集会・行動案内 TOP
 
8/14 日本軍「慰安婦」メモリアル・デー いま、何を記憶し、何を伝えるのか

【日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク】 方清子

今年8月14日、韓国で金学順(キム・ハクスン)さんが日本軍「慰安婦」として初めて名のり出て22年目を迎え、この日を日本軍「慰安婦」メモリアル・デーにする運動が世界各国、日本の各地でスタートしました。日本ではこの日を「国連記念日にしよう!」と宣言、8月11日に東京で国際シンポジウムを開催、フィリピンからロラ・エステリータさんが来日、北海道、東京、関西の各地で証言集会が持たれました。エステリータさんは14歳の時に、ネグロス島の市場で日本兵に襲われ、髪の毛を掴まれてトラックで駐屯地に連れて行かれ、連日日本軍兵士らによってレイプや身体的暴力を繰り返されました。心身に深い傷を負ったエステリータさんは生涯その記憶から逃れることはできず、名のり出た後、リラ・ピリピーナのもとで「慰安婦」問題の解決のための運動を続けています。今回もうひとり来日を予定していたピラール・フリアスさんは日本にきて訴えることを強く望んでいましたが、体調不良のため直前に来日を断念しました。残された時間の中で、日本政府の謝罪と賠償、被害者らの尊厳の回復実現とともに、彼女たちの記憶を普遍化し、歴史に刻み、戦争の惨さ、平和の大切さを語り継ぐことも私たちに課せられた大切な役割です。

8月13日、橋下徹大阪市長は6月にサンフランシスコ市議会から送られた「慰安婦」発言への非難決議に対する反論書簡を発表しました。あきれたことに、1年前に「強制性を認めた河野談話は最悪」と言っておきながら今回は「私の認識は政府と同じ」と「河野談話」を示しました。さらに「日本兵が『慰安婦』を利用したのは女性の尊厳と人権を蹂躙する、決して許されないもの」と性暴力の事実を認める一方で個々の兵士の責任を強調し、「軍の要請を受けて業者が慰安婦を募集」と業者への責任転嫁をはかり、世界の軍が同様のことを行っていたと、日本の責任を否定するのです。また、安倍首相は8月15日の戦没者追悼式でなんと、アジア諸国に対する加害責任に一切触れず、このことはアジア諸国ばかりか世界各国に日本の加害責任の否定メッセージとして伝わりました。就任時に「村山談話」「河野談話」の見直し発言が諸外国から厳しい批判を受け、その後見直し発言はなりをひそめたものの、今回の対応で日本の戦争責任否定、憲法改正や再軍備をはかろうとする姿勢を否応なく表出させました。

漫画「はだしのゲン」閉架騒動にみられるように、最近「子どもたちの心身への影響」という口実で戦争の悲惨さや原爆、基地の問題から目を背けさせようという動きには身震すら覚えます。君が代斉唱について「公務員への強制の動きがある」と記した実教出版の高校歴史教科書について、東京都教委や神奈川県教委は各学校の選定に圧力をかけて、実教外しを行いました。大阪では大阪維新の会府議団が府教委に実教教科書を採択させないように申し入れ、その際、選定した学校に対し「大挙押しかける」発言まで飛び出しています。大阪府教委会議で条件付き採択が決まったものの、使用に際して府教委の指導を受けるなどの異例の条件が付けられました。

どんなに悲惨な過去であっても事実を変えることはできません。被害者の記憶の中から絞り出された真実を誰が否定できるでしょうか。戦争の歴史をねじ曲げられ、美化する現状で、権力が押し付ける歴史観ではなく、市民の側から何を記憶し、何を次世代に語り伝えるかがいま問われています。(パン・チョンジャ)




関西共同行動ニュース No63