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うちなーの誇りを守り、辺野古埋め立てを絶対に阻止する!【ヘリ基地反対協共同代表】安次冨浩

去る1月19日の名護市長選挙は名護市民の良識が稲嶺ススムの圧勝をもたらし、政府・自民党の傲慢な「アメとムチ」の選挙介入を退け、うちなんちゅの誇りを放棄して「埋め立て承認」した仲井眞知事に対する不信任を突きつけた。多くのうちなんちゅは選挙結果を「したいひゃー(よくやった!)」と喜び、日米両政府へ溜飲を下げた。この市長選では元自民党関係者たちが安倍政権や自民党本部の理不尽な圧力に屈した県選出自民党国会議員5人と沖縄県連の公約破りに怒り、沖縄のアイデンティティをかけて、自主的に稲嶺ススムの選挙応援に駆け付けた。仲井眞知事の支持母体であった県経済界からも、「観光こそ平和産業」とキャンプ・シュワブの撤去を訴える選挙支援もあった。また、公明党県連は県外移設を堅持し、自主投票を指示し、創価学会員の多くは稲嶺支持であった。名護市長選がオール沖縄の再構築に向けて先鞭を切ったのである。稲嶺市長は5月15日訪米し、「辺野古NO!」のキャンペーンを展開中である。

 政府・自民党の選挙介入は凄まじいものであった。石破幹事長は「基地問題は政府の専管事項」と暴言を吐いた。しかし、オーストラリアの外交公開文書によると、日本政府は復帰直後の72年10月、米国側から提案された「在沖海兵隊の本国撤退」案を拒否し、「継続駐留」を望み、その見返りとして「思いやり予算」へ繋がる駐留経費の財政援助を約束した。政府が在沖海兵隊の撤去計画を潰したのである。その結果、うちなんちゅは在沖米軍から派生する事件・事故の被害を強いられてきた。政府は米軍事件・事故の共同加害者であり、その責任を免れない。故佐藤栄作元首相はレーガン元大統領と沖縄返還協定(69年)を結ぶときに①米軍基地の自由使用、②有事の際に沖縄への核兵器持ち込みなどの「密約」を締結した。故佐藤元首相のノーベル平和賞受賞は構造的沖縄差別の象徴と言える。72年5月の日米合意文書「5・15メモ」が示すように、復帰後も米軍基地は復帰前と同様に自由使用状態にある。在沖米軍基地はイラク・アフガン戦争の出撃基地として使用されており、ベトナム戦争と同じく沖縄も侵略戦争の加担者となっている。ゆえに、沖縄の「自己決定権」は「国の専管事項」より勝るのである。

 石破幹事長は選挙戦のさなか、末松候補に「五千億円の名護振興基金」を約束したが、アメをチラつかせながら名護市民を買収しようと破廉恥な利益誘導の戦術を行使した。うちなんちゅはメア元米沖縄総領事が侮蔑した「ゆすり、たかりの名人」でないことを見せつけた。「ゆすり、たかりの名人」とはペテン師仲井眞知事と自民党県連執行部である。まやかしの名護振興基金を披露した石破幹事長は詐欺師である。

稲嶺市長は市長権限を発揮し、「(政府との)埋め立て前提の協議を断る」と力強く言明しており、政府から凄まじい圧力がかかってくることは明白である。すでに防衛省は選挙敗北の2日後に水域調査など業者指定の入札公告を行い、5月13日には海上ボーリング調査の入札を開示した。「理解を求めながら」(菅官房長官)と言いつつも、正当な海上抗議活動に刑特法の適用などの弾圧をチラつかせながら、沖縄の民意を否定する問答無用の強権発動は沖縄を「国内植民地」として位置づけている安倍サタン政権の本質である。

ヘリ基地反対協は市長選勝利をテコに仲井眞知事に対して「埋め立て承認」の撤回を求めたが、「もう承認しましたから」と他人事に振る舞った。県内移設反対県民会議や市民運動団体と協力して6月以降の海上闘争を視野に入れた大衆運動を展開する。知事の辞職勧告を決議した野党県議団は2月県議会では百条委員会の場で「埋め立て承認」した仲井眞知事の政治責任を厳しく追及し、今後も県議会での追及が続く。

