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暴力的辺野古基地建設強行に身をもって立ちはだかる沖縄 【基地・軍隊を許さない行動する女達の会】  高里鈴代


(高里さんの了解を得て、9月7日に京丹後市で行われた「日米地位協定を学ぶ」での高里さんの講演の前の部分を「沖縄からの現状報告」として「ニュース」に掲載することになりました。高里さんには無理を承知して頂いてありがとうございました。例によって文責はテープ起こしをした星川にあります。)

今、沖縄は北部の辺野古に、普天間基地の移設先と言うことで、新たな米軍基地が建設されようとしています。現在もそこにはキャンプシュワブという大きな米軍基地がありますが、ここ経ヶ岬と同じような岬になったところに、1500メートル級の二本の滑走路をもった基地を建設すると言うことで、 毎日、基地建設反対の座り込みが続いています。

基地建設予定地の広大な海を埋め立てるために、陸の方のゲートから毎日資材や土砂を積んだトラックやトレーラーが搬入されています。住民は、海でも基地ゲート前でも基地建設を止めるためにカヌーを出し、座り込みなどで抵抗をしています。

この抵抗闘争を報じる新聞などに「反対派」という表現が出ていました。「反対派が今70人」「反対派が150人」などと、抵抗している人たちを表現しています。それでわたしは、島ぐるみ会議の共同代表の記者会見があったとき、たくさんの記者に「反対派とはどういうことですか」と質問しました。沖縄では意識調査で8割の人が辺野古の新基地建設に反対しているのです。去年の12月に仲井真知事が公有水面埋立を受け入れましたが、地元の稲嶺市長も明確に反対し、市議会も反対です。そして去年の1月には41市町村の首長、議会の議長全員、さらに県議会議長も「基地の拡大とオスプレイの配備は認められない」とする安倍総理への建白書に署名しています。仲井真知事も4年前に当選したときには「普天間基地は辺野古ではなく県外へ」という主張でした。ところが昨年末、知事は東京の病院に入院し、退院して帰ってきたときに「受け入れます」といってしまいました。入院中に菅官房長官など政府高官と会い、最後に安倍首相に「沖縄県民140万を代表してお礼を言います。これで沖縄県民はいい正月を迎えられます」とまでいいました。沖縄県民は怒りを込めてみんなで県庁を占拠して座り込みました。

全体的には賛成しているのに一部が反対しているというのではありません。全体的に反対なのですが、みんなが辺野古に行くことはできないので、今は住民の人たち中心にそこで闘っているのです。だから、この人たちを反対派というのはふさわしくありません。今では新聞は「反対派」ではなく「反対住民」となっています。今回の京丹後の地元の人の62パーセントの人が「Xバンドレーダー基地建設反対」の意思を表明されました。あるいは反対の意思を持ちながらも表明することができない方もいらっしゃると思います。そうした状況の中での基地建設着工だったのだと思います。

5月27 日には、朝早くから工事が強行されたと聞きました。辺野古でも、集団的自衛権を閣議決定した日の7月1日着工されました。それまでずっと基地ゲート前で座り込みをしていましたが、「今日も工事がなかった」と帰宅した翌朝の午前3時でした。トレーラー40台で入ってきたのです。それに気付いた住民が朝早くから夜まで張り付きを再開しました。

すると今度は、住民を排除するために、これまでオープンだったゲートに鉄のアコーデオン式のドアが設置されました。その後、10メートルもの鉄のギザギザの山型の鉄板をゲートに入る道路の舗道上に敷き詰めました。「なんのためか」と政府・防衛省・各出先期間に問い合わせたところ「トレーラーなどが基地内の工事で出てくる泥をタイヤに着けたままで道路に運び出さないための泥よけだ。道路の破損を防ぐためにも」と誰が考えても嘘だと判ることを言うのです。それは、住民が痛くて座り込みができないようにするためなのは明らかです。彼らはこの鉄板を撤去しようとはしません。



海の方では、広大な面積をブイで囲み、その中でボーリング調査が始まっています。環境アセスの調査のための台船を守り工事を推進するために、海上保安庁の船、大きい物から小さい物まで17隻が出動しています。決して、海上保安庁の本務である海難に遭った船や人を助けるためではありません。巡視艇がカヌーを取り囲み、10人、20人と羽交い締めにし、拘束しています。しかし、拘束された人たちは半時間後には解放されます。海上保安庁には拘束していいという法的根拠はないのです。しかし彼らは工事を少しでも進めるために威嚇や排除を繰り返しています。カヌーの方も拘束から解放されればまた出船を繰り返します。わたしは、その海からここ経ヶ岬にやってきました。肌が焼けているのは辺野古焼けです。ますます磨きがかかっています。

カヌーに乗っている最高齢者は80才の女性です。座り込んでいる人には80代後半の方々もいます。

■辺野古でも経ヶ岬でも、住民無視、環境無視の米軍基地建設

ここに来る前に、Xバンドレーダー基地建設予定地に行ってきました。見えた海はすばらしいものでした。つい4月に国定公園になった沖縄の慶良間諸島の美しさにつながるものを感じました。ここになぜあえて軍事施設が建設されるのか。ここに住んでいる1600人の人たち、ここに生息する鳥たちのことを理解したなら、軍事基地はつくれないでしょう。

でも、なぜここに軍事基地をつくるのでしょうか。辺野古の美しいところころであろうと経ヶ岬であろうとつくろうとするのでしょうか。それは、地図を広げて地球儀をおいて「今の軍事的緊張はこことここだ」と、人びとの生活や環境のことなどお構い無しに、軍事的位置づけだけから決定しているとしか思えません。

基地ができるとフェンスで囲われることになるでしょう。そしてそのフェンスの中は観光地と見まがうほどにきれいなものになるでしょう。しかしその美しい米軍基地、そこに住み働く米軍人・軍属と周辺住民の関係はどうなるのでしょうか。70年という長い年月、巨大な米軍基地を押しつけられてきた沖縄の人間として、その経験からみなさんにお話ししたいと思います。

(この後、高里さんは、日米地位協定を中心に沖縄での厳しい現実とそれとの闘いを紹介しながら、京丹後市でも起こりうる問題を提起し、今後の連帯を訴えました。それについては、米軍Xバンド基地建設反対連絡会などで紹介されることになります。ご参照下さい。)





関西共同行動ニュース No66