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自衛隊の南スーダン派遣  恒常化するPKO派兵  【関西共同行動】 和田喜太郎



南スーダンへのPKO派遣が1月11日開始され、その先遣隊が出発した。今後30人の司令部要員、300人規模の自衛隊員が道路などの整備に当たる。しかしながら、いまだ反政府勢力や部族衝突など続き、内戦状態は終わっておらず「PKO参加5原則」を満たしているとは言えない。
 今年1月24日、ロシアは南スーダン派遣軍(へり8機、兵員170人)の完全撤退を表明した。昨年攻撃を受けた事件で隊員の安全が保証されないとの理由だが、国連の回答も納得が得られなかった。このことから分かるように現地は泥沼化しており、自衛隊が紛争に巻き込まれない保証はない。
 今井高樹氏(日本国際ボランティアセンター・スーダン現地代表)は「自衛隊派遣より南北仲介を」と主張。日本は現地NGO活動で実績を上げているが、南部だけ肩入れするのでなく、敵対する北部政府とも仲介せよと言う。中立を建前とする国連なら当然であろう。 
 自衛隊は今回小銃297丁、機関銃5丁など武器を携行。「武器使用の緩和・見直し」が政府内で検討される折から、紛争の波及は遠からず現実化する恐れがあり、国連も武力行使を認めている。紛争解決の武力行使は憲法9条で禁じており、そうなれば憲法改悪にかかわる重大問題であり、日本は非軍事にに徹底すべきである。
 スーダンは天然資源国であり、自衛隊派遣は中国を牽制するアメリカの強い要望に基づく。中国は早くから資源をめぐり権益確保に進出してきた。こうした権益をめぐる米・中のせめぎ合いのなか、日本もそれらに便乗しようとするものである。
 54年参議院「自衛隊の海外出動禁止決議」が行われたが、92年PKO法が制定されカンボジア派兵の実施。96年〜ゴラン高原、03年〜08年イラクサマーワ派兵。10年〜東チモール、ハイチ震災派兵と続く。07年防衛庁は省への昇格。付随任務の海外派遣は自衛隊本務とされる。
 海自のインド洋給油活動は民主政権後終了したが、09年〜ソマリア海賊対策拠点(護衛艦2隻、哨戒機2機、隊員180人)が47億かけ、宿舎、格納庫、食堂、体育館など初めての海外基地がジブチに完成した。
 PKO法が制定され20年、15ヵ国にのべ7800人の隊員が動員された。専守防衛を建前とする自衛隊はどこまで行くのか。こうした中で民主党は海外派兵の恒久法化や集団的自衛権を認める方向へと急いでいる。

■今月29日、南スーダン派兵に関する集会とデモが東京で行われ、関西からの防衛省への申し入れ書として、以下の内容が読み上げられた。自衛隊の南スーダン派遣および日米共同軍事演習(ヤマサクラ61)に関する申し入れ

内閣総理大臣 野田佳彦 殿
防衛大臣   田中直紀 殿

 南スーダンへの自衛隊PKO派遣が1月11日開始されたが、私たちはこれに反対する。これまで言われてきた「PKO参加5原則」を巡っても、これを満たしていない問題がある。「南スーダン3000人死亡 民族衝突、独立後最悪」と言った新聞記事があるように、自衛隊派遣先のジュバから離れていても民族紛争は終わっているとはいえない。
 自衛隊は今回、小銃297丁、機関銃5丁など武器を携行しているが、これに伴う「武器使用基準の緩和・見直し」が与党内でも叫ばれており、紛争の波及拡大は遠からず「見直し」が現実化する恐れがある。国際紛争の解決に武力行使は憲法9条で禁じており、そうなれば憲法改悪にかかわる重大問題である。現地でのNGOの活躍も伝えられ、日本は非軍事による貢献に徹底すべきである。
 今回の自衛隊派遣は、中国を牽制するアメリカの強い要望に基づくものとされている。中国は早くから石油その他の資源をめぐり、スーダンでの権益確保に進出してきた。こうした権益をめぐる米・中のせめぎ合いの中、日本もそれらに便乗しようとするのが今回の自衛隊派遣の構図であろう。
 アジアにおけるアメリカの新戦略「中国囲み込み」が進行している。1月24日から日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ61)が約半月間、伊丹駐屯地で行われる。同演習は82年に始まり30年間継続され、冷戦時代のソ連脅威、北方重視から中国脅威、西方重視にシフトされ、次第に規模は拡大され今日では日米双方で6千人規模となり、新たに米海兵隊配備が予定される豪陸軍も参加する。
 今回のシナリオでは中国と北朝鮮と想定される連合軍が本州に上陸、大阪を占領というシミュレーションである。「防衛計画の大綱」ではこのような「侵攻の可能性は低い」とされており、これらからも逸脱、非現実のものである。
 日本はアメリカを上回る中国輸出国であり、仮装敵として特定することは問題がある。アメリカ主導のこのような図上演習といえども止めるべきである。武力による威嚇や交戦は憲法9条で禁じており、問題があれば根気強く話し合いで解決すべきであろう。沖縄の新基地建設に関する問題にしても、唯々諾々とアメリカの意向に追随・屈服していたのでは問題は一向に解決しない。
 以上二つの問題に関し私たちはこれらに反対し、政府に要望し申し入れるものである。

  2012年1月29日  
  
関西共同行動  代表 中北龍太郎
                原田 恵子
                和田喜太郎











関西共同行動ニュース No59