政府からの圧力に対抗するため、稲嶺市長への支援体制を構築することは最重要課題であり、県内の憲法学者や弁護士を中心にプロジェクトチームが立ち上がった。ノーム・チョムスキー氏やオリバー・ストーン監督など29人の国際的著名人が沖縄の闘いを支持する国際署名を立ち上げ、1万人を超える署名が集まっている。それを足掛かりに生物多様性豊かな大浦湾の自然を守るため、国際的な支援体制を作り上げていく。

国内的には政府が辺野古新基地建設経費の総額を明らかにしていない矛盾をキャンペーンする。防衛省は埋立事業費二三〇〇億円を試算しているが、管制塔や格納庫、パイプラインなど付帯設備を含む建設経費の総額を明らかにしていない。数千億円の財源が必要となるであろう。地震、津波、原発事故などによる東北3県の復興・再生資金が必要であり、米軍基地建設が最重要課題ではないはずである。消費税増税があっても、慢性的な赤字財政は続き、建設国債の発行が増えていくだけである。世界一の赤字財政国家という厳しい財政状況で、辺野古新基地建設費の無駄と東北3県への支援が最優先であることを訴えていく。

違法アセス訴訟弁護団と協議した結果、稲嶺名護市長再選に向けて大きなうねりをつくるため、「埋立取消訴訟」と「執行停止」の準備を確認し、1月9日に記者会見、15日に第一次提訴した。原告は沖縄県知事の行政行為に対する「取消訴訟」であるため、原告適格が厳しく問われることを想定し、県内居住者とし、漁師を中心に東海岸居住者などから多く募ることにした。稲嶺名護市長の再選が決まった日から原告になりたいと申し出る県民が増え続け、第一次提訴は一九四人であったが、第2次提訴では四八一人となり、最終的には原告六七五人の大型訴訟となった。政府や仲井眞知事に対する県民の怒りは「燎原の火」のごとく広がりを見せたのである。

埋立取消訴訟の趣旨はアセス評価書に関する県知事意見書(12年3月27日)において、「環境の保全上重大な問題があり、…当該評価書で示された環境保全措置等では、本事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能」と断言していること。また、県環境生活部が事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全について「懸念が払拭できない」(13年11月30日)と厳しい意見書を知事に提出していることを理由にあげた。さらに、辺野古から大浦湾海域は「沖縄県の自然環境の保全に関する指針」ランク1(厳正な保護を図る地域)に指定されていること。そして、アセス評価書でも欠陥機オスプレイの騒音調査をしていないことなど、「埋め立て承認」した仲井眞知事の行政責任を厳しく問うことにしている。

法務省の弁護士が作成した県の答弁書では承認理由を「公有水面埋立法の基準に適合」し、「日米両政府が辺野古移設は普天間飛行場の固定化を避ける唯一の解決策」としていることから、「承認の執行を停止すれば普天間の固定化につながる」と反論している。仲井眞知事が戦前の官制知事と変わらないことを自己暴露した。

一方、在日米軍海兵隊ウィスラー司令官が4月10日のワシントンDCでの講演会で仲井眞知事が埋め立て承認の条件の目玉である「5年以内の普天間基地の運用停止」を否定し、辺野古新基地が完成するまで継続使用すると断言した。我々が予想したとおり、仲井眞知事と安倍首相との合意事項は稲嶺恵一知事時代の「15年使用期限」と同じく空手形であることが明白となった。

来る9月の名護市議選では稲嶺市政与党議員団の過半数圧勝を勝ち取り、11月の県知事選挙において従来型の革新統一候補ではなく、名護市長選で展開した沖縄のアイデンティティーをかけた統一候補を擁立し、政府自民党との対決に必ず勝利する。新知事による「埋め立て不承認」へとつなげていく。

うちなんちゅは安倍サタン政権に屈することなく、じんぶん(知恵)を生かしながら、基地との「共存・共生」を拒否する。東アジアの一員として、自己決定権と平和的生存権を求め、辺野古新基地建設計画を撤回するまで闘い続ける。けっして諦めない。




関西共同行動ニュース No65