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民主党政権と反戦平和運動の課題 衆院選挙結果特別論考 中北龍太郎


 冒頭、自民党の派兵・改憲路線が終焉したこと、それは反戦平和運動にとって意義深いことだと確認しておきたいと思います。しかし同時に、政権交代は反派兵・反改憲の運動や世論の勝利だとはとても言えないことも厳然たる事実です。これらを踏まえて、民主党政権下の反戦平和運動の課題について、民主党政権誕生間もないいま、とりあえずの直言をします。
 民主党政権に対する自民党政権の外交・安保政策の継続を求めるプレッシャーは、日増しに強くなっています。対する民主党政権は、政権獲得後の外交・安保政策を明確に打ち出してこなかったこともあり、未だ外交・安保政策が不明確で流動的です。従来の路線をチェンジするには、予め明確に対案を打ち出していることが必要不可欠で、そうでなかったことは民主党が 自民党政権の政策を継承する可能性があるということを示しています。また、民主党の安保・外交政策には、自民党に勝るとも劣らぬタカ派としての側面が含まれています。例えば、民主党が〇七年十一月に国会に提出したアフガン復興支援法案には、アフガン本土への自衛隊派遣、武器使用の拡大が含まれており、自民党の給油新法よりもハードなものでした。こうしたタカ派色ばかりでなく、この法案の中にはことさらに、派兵恒久法の制定をめざすことがうたわれていました。派兵恒久法の制定をめざすという点では、自・民両党の見解は見事に一致しているのです。民主党政権に対する油断は禁物です。
 しかも、民主党内では改憲派が権力を握っています。民主党の実権を掌握し二重権力状態をつくるだろうと見込まれている小沢一郎幹事長は一九九九年に発表した「日本国憲法改正試案」で、間もなく首相に就任することになる鳩山由紀夫代表は二〇〇五年に出版した「新憲法試案」で、いずれも戦力保有と国際安全活動への積極的貢献を打ち出しています。これらをみても、民主党の表と裏の「代表」がそろって、熱心な改憲論者だということがはっきりしています。戦争の国づくり―改憲をめざす政治家が政権を握っている事態を、決して軽視してはなりません。
 政治力学上、民主党政権になって、自民党政権の時よりも危険性が増したという点も無視できません。自民党政権下、民主党は、政権の外交・安保政策に対して、政権奪取を優先して、しばしば反対の立場を取ってきました。このように、民主党が政権の政策に対するブレーキ役となっていた面がありました。ところが、民主党政権が現状追随の政策を取った時、自民党は戦争の国づくり―改憲へのアクセル役になるでしょう。その延長線上で、安保翼賛―改憲大連合が形成されないとも限りません。
 このように考えると、反戦平和運動は、民主党政権下にいささかの幻想も抱かずに、これまで以上に原則的に活動を進める必要があることが明らかでしょう。ともに頑張り抜きましょう!

関西共同行動ニュース No51