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●沖縄は怒りに燃えている! 【新嘉手納基地爆音阻止訴訟弁護団】 池宮城紀夫

歴史を変える

去る1月24日は、沖縄の歴史を変える新たな出発点となった。辺野古への新基地建設反対を掲げた稲嶺進氏が名護市長に当選した。
辺野古新基地建設に賛成していた現市長が当選していたら、国外、県外移設を公約していた鳩山政権だが、アメリカの圧力に屈服して、前自公政権と同じく県内移設へ逆戻りを画策している昨今、渡りに船とばかり、辺野古への新基地建設を沖縄県へ押し付けてきたことは間違いない。
しかし、名護市民が稲嶺進新市長を誕生させたお陰で、沖縄の歴史が切り拓かれて行く契機になった。選挙に勝つということが、いかに決定的な意義を持つか実感させられた昨日今日である。

県議会の全会一致の決議

去る2月24日、沖縄県議会は、全会派による全会一致で普天間基地の早期閉鎖と県内移設に反対し国外・県外への移設を求める決議をした。自公政権下で辺野古移設を容認していた自民党と公明党も、県内移設反対の圧倒的な世論と稲嶺名護新市長誕生による県民の沸き立つ世論に押され、辺野古への新基地建設に反対し、国外、県外移設へ大きく方向転換し、全会一致の決議に至った。このことは、これから県内移設を押し付けてくる日米政府に対して、県民総ぐるみの抵抗の武器として大いに使える。
県議会の全会一致による「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書」は、重要な歴史的事実として留めておくべきだと思うので全文を記録しておく。

「米軍普天間飛行場は、沖縄本島中部の市街地に位置し、その周辺には住宅や学校等が密集しており、万一事故が発生した場合には、その被害は多くの周辺住民や各施設に及ぶことが想定され、極めて危険性が高い場所となっている。
特に、平成16年(04年)8月13日に発生した沖縄国際大学構内への米軍海兵隊所属CH53D大型輸送機ヘリコプターの墜落事故は、一歩間違えば大惨事を引き起こしかねないもので、「世界一危険な飛行場」の存在をあらためて内外に示した。
このため、県民は同飛行場の返還を強く要求し、これを受け日米両政府は、平成8年(96年の日米特別行動委員会(SACO)合意および平成18年(06年)の在日米軍再編協議で同飛行場の全面返還を合意したところであるが、13年経過した今なお実現をみることはなく、その危険性は放置されたままである。
ところで県民は、去る大戦の悲惨な教訓から基地のない平和で安全な沖縄を希求しており、SACO合意の「普天間飛行場移設条件つき返還」は新たな基地の県内移設にほかならない。県民の意思はこれまで行われた住民投票や県民大会、各種世論調査などで明確に示されており、移設先とされた名護市辺野古沿岸域は国の天然記念物で、国
際保護獣のジュゴンをはぐくむ貴重な海域であり、また新たなサンゴ群落が見つかるなど世界にも類を見ない美しい海域であることが確認されている。
また、宜野湾市民や県民は、最も危険な普天間飛行場を早期に全面返還し、政府の責任において跡地利用等課題解決を求めている。
さらに、地元名護市長は、辺野古の海上および陸上への基地建設に反対している。
よって、本県議会は、県民の生命・財産・生活環境を守る立場から、日米両政府が普天間飛行場を早期に閉鎖・返還するとともに、県内移設を断念され、国外・県外に移設されるよう強く要請する。
平成22年(10年)2月24日内閣総理大臣 外宛 」


昨今の情勢

鳩山総理は、沖縄県民の思いを受け止めて、普天間飛行場は、国外か県外に移設すると公約していた。そして本年3月中に辺野古問題を決定すると明言していた。
しかしながら、平野官房長官を中心とした動きを見ると、当初から国外、県外移設を検討した形跡はまったく見えず、キャンプ・シュワブ陸上案や利権に絡んだ土建業者の入れ知恵で津堅島海上周辺への移設を画策している。
許せないのは、県内移設反対を公約した県選出の議員が、積極的に加担していることである。
選挙で当選するために県内移設反対を公約し、当選したら公約をいとも簡単に裏切り平然としている者たちを、県民は許さない。直ちに議員を辞めろと糾弾することだ。
県議会、各自治体首長、県民挙げて県内移設に反対している情勢の中で、平野官房長官を中心とする閣僚は、県内移設以外に選択肢はないとして、強行してくる危険性が高まってきた。
県民は、「国外少なくとも県外」との自らの公約をホゴにして県内たらい回しを画策している鳩山政権に抗議するため、来る4月25日、10万人規模の県民総決起大会を開催する事になった。戦後65年間、米軍の基地を押し付け、米兵による凶悪事件が絶えない現実に、県民の怒りは頂点に達している。
日米両政府が沖縄を見くびって県内押し付けを強行した場合には、県民の怒りは爆発し、日米両政府に対する反対と抵抗の闘いが展開され、日米双方に取り返しのつかない事態が起こるであろう。
海と山野の自然と民衆の生活を破壊する権力に対し、民衆は抵抗する権利を有している。
今こそ、我われ沖縄の民衆は、抑圧の象徴である基地を拒否し、平和の島を取り戻すために一丸となって、あらゆる手段を講じて反対の闘いを展開していく覚悟である。








●新嘉手納基地爆音訴訟団、最高裁へ上告

09年の2月27日には、「米軍機の夜間と早朝の飛行差止めや、将来、過去分の損害賠償」を求めた新嘉手納基地爆音訴訟の控訴審判決が福岡高裁那覇支部で言い渡されました。判決は「損害賠償についてはW値(うるささ指数)75以上の地域に賠償の支払いは命じたものの、将来の被害に対する損害賠償は否定。住民の悲願でもある夜間と早朝の飛行差し止めは却下。住民の難聴などの健康被害と騒音の法的因果関係は認められない。さらに、国に米軍機の運航を制限する権限はなく、飛行差し止め請求は主張自体が失当であるとして棄却。また、米国政府への差し止め請求については支配が及ばないので却下する」という内容です。周辺住民の願いを踏みにじる不当な判決です。
この不当な判決に対し、3月11日に原告の代表466名が国に対して、20名が米国に対して、夜間と早朝の飛行差し止め等を求めて最高裁判所に上告しました。


関西共同行動ニュース No53