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私たちは屈しない―秘密保護法を廃止し、安倍政権の暴走をストップさせよう― 海渡雄一


■われわれをテロリスト呼ばわりした石破幹事長

昨年の日本で起きた一連のできごとは、第二次世界大戦前夜に日本やドイツで起きたこととかなり似てきていると感じています。街路を歩く人々は、いつもどおりで、正月の初もうでも変わらないように見えますが、社会全体を戦争に駆り立てるような雰囲気が漂ってきています。
私たちが、市民の知る権利を侵害する秘密保護法案の廃案を求めるため国会前での行動を続けていた昨年12月はじめに、石破自民党幹事長が発言したのを覚えておられることでしょう。彼は、「絶対反対を叫んでいる声はテロリスト同然だ」というふうに言いましたね。秘密保護法が何を狙っているのかが、多くの人々に一気に明らかになった瞬間でした。
この法律はまさしく、戦争に反対したり、秘密保護法に反対したり、原発の再稼働に反対したりしている人々を「テロリストだ」と規定して、監視と取り締まりの対象にしようとしています。

■安倍政権とは何者なのか

以前の自民党には、党内に大きな考え方の違う政治集団があり、バランスを取ってきました。今日本を支配している安倍政権は、これまでのような普通の自民党政権ではありません。明らかに暴走を始めています。ブレーキが壊れているのです。
民主主義を信条にしているような政治家が日本を治めているわけではない、そのことを我々は十分認識し、政治信条の違いを乗り越えて、広範な人々と手を結ばなくてはなりません。
こういう状況の中で突然都知事選挙が行われることになりました。国政選挙並みに重大な選挙で、投票できる機会が市民に与えられたのです。もうこの機会を逃して「秘密保護法廃止」が国民の大きな世論になっているという事を安倍政権に突き付けることはできないんじゃないかと確信します。この都知事選を通して、安倍政権の暴走に歯止めをかけたいと思います。

■国家安全保障基本法案は戦争体制を確立するための法案だ

今年の前半は、秘密保護法の施行に向けた政府の準備が進みます。政府がつくろうとしている「第三者機関」が、官僚と御用学者ばかりでつくられ、独立性がないことについては、『世界』2月号の「もう隷従しないと決意せよ」で詳しく分析しました。次の大きな課題は、国家安全保障基本法案です。日本版NSC設置法と秘密保護法と国家安全保障基本法案は、まとめて戦争準備三法だといえます。
国家安全保障基本法案は,安全保障体制の見直しを目指す全12条の法案の仮称であり,12年7月6日の自民党総務会でその概要が決定されています。当初の計画では議員立法として提案するとされていました。この法律の最大の特徴は、日本国憲法9条が、戦争と武力の行使を放棄し、戦力を保持せず、交戦権を認めないとしたことを、全く無視していることです。
長年の自民党政権のもとでも、憲法が行使を禁じているとされてきた集団的自衛権の行使を定める10条は、明らかに違憲です。自衛権の行使は,①急迫不正の侵害,②他に手段がない,③必要最小限という3要件を充たした必要最小限度の実力のみが許容されるとするのが政府解釈でした。
集団的自衛権は,①の要件を充たさない点で憲法9条に関する内閣法制局が繰り返し明らかにしてきた政府解釈に反する明らかな違憲立法です。
自民党はこれまで、議員立法として提案することで、内閣法制局の審査をスルーしようとしていました。
しかし、安倍晋三首相は内閣法制局の山本庸幸長官を退任させ、後任に小松一郎駐仏大使を充てました。内閣法制局を力でねじ伏せて、閣法として出させるかもしれません。

■戦争準備刑事三法案(秘密保護法・共謀罪・盗聴法拡大)に警戒を!

内部告発者とジャーナリストを共謀段階から厳罰に処す秘密保護法が成立しました。これに続いて、朝日新聞が、政府が共謀罪の提案を計画していると報じました。共謀罪は、合意だけで、何の被害も発生していなくても処罰される共謀罪を一挙に600も作るものです。そして、共謀罪捜査の道具とするため、第三者の立会を省略して、一挙に適用範囲が拡大されかねない盗聴法の大幅拡大も計画されています。えん罪防止のための可視化を進めるはずだった法制審議会の「新時代の刑事司法特別部会」で、捜査当局から盗聴法の拡大と室内盗聴制度の創設が提案され、官僚優位の審議会の中で、導入強行の報告がまとめられようとしています。

■奴らを通すな!安倍戦争政策推進内閣の暴走をとめよう

安倍政権は、原発再稼働、そして秘密保護法を成立させて、そして次は安全保障基本法案・共謀罪法案を通そうとしています。
沖縄の願いを踏みにじって辺野古の海を埋め立て、中国・韓国の人々を挑発し、戦争の危機を高める靖国参拝を財界やアメリカの反対を押し切って強行しているのです。本当に危険な政権です。
こんな人が首相で東京で平和の祭典オリンピックが成功できるはずがありません。宇都宮さんは、都知事選の政策で、安倍政権の暴走を止めるだけでなく、ソウルと北京と三都の平和と環境保護のためのネットワークをつくることを提唱しています。ソウル市長のパクウォンスン氏は、政治にかかわる市民組織である「参与連帯」で活動してきた人権弁護士で、宇都宮さんと経歴も似ています。オリンピック開催都市東京からの平和のメッセージは、戦争の危機を和らげ、日中韓の話し合いの機運をつくることに貢献するはずです。
いまの日本の政治の最大の危機はなにかといえば、これを止める人がもう自民党の中にも、与党公明党にもいないということです。

■政府の秘密のウソにだまされない国民になろう

これから、何が起きようとしているのかを考えてみましょう。戦争と原発再稼働のためのプロパガンダが起きようとしているのだという警戒感を私たちも持たなければなりません。絶対に騙される国民になってはいけないと思います。
昨年の国際情勢で特筆すべきことは、シリアにおける化学兵器の使用をきっかけに、米英がシリアに軍事介入しようとしましたが、ロシアが反対し、イギリスの議会も否決する中で介入が食い止められました。まだ、事件の真相はわかりませんが、真相がわからないのに、戦争を始めようとした米英の計画がストップしたことは大きな一歩です。ウィキリークスやスノーデン氏の努力によって、世界の市民がだまされにくくなっているあらわれかもしれません。
ここで、私たちは決して怯んではならないと思います。当時、私は法案成立直前に国会前の集会でマイクを取って「我々はテロリストではない」と叫びました。われわれはもっともっと大きな声で叫ぶ必要があると思います。そのため、私たちは、秘密保護法廃止の署名を呼びかけ、1月24日に予定されている通常国会初日には、秘密保護法廃止を訴える国会包囲の行動を呼びかけています。是非ともご協力を。

関西共同行動ニュース No64