学校を「精神の戒厳令下」におく君が代斉唱義務化条例を撤回せよ! 【日の丸・君が代強制反対ホットライン】黒田伊彦
1.君が代不起立3回でクビ!でパージ強行
橋下と大阪維新の会は、9月20日からの大阪府議会へ6月にいわゆる「君が代起立斉義務化条例」を受けて、不起立者への処分規定を含む「職員基本条例案」の提出を決めた。その内容は「職務命令違反の不起立1回で減給または戒告。2回で停職と所属と指名を公表、3回で直ちに免職」というものである。大阪市議会、堺市議会にも提出するという。
橋下知事は、「国歌への起立斉唱は社会儀礼、社会常識で、組織のマネージメントの問題だ」とし、職務の厳格化を口実に上からの命令に絶対服従の軍隊的状況を学校に創り出す「踏み絵」に君が代を利用し、レッド・パージを行い、自らの政治意思への忠誠を表明させようとするものに他ならない。
2.思想、良心の自由を侵す憲法違反の条例
6月に大阪維新の会(56人)ら賛成60人対反対48人(公明21、自民13、民主10、共産4)の数の暴力で強行可決した「大阪府の施設における国旗の掲揚および教職員による国歌の斉唱に関する条例」は、府の施設と学校に日の丸の常時掲揚と府下全域の学校の教職員への君が代への起立斉唱を義務付けるものである。6月13日から実施された。この条例は学校を人権なき憲法停止の戒厳令的状況におく憲法違反の悪法で、即時撤回すべきものである。
①国旗国歌法には尊重義務の規定はない。
②教育の中立性を侵害している。最高裁判決(96年)は「教育は本来人間の内面的価値に関する営み」であり「党派的な政治的観念によって支配されるべきでない」とし「政党政治下で多数決原理によってなされる意思決定は・・できるだけ抑制的であることが要請される」と判示している。改正教育基本法16条の「教育は不当な支配に服することなく」の規定に反している。
③憲法19条の思想・良心の自由の保障には「沈黙の自由」がある。どのような考えを持っているかを公権力に推知せしめない権利である。起つ、起たないの態度決定をせまることは憲法違反である。
④さらに09年9月に大阪高裁は「国家がになってきた戦前からの歴史的役割に対する認識や歌詞の内容から、君が代に対し負のイデオロギーないし抵抗を持つ者が、その斉唱を強制されることを思想・信条の自由に対する侵害であると考えることには一理ある。とりわけ『唄う』という行為は個人にとって情感を伴わざるを得ない積極的身体的行動であるから、これを強制されることは内心の自由に対する侵害となる危険性が高い。従って君が代を斉唱しない自由も尊重されるべきである。」と判断しているのである。
⑤条例は「学習指導要領の趣旨をふまえ・・府民、とりわけ・・子ども(に)我が国と郷土を愛する意識の高揚に資する」ためとしているが、学習指導要領は府民を拘束するものではない。教員に対しても、76年最高裁判決は「教員に対し一方的な理論ないし観念を生徒に教え込むことを強要する」と学習指導要領の法的拘束性を失う主旨の判決を出している。「愛国主義は、無頼漢の最後の避難所」(サミエル・ジョンソン)なのだ。
3.9月20日教育塔前決起集会に向けて
①「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪は9月府議会の開会日の9月20日午後6時から教育塔前広場で第2回決起集会を開き府庁へ抗議デモを行う。
②9月24日 大東市立総合文化センター(サーティーホール・住道駅下車)で午後1時から千人規模の全国集会を行う高橋哲哉氏(東京大)野田正彰(関学大)氏や弁護士及び東京、北九州、北海道、神奈川などの闘いの報告を行う。
③全国から撤回要求と処分条例制定阻止の署名を集め、府議会会派工作と請願行動を行う。
④集会案内ビラ4万枚、リーフレット5千枚を作成し、労組などへの署名と集会参加要請をする。(後、さらに2万枚を追加)
⑤予防訴訟的な法的対抗処置を行う予定である。
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