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●11.3「憲法のつどい」報告 【関西共同行動】 古橋雅夫

今年も11月3日の「憲法公布日」に、「とめよう改憲!おおさかネットワーク」主催の「憲法のつどい」が、250人の参加を得て開催された。少し長くなるが、メインスピーカーである広島平和研究所所長・浅井基文さんの講演要旨から報告したい。
ポイントはオバマ政権に代わってもなんら本質的な部分でアメリカの軍事戦略が変わったわけではないことと、鳩山民主党政権もその中にあって近々メッキがはがれるであろうという予言にも近い厳しい評価だった。新政権であってなお改憲への危機感を持たなければならないということだ。
以下要旨―オバマ政権は「核兵器のない世界を求めている」ことは確かであるが、一方「私の生きている時代、つまり今後50年はそうした時は来ない」とも言っている。つまり、現実政治にあっては、世界軍事戦略の中で引き続き権力政治を行うという意味であって、日米同盟について言えば、「ブッシュ―小泉」時代に取り交わされた「中間報告(05年10月)」の合意が、現在もなお「本約束」として生きている。そこに鳩山政権の「対等な日米関係を築く」と言いながらもたじろぐ根拠がある。そこでは「日本国内のあらゆる施設を米軍の必要な活動に対して切れ目のない支援を提供すること」が日米合意となっている。そのアメリカの「危機感」の根拠は「台湾領有」をめぐる米中の思惑の違いがあることだ。中国は自国の領土と考えているし、アメリカはそうではないと考えている。対中戦争の懸念を払しょくできない中に在日米軍再編の問題があるということだ。従ってアメリカは沖縄を手放すことはあり得ない。辺野古新基地建設を認めるか認めないかは、引き続き米軍事戦略に加担し続けるか、そうではなく日米安保体制そのものを解消するのかのどちらかにしか選択肢はないということを意味している。
このことは、非核3原則(核を持たず・作らず・持ち込ませず)における密約問題でも同じことが言える。
「ペリー報告(99年)」によれば、「アメリカが日本に核の傘を与えなければ、日本は核武装を辞さないであろう。そうしないためにも日本自身が核の傘を求めている。だから今後とも継続的な核戦略が必要」という論であり、国内の強い反核感情に鑑みて取られた策が「核を積んだ飛行機や船の通過・寄港は認める」という密約であった。とすれば、問題は密約の有無の解明ではなく、今後とも持ち込みは認めないのか認めるのかという問題であり、アメリカの核戦略の整合性からは、「認めないわけにはいかない」という日本の立場が問われている。見る限り鳩山政権は北朝鮮バッシングを利用して核の脅威を演出しようとしている点で麻生政権時代と変わるところはない。果たしてそうであるかどうか、いやでも結論はでるであろう―かくして22枚に及ぶレジュメを用意していただいた。
本集会のもう一つの目玉は、神田香織さんの「悲しみの母子像」の講談を参加者に聞いてもらうことであった。「対等な日米関係」を築くための具体的要件の一つが「日米地位協定」の見直しであろう。77年9月27日13時過ぎ、厚木基地を離陸した訓練中のファントムジェット機が故障して、住宅地に落下した事件を扱った物語は、参加者の涙と怒りを思い起こさせた。
自衛隊は被害者よりも避難した米パイロットの救出を優先し、かつ死を免れた母親の米軍への怨念を政治的に圧殺した。こうした米軍犯罪に対し同じく「日本側の裁判権放棄」の密約が存在する。2010年は日米安保改定50年である。日本の朝鮮侵略から百年である。
今なお続くこの問題を激しく問わなければならない。最後に、「5月3日新聞意見広告大阪」の運動スタートに当たって原田さんから、力強い協力要請がなされた。昨年以上の取り組みの工夫をしたいと思う。
本集会に協力していただいた皆さんに感謝!





関西共同行動ニュース No52