員であろう。前回の参議院選挙における当選理由を「県民が県外移設の公約を支持してくれたから」と記者会見で述べている。島尻ではなく「島売り」である恥知らずな女性議員を絶対に落選させなければならない。

 一方で、今回の参議員選挙は憲法違反の「戦争法制」を廃案に追い込むための大事な選挙である。積極的平和主義と偽って「戦争ができる国づくり」にまい進し、アメリカと共同歩調する安倍政権に平和を創ることができない。全国各地において、沖縄に続けと統一候補の擁立が求められている。「若者を戦場につれていくな」とのスローガンで大同小異に付くぐらいの太っ腹な選挙運動が求められている。SEALDsやママさんたちと共に反原発・脱原発、戦争法制反対、反TPPの統一行動が必要である。この国を変えるためにも。

 翁長知事を孤立させないうちなーうまんちゅ(大衆)の闘いの構築が必要となってきた。経済界や翁長支持の保守層も網羅したオール沖縄の闘う体制が早急に必要となってきた。「イデオロギー対立より、沖縄のアイデインテイー」と訴える翁長知事をしっかりと支える、うちなーうまんちゅ(沖縄大衆)の協同闘争が求められている。

 オール沖縄の目的は何か問われれば、「自己決定権」の確立である。沖縄の将来はうちなんちゅが決める。沖縄の未来を永田町や霞が関の住民たちにゆだねない。戦後70年、基地問題に苦しめられてきたうちなんちゅとしての当然の権利である。

 日本政府が外交・防衛政策を「専管事項」=国策と言いくるめ、沖縄への軍事基地との共存・共生の強要に対して明確に拒否する。朝鮮戦争から始まり、ベトナム戦争、イラク・アフガン戦争に至る米軍の前進基地となってきた沖縄。新たに対中国戦略の前進基地と位置付け、自衛隊との共同使用をとおしての軍事要塞化を狙う日米両政府。沖縄を再び「戦場(いくさば)」にしないため、「積極的平和主義」と標榜しながら戦争ができる国づくりにまい進する安倍サタン政権と対決し、平和的生存権と抵抗権を行使して行く。戦争法制や脱原発、反TPPなど日本の民主化に立ち上がるやまとの多くの市民たちとつながっていくことが肝要である。

 戦後70年の今、否、琉球処分以降の苦難な沖縄の歴史を振り返り、新しい未来像を創り上げよう!我が沖縄は、東アジア共同体の一員として、東アジアの人々と共に、平和な東アジア共同体を創らねばならない。太平洋に浮かぶ小さな島々―済州島、琉球諸島、台湾に繋がるラインは大国の利益に振り回されず、軍事基地が存在しない非武装地帯とし、自然豊かで平和な島々を取り戻すために国際連帯が必要となっているのである。

 たとえ困難な状況に直面しても、沖縄民衆の伝統的な闘争スタイル、じんぶん(知恵)をフルに使い、非暴力・直接行動をもって、したたかに、しなやかに抵抗し続けることから展望が切り開かれる。決してあきらめない!




関西共同行動ニュース No70