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戦争法廃止、立憲主義の確立に向けた「総がかり実行委員会」の今後のたたかいについて
【戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会】 高田 健



 昨年の春以来、全国で展開された集団的自衛権に関する憲法解釈の変更と、そのもとでの戦争法案に反対するたたかい(筆者は「2015年安保闘争」と呼んでいる)は、9月19日未明の「強行採決」によって、一旦、区切りがつけられた。8月30日の国会12万人、全国100万人行動を頂点にした戦争法案廃案の闘いの高揚は、60年安保以来といって過言ではない。私たちはひきつづき、戦争法廃止のたたかいにチャレンジしていくのだが、ここで今後の運動の課題・展望について簡単に述べたい。

 いま運動圏の多くには60年安保、70年安保の後のような「敗北感」はない。たしかに法案廃案の闘争自体は敗北した。しかし、行動した市民の意識では、かつてない運動の高揚を作り出したことへの確信と、戦争法施行へ動き出す安倍政権への怒りと危機感による運動継続の意志が強いからだ。

 強行採決によって、憲法9条と違憲の戦争法制が併存する容易ならない時代となった。まず、南スーダン「駆けつけ警護」が検討されている。当初の政府の予定を先送りして、参院選後、11月という説もある。しかし憲法9条は痛手を被ったが、どっこい生きている。違憲の立法は「可決」されても違憲だ(憲法第98条)。

 結果として、法案は阻止できなかった。私たちの闘いは、当初は容易ではなかった主要野党の結束を作り出したが、与党内の大きな分岐を作ることはできず、強行採決を許した。一部には地方保守層の離反や、公明党支持層の離反も生まれたが、法案の成否に大きな影響を与えることができなかった。

 異常に高かった安倍政権の支持・不支持率は逆転させたが、支持率が30%台以下には下がらなかった。デモに出るほどの余裕すらない非正規労働者層や、中小零細企業家層、あるいはアベノミクスに期待するサラリーマン層などへの浸透は不十分だった。労働運動ではごく一部でストライキが行われたり、大手の労組の一部が旗を持ってデモに参加したこともあったが、全体に職場での運動は作れていない。街頭の反応や女性週刊誌の報道など、女性や、専業主婦層の関心の高まりは、必ずしも呼応しなかった多くの層の家庭に食い込む上で貴重な経験であり、あと一歩のところではなかったか。

 私たちは運動が抱えた不十分さを克服しながら、さらに闘いを続けることになる。

 9月19日を忘れない「19日行動」を軸にして、全国統一街宣(毎月第3火曜)をはじめとするさまざまな行動を展開する。 南スーダンPKO駆けつけ警護をはじめ戦争法発動阻止の運動と合わせて、廃止法案など廃止法運動を推進しなければならない。

 また法曹関係者を中心に準備されている違憲訴訟(国賠訴訟)、差し止め訴訟を市民運動の側から支援し、協力する運動をつくる。

 あわせて戦争法廃止の運動を、安倍政権下での喫緊の課題でのたたかいをたたかう広範な人びとと共同してすすめることが必要だ。具体的には、沖縄辺野古埋め立て反対、原発再稼働反対、労働法制規制緩和などに反対する課題と連帯して安倍退陣の運動を展開する。

 戦争法廃止の全国統一署名運動2000万を、2016年5月3日の憲法記念日をメドに全国いたるところでやりきる運動を強める。

 これらの闘いを、戦争法廃止、立憲主義の復権を課題にした野党の共同を推進する。参院選挙における野党の選挙協力の成否は市民運動の高揚いかんにかかっている。



関西共同行動ニュース No70