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6/10前田哲男さん講演報告
米軍「トモダチ作戦」―自衛隊災害派遣の裏でなにが… 【関西共同行動】星川洋史

 前田さんは、東日本の大地震と大津波に際して、自衛官22万人のうち約半分10万6千人が武器を持たずに派遣されたことを、「一方的軍縮だ」と評価し、そのときに周辺諸国のどこからも日本侵略の動きなどなかったことをとらえ「少なくとも日本が兵力を半減しても大丈夫なことを事実をもって示した」と述べた。

 この自衛官の大量派遣については、自衛隊を外部からの軍事的圧力に対応する「本来任務」から外さないための北沢防衛大臣や防衛官僚の抵抗を制したのは、菅首相だったと明らかにした。この自衛官の大量派遣についても、これらの自衛官が災害救助、人命救助については十分な訓練を受けていない問題についても指摘した。



 前田さんは、より大きな問題として、自衛隊の共同作戦の相手は、日本の警察や消防署などではなく米軍であったことを指摘した。これがトモダチ作戦といわれるものであった。

 さらにより大きな問題は、この間沖縄の動きが完全にかくされていたことだと指摘した。震災直前までは、沖縄の問題、普天間基地、辺野古の問題が大きな問題だったが、震災以降これらが見えなくされた。沖縄で事件・事故を多く起こしている海兵隊・普天間の第3海兵師団が、トモダチ作戦の善玉として登場した。その上、沖縄では、彼らの移転先とされる辺野古にベルリンの壁のような囲いまで作られた。さらに普天間、後には辺野古に事故多発の危険なオスプレイが配備されようとしている。

 阪神淡路大震災の時も在日米軍はいたがトモダチ作戦はなかった。今度はトモダチ作戦がある。この間には安保の変質がある。日米同盟という言葉が生まれ、新ガイドラインのもと周辺事態法が制定された。安保の再定義がなされ、日米共通の戦略目標、共通の利益をめざして、任務・能力・役割の共有化がなされた。その下で、北朝鮮の核開発への対応、インド洋での米艦船などへの給油、イラクの米軍への後方支援などなされた。自公政権のもとで一貫して追及されてきたこの日米同盟の強化の方針が、政権交代と鳩山首相の登場による一時的不協和音は菅政権によって修復された。トモダチ作戦は、こうした日米軍事一体化を背景とし、その実践的表現として表れたものだと前田さんは説明した。

 トモダチ作戦は、これまでのような演習や軍事訓練としてではなく、実践としてなされたことが決定的だと前田さんは指摘した。その指揮は、横田基地、防衛省、陸上自衛隊東北総幹部で構成する「共同調整所」でなされた。日米が一つの指揮で動くというが、実態はアメリカの太平洋司令官にある。こうしてアメリカは、訓練ではなく実践で日本・自衛隊を指揮下に置きそのもとでの一体化を経験した。日米の当局者は、将来の「本番」のための重要な参考になると公言していると前田さんは報告した。

 このトモダチ作戦の裏で行われた沖縄での基地再編強化、普天間へのオスプレイの配備決定、辺野古の新基地建設と闘う沖縄の人々とともに、福島、東北地方の原発災害、大震災被災者支援の運動と手を結んだ反基地、反安保の取り組みを強めていくことが求められている。10月30日の「戦争あかん!基地いらん!11関西のつどい」もその一環である(同封チラシ参照)。


関西共同行動ニュース No57