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「基地のない沖縄の未来」を疎外しているのは誰か・・・答えを出すのはあなただ 【ヘリ基地いらない二見以北十区の会共同代表】浦島悦子

 未だ出口の見えない震災復興、今この瞬間も大量の放射性物質を垂れ流し続け、深刻さを増す一方の福島原発事故、それらになす術を持たず政争に明け暮れる中央政治の混迷・・・。ため息の出る日々が続くが、多くの国民の目がそこに奪われ、マスメディアからも「沖縄」が消えていく陰で、ドサクサ紛れの「何でもあり」が沖縄で横行していることを見逃してはならない。恩着せがましく行われた米海兵隊の災害援助=「トモダチ作戦」が何のことはない、原発テロを想定した軍事訓練の一環であったように、災害を利用した軍事強化、日米の軍事一体化が進められようとしている。



 6月6日、沖縄防衛局は、垂直離着陸機MV22オスプレイを米海兵隊が12年から普天間飛行場に配備すると、沖縄県や宜野湾市、名護市、金武町などの関係自治体に「正式に」伝えた。オスプレイは開発過程で墜落事故を頻発、30人以上の死亡者を出し、「空飛ぶ棺桶」「未亡人製造機」などと酷評される悪名高い機種だ。
 日米両政府が辺野古沿岸部に建設を計画している新基地(普天間代替施設)に、米軍がオスプレイの配備を予定している(96年11月のSACO最終報告草案に明記)こと、辺野古新基地と一体と言われる高江(北部訓練場)のヘリパッド建設計画がオスプレイの訓練を想定していること、辺野古移設が進まない中で、CH46中型輸送ヘリコプターの後継機としてオスプレイを普天間基地に配備する予定であることを、私たち沖縄県民はとっくの昔に知っていた。米軍が明らかにしているにもかかわらず、日本政府はそのことを隠し続け、辺野古新基地建設に関わる環境アセスメントの中でも、オスプレイ配備に一言も触れていないことを私たちは追及し続けて来たし、高江のヘリパッドを「オスプレイパッド」と呼んで反対してきた。

 今回の「伝達」は、隠しようもなくなった(09年5月、米会計年度航空機配備計画で12年10月の普天間への配備計画が明らかになり、同年8月、米海兵隊が公表していた)後でさえ「正式には聞いていない」などとごまかしていたのが、もう、どうにもごまかせなくなったということでしかないが、逆に言えば、だからこその「開き直り」、沖縄全体をオスプレイの訓練区域にするぞ、という宣戦布告とも取れる。

 仲井真県知事をはじめ伝達された各自治体は当然にも猛反発しているが、なかでも、戦後65年以上も軍用ヘリや戦闘機の爆音・騒音に悩まされ、墜落の危険に怯える宜野湾市民の怒りは大きい。騒音も墜落の危険も、今以上に増加することが懸念される。宜野湾市は、北沢防衛相が「2プラス2」(下記)の開催に先だって仲井真知事に「辺野古へのV字形移設」を伝えに来た6月13日、安里猛市長を先頭に市議会や市民ら延べ三百人近くが参加して、7時間にわたりオスプレイ配備への緊急抗議座り込みを行った。

 6月21日、米国ワシントンで行われた日米安全保障協議委員会(2プラス2。日本から北沢俊美防衛大臣、松本剛明外務大臣、アメリカからゲーツ国防長官、クリントン国務長官が出席)で、14年までの移設期限を撤回し、「できる限り早い時期に」普天間飛行場の代替施設として名護市辺野古崎に千八百メートルの2本の滑走路をV字形に建設することが合意された。「最低でも県外(移設)」を公約にして政権交代した民主党政権が、打倒の対象であった自民党案にそっくりそのまま回帰したことに、沖縄県民は怒りを通り越してあきれ果てている。仲井真弘多県知事は「辺野古移設は不可能」と断言し、稲嶺進名護市長は「(合意は)無意味」と切り捨てた。


6月22日大阪・米領事館前抗議行動

 私たちの住む名護市東海岸(辺野古沿岸域)に新たな米軍基地建設の計画が持ち上がってから15年。その間、日本政府による権力と金力を総動員したすさまじい攻勢、ありとあらゆる陰謀や策略が張り巡らされたにもかかわらず、地元住民をはじめとする一貫した反対の行動と、全県・全国・世界にまで広がった世論によって、彼らは未だ1本の杭さえ打てずにいる。昨年、私たち名護市民は「海にも陸にも基地は造らせない」と公約する稲嶺市長を誕生させ、県内移設に反対する圧倒的な県民世論が、条件付受け入れ派だった仲井真知事を「県外移設」派に変えた。今や「県内移設反対」は、自民党県連まで含めた全沖縄の県民意思なのだ。どう逆立ちしても「不可能」な辺野古移設(米国議会においても強い懐疑論が出ている)を、退任寸前の米国防長官、退任表明した菅政権の閣僚が、沖縄県民の意思を無視して「合意」した茶番劇は、県民のみならず世界の冷笑の的でしかない。

 「2プラス2合意」には、「(建設に遅れが出ない範囲で)微修正も考慮し得る」と明記された。昨年の県知事選以前まで容認派だった仲井真知事は、島袋吉和・前名護市長が主張していた「(環境アセスをやりなおさなくてよい範囲内での)沖合移動」に同調していた。その足下を見て、「微修正すれば知事が受け入れる可能性がある」と踏んだのか。知事も見くびられたものだ。

 もう一つ、沖縄にとって見逃せないのは、「日米同盟の深化」に向けて「地域の人道支援・災害救援分野の後方支援の拠点を沖縄に設置する」とされ、その場所として宮古島市の下地島空港が想定されていることだ。地元では「災害救援に名を借りた軍事訓練だ」と、防衛省が打ち出している南西諸島への自衛隊配備とも絡めて警戒を強めている。

 7月31日、高江公民館で「オスプレイパッド建設反対集会」が行われ、緊急の呼びかけにもかかわらず全県から二百人が集まった。沖縄防衛局が公言していた7月からの工事再開が1ヶ月間ストップしているのは、住民・支援者らによる24時間座り込みと全県・全国の支援の力であること、これまで辺野古移設に反対しながら高江のヘリパッドは容認してきた仲井真県政の姿勢が、オスプレイ配備反対の県民世論によって変わりつつある今、オスプレイパッド建設反対を県民運動として展開していこうと確認しあった。

 私たち県民が求めているのは、(嘉手納基地統合を含め)県内移設なしの普天間基地返還であり、基地のない沖縄の未来だ。沖縄国際大学の佐藤学教授は、「(その)最大の障害は日本政府と、圧倒的に無関心な日本社会」だと言う。私はそれに、それらを助長しているマスメディアを付け加えたい。いちばん許せないのは「辺野古移設ができなければ普天間基地は固定化する」という言説だ。普天間が動かないのは辺野古移設に反対する沖縄県民のせいだという言語道断の「脅し」を許してはならない。

 沖縄県民の意思は既にはっきりと表明されている。そのボールをどう受け止めるのか。答を出すのはあなたであり、国民一人ひとりだ。





関西共同行動ニュース No57