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パンフレット「オスプレイ、普天間配備の危機性」を作りながら考えたこと 【非核市民宣言運動・ヨコスカ/平和船団】 新倉裕史


◆沖縄と神奈川
私たちは基地県神奈川で反基地運動を続けています。沖縄問題は常に関心を寄せている課題ですが、日常的に沖縄問題に取り組んでいるわけではありません。誤解を恐れずにいえば、神奈川で基地問題に一生懸命かかわることが、沖縄の反基地運動につながる。との思いで日々の活動を続けています。しかし、はたしてそれでいいのか、という問いも常に抱えていました。

神奈川の反基地運動の集合体である「すべての基地にノーを、ファイト神奈川」が、5月20日、琉球新報の松元剛政治部長の講演会を開催しました。集会後に行った座談会で、私は次のように発言しました。

「全沖縄でノーという意志が表明され、辺野古への新基地建設は事実上無理だということが明らかになっている。その重要な局面なのに、震災や原発事故というとんでもない事態があって、沖縄問題がその陰に隠れてしまっているような気がする。一方、沖縄でははっきり答を出している。にもかかわらず沖縄の基地が無くならないのは、『本土』の圧倒的な人びとが安保を容認し、基地の存在を必要と考え、しかし自分のところにはあっては困るからと沖縄に押し付けているという構造があるからで、これは明らかに差別だ、という指摘もある。そんなに大事なら持ち帰れ。持ち帰るための運動も起こさないで、連帯なんていってほしくないという声もある。

神奈川の反基地運動として沖縄の運動とどうつながっていけるのかを、こうした状況の中で改めて考えたい、ということで松元さん講演会があった。

神奈川の運動を一生懸命することが、沖縄の反基地運運動への連帯になるんだというが、ほんとうにそうなのか、ということをもう一度問わないと、今沖縄から発せられている問いかけに、答えられないんじゃないか。」

オスプレイのパンフレットを作った時、沖縄の運動に役立てばと、という思いがありました。オスプレイの配備を食い止めるのは、私たち自身の課題であるはずなのですが、「役立てば」と思ってしまう「鈍さ」が、私の中にもあった。だから、神奈川の反基地運動を、という言い方も疑ってかからないと、と思う。

改めて言うまでもないことですが、神奈川の運動を頑張る、それだけで繋がれるとは誰も思ってはいない。それだけで繋がれるほど、ことは簡単ではない。しかし、だからせめて、そのことはしよう、そんな思いなのだと思います。

オスプレイのパンフレット(56ページ、二百円)は、「せめても」のひとつとして作られました。沖縄での印刷も含め、七千部が全国の反対運動に届けられました。配備中止要請のはがきも3万枚印刷し、二万六千枚が、私たちの手を離れていきました。パンフレットに低空飛行問題と、真喜志好一さんの沖縄から見たオスプレイ問題を加えたブックレット(147ページ、千二百円)が、七つ森書館から発行されるという想定外の展開も生まれました。



◆全国で「安保」を問おう!
オスプレイの配備は、事前協議の「装備の変更」にあたらず、日本側から配備そのものについての口出しはできないと、政府は言います。

1960年の安保条約改定時に「6条の実施に関する交換公文」が交わされ、米国政府は、在日米軍の@「配置における重要な変更」、A「装備における重要な変更」、B「日本から戦闘行動のための基地の使用」に関しては、日本政府との事前協議事項であることを了解した。そして協議があれば、政府は自主的にイエス・ノーを判断するというのが日本政府の立場だと説明されました。

「重要な装備の変更」の内容は、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持ち込み並びのそれらの基地の建設」と示されています。その「基準」からみて、オスプレイは「装備における重要な変更」にはあたらないという訳です。

「交換公文」が生まれた背景には、安保改定反対運動の高揚に対する世論対策がありました。安保条約6条に基づく米軍の行動は日本を紛争に巻き込む恐れがあり、こうした戦争に対する「歯止め」として事前協議を設けたとする日本政府の説明は、新たな軍事条約に対する国民の不安を取り除く、ただ一つの「改善点」(「法律時報」69年5月臨時増刊)として宣伝されたのです。

しかし、「事前協議制度」は今日まで、ただの一度も行われたことはありません。米軍の暴走をしばることには機能せず、むしろ、日本政府の無策を支えるものとして、それは力を発揮してきました。横須賀への原子力空母の配備も、普天間へのオスプレイ配備も、「事前協議」の対象ではないとの一言で、日本政府は占領時代とかわらない米軍の特権的な振る舞いを容認し続けています。

ただ一つの「改善点」の実質化が求められています。事故を繰り返す欠陥機の配備に口出しができなくて、なんのための「事前協議」か。「交換公文」の「装備における重要な変更」を、地域住民の命や安全な暮らしを脅かす可能性のある「あらゆる装備」と対象を広げる新たな解釈が生まれなくてはなりません。

沖縄では、オスプレイの配備に関して、県議会及び全ての市町村議会が反対決議・意見書を採択し、世論調査でも9割の県民が配備に反対しています。

オスプレイによる低空飛行訓練に関係する7県の知事も配備に反対し、オスプレイの最初の陸揚げ地である岩国からも、市長、山口県知事の陸揚げは容認できないという声が発せられています。

地域住民に犠牲を強いることによって運用が確保されている「日米安保」。それでいいのか、と問い直す取組を、全国で開始しましよう。



「前段」を長々と書いてしまったので、オスプレイの危険性について、触れることが出来ませんでした。詳しくはぜひパンフレット、ブックレットをお読みください。パンフレットのご注文は(FAX)046-825-0157へ。七つ森書館のブックレットは本屋さんに並んでいます。


          

関西共同行動ニュース No60