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東北アジアの核・ミサイル危機から抜け出すために 【核とミサイル防衛にNO!キャンペーン】 杉原浩司(講演要旨)

■東北アジアで深まる軍備増強と核ミサイル危機3月末から4月にかけて、朝鮮民主主義人民共和国が人工衛星を打ち上げということでロケットを発射し、つづけて核実験、ミサイル発射を行いました。日本ではよくあるパターンで政治家やマスメディアから北朝鮮脅威論が吹き出し、それを口実に自衛隊がこれまで配備できなかった武器を装備しようとするなど好戦的な議論が持ち上がっています。総選挙の結果で若干の違いはあるかもしれませんが、非常に危険な曲がり角にさしかかっているといえます。
 ここ数年、東北アジアでは今までにない規模と質を持って軍備増強がすすめられています。北朝鮮の動向に対応して、韓国のイ・ミョンバク政権が「国防改革基本計画」を抜本的に改めました。そこでは先制攻撃態勢の確立、そのための特殊貫通弾・バンカーバスター、無人偵察機・グローバルホーク、PAC3、SM3などの配備が謳われています。中国は、世界第2位の軍事費を投入し、核戦力の増強、多弾頭化、早期警戒衛星の導入、空母保有に向かっています。ロシアは、対空迎撃ミサイル「S400」を極東に配備しました。
 アメリカは、ミサイル防衛(MD)の効率化のために巡航ミサイル原潜オハイオ、100発以上搭載しているミシガンの日本寄港、F22の嘉手納配備などをすすめています。オーストラリアは、主要に対中国のためにトマホーク購入、MDイージス艦配備など第二次大戦以降最大の軍拡をすすめています。



■戦後平和原則棄て、防衛大綱の見直しすすめる日本オバマが登場し「核軍縮」を打ち出し、世界的には軍縮の動きがあるにもかかわらず、日本政府はアメリカに「核の傘の強化」を要求し、退役予定の核トマホークを攻撃型原潜に搭載するよう要求しています。自民党と経団連は、百年に一度という経済危機の中で軍事費の増額、武器輸出三原則の緩和、兵器の国際的共同開発への参加を謳い、自民党では敵基地攻撃能力の保有、集団的自衛権の行使、MD増強、弾道ミサイルの保有などを謳い、一部とはいえ核兵器の保有を主張しています。
 こうした傾向は、自民党に限らず民主党にもあり、浅尾(次の内閣防衛相)、長島副幹事長、前原元代表などは、2012年までに外交交渉の時間を設定し、北朝鮮が核、弾道ミサイルを放棄しないなら日本もトマホークをアメリカから買うべきだといい、鳩山なども非核三原則の「持ち込ませず」を緩和すべきだといっています。
 もし、政権交代が実現しても、時間が遅れるにしろ自衛隊が攻撃ミサイルを導入することにもなりかねません。

■防衛大綱改定に対抗するための具体的運動を!
 IHI・相生、三菱重工・神戸など軍需産業拠点、PAC3移動展開に対する闘い戦後平和原則を棄て防衛大綱の見直しに進み、東アジアの核・ミサイル危機の深まりに反対する運動は、核抑止力だけでなく通常兵器による抑止力にも反対する必要があります。現実の軍備増強のプロセスを監視し介入することが必要です。
 このことでの、関西の運動の当事者性といえば、PAC3のあいば野、三重からの次の移動展開に対する運動、相生市のIHIがGXロケットの燃料試験設備をつくろうとしている事への対応も求められます。神戸市にある軍需産業・三菱重工の生産拠点に対する対応などもあげられます。

 (杉原さんの講演はPAC3配備の問題など多岐にわたり重要な提起が多々含まれていましたが、紙面の都合上割愛させていただきました。文責は星川にあります)。
関西共同行動ニュース No51