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成立してしまった「外国人差別・排外法」 「自立市民=住民」としての「共生」 徐 翠珍

 日本人には関心が低く、ほとんど注目もされないままに、今国会で「入管法・入管特例法・住基法」の改定案が可決されてしまいました。この法案の施行は公布の日から3年内とある。その間、大きく変動するであろう政治状況の中、この法律はどの様に施行されるのか、されないのか、私たちの手の中に有るのかもしれない。

 ◆どうなる?
さて、このまま施行されると私たち外国籍住民の在留は一体どうなるのでしょうか。在日朝鮮韓国・台湾出身者には他の外国人より優遇を装った改定。外国人登録法は廃止するが、ICチップ付き「特別永住者証明書」を持たせる。悪名高い常時携帯義務こそ修正で削除されたものの、刑事罰付き提示義務は生きている??常時携帯していないものをどうして提示するのでしょうね。7年ごとの切り替えも、受領拒否等々も刑事罰付き。再入国許可制度は緩和するが、朝鮮籍はだめ。(はて?何時になったらもと植民地の人々を本当に解放するのだろうか?戦後60数年)
 しかし、何と言っても腹立たしいのはこの法改正のもう一つの意味、かつて外国人登録法に象徴される在日朝鮮・韓国・中国人への抑圧に敢然と闘ってきた人々、今現在も「登録証の返還」「常時不携帯」「切替拒否」等々、様々に抵抗を続けている。日本政府にとってまさに喉元に引っかかった小骨。それらをこの法改正で一気「リセット」しょうとしている!さて、抵抗者のみなさんはなんとする?
 中長期滞在外国人(90日以上〜永住者まで)にはICチップ付き「在留カード」を常時携帯義務(もちろん刑事罰付き)、在留状況や生活実態等々、全て監視の中。まさに「外国人は害国人」的政策をもってこれからの少子化日本社会の底辺を支え、景気の安全弁的役割を担わされる外国人労働者を入管=国が一元管理強化。時には「在留資格」の取消も。「永住資格者」も同じく。お上は「永住」の意味がわからないらしい!
 もちろん、監視するのはお上だけではない、自治体、役場の労働者、学校関係者、町工場や農場の経営者、外国人受け入れの全ての機関で通報・報告の義務化です。(修正では努力義務に)くわばら!くわばら!まさに監視社会ですね。
 こうしてあぶり出した「非正規滞在者」には退去のみ。全ての市民的権利から除外。人権の「じ」の字も剥奪。

◆さて私はどうなるの?ちょっと私事をなぜか私たち在日中国人は「中長期滞在外国人」に分類されます。知っていました?日本での「移住歴」がもっとも古く、すでに5世6世(150年)と続く人々さえいると言うのに。1952年「中国人はあの戦争で何千万も殺したが、植民地に出来なかった」ので在留資格は「(旧植民地)日本国籍を離脱したもの・・・」の「特別永住者」(当時の法126による)ではなく「一般永住者」なのです。在日歴91日の外国人と同じなのです。(日本政府の歴史認識の程度、笑うしかないですね)

 こんな排外的な法律がほとんど論議もなく、マスコミもあまり取り上げず、通ってしまう社会はやっぱり「こわい!」排外主義は人々を戦争に駆り立てる根。
 しかし笑ってもいられない、現実は私の極身近な日本人諸君も、或いは外登法撤廃・入管法改正を共に闘った「在日」の友人たちでさえ、在日中国人の法的地位には無頓着。「在日」と同じく「特別永住者」であろうとしか認識していないのが大方。在日中国人は一層不安定な在留資格の元で生き、闘っているのをご存じない。

◆「共生」とは
明治、天皇制国家の初めより、国内の外国人政策の根幹は「内と外」天皇制に包摂出来るか否かであった。現在も形を変えて「内と外」。「害国人」意識のままで「多文化共生」はほど遠い。でも外国籍住民は今や200万人を超えている。「共生」は避けては通れない。だからこそ、市民運動、労働運動等々が「ナショナルテック」に陥ってはしないか、振り返る好機かもしれない。もちろん移民化する私たちはこの社会での完全な「市民権」獲得の必要と共に「日本国」に絡め取られることのない「自立市民=住民」としての「共生」「連帯」のあり方の模索は避けて通れない。
関西共同行動ニュース No51