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田母神論文資料集 関西共同行動事務局・編

T 田母神論文等からの抜粋( 田母神俊雄前航空幕寮長の論文・発言などから抜粋しました。)
@ 東京裁判はあの戦争の責任を全て日本に押し付けようとしたものである。そしてそのマインドコントロールは戦後六三年を経てもなお日本人を惑わせている。日本の軍は強くなると必ず暴走し他国を侵略する、だから自衛隊は出来るだけ動きにくいようにしておこうというものである。自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。このマインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。」( アパグループ懸賞論文「日本は侵略国家であったのか」より)
A 「論文に書きましたように、日本は古い歴史と優れた伝統を持つ素晴らしい国家です。決して『侵略国家』ではありません。しかし、戦後教育による『侵略国家』という呪縛が国民の自信を喪失させるとともに、自衛隊の士気を低下させ、従って国家安全保障体制を損ねております。」( 二〇〇八年十一月三日の記者会見で発表された「自衛隊退職にあたっての所感」より)B( 二〇〇八年十一月十一日の参院外交防衛委員会参考人招致答弁より)
「質問者( 山内徳信)憲法を改正するべきだというふうに思っているという理解でよろしいですね。
参考人( 田母神)はい。国を守ることについて、これほど意見が割れるようなものは直した方がいいと思います。
質問者( 同)集団的自衛権も行使し、武器を堂々と持とうというのがあなたの本音か。参考人( 同)そうすべきだと思う。」
C 「今後、日本が自立した国になるのにもっとも有効な手段は、日本が核武装することです。現実の国際政治では、核兵器の非保有国は、保有国の意思に対して、最終的には従属せざるを得ません。このため、日本が従属させられる立場から脱却するには、自ら核武装する道を選ぶのが一番早道なわけです。」( 週刊現代二〇〇八・一二・二〇号より)

U 田母神俊雄著 「自らの身は顧みず」より抜粋
A 『集団的自衛権』は行使できず、『領域警備』も許されず、攻撃的兵器も保有できずにいる。国を守るというのに、制約ばかりが多いのが日本の国防の現実である。これでいったいどうやって国を守れというのだろうか。なぜそんなことになっているのかというと、日本は『侵略国』で悪い国だという戦後の思い込みがあるからである。日本を普通の国とし、自衛隊を他国並みの『軍隊』にすればすぐに日本は暴走をし始めるという東京裁判以来の洗脳があるからである。このことがどれだけ国民の自信を喪失させ、自衛隊の士気を低下させ、従って国家安全保障体制を損ねているだろうか。」
B 『侵略国家』だという呪縛が国民の自信を喪失させ、自衛隊の士気を低下させる。これでは国を守れない。終戦五〇周年の『村山談話』なるものが今の日本では金科玉条のようになっている。村山談話は破棄されなければならない。」
B「国家防衛の基盤は愛国心なのである。戦後教育による『侵略国家』などという呪縛からは、精強な自衛隊も任務の遂行も困難なのである。」
C「国際社会では相変わらず軍事力が絶対的な役割を果たしている。もし米軍を中心とする先進国の軍事力がなければ、国際社会は第二次世界大戦前の弱肉強食の世界に戻ってしまうことだろう。ところが日本政府は『専守防衛』
を国是と言い、国内にも故意に軍事力の役割を低く見ようとする勢力が根強い。殴れば殴り返されるかもしれないという恐怖が殴ることを思いとどまらせる。これが抑止力である。従って攻撃能力を持たずには抑止戦略は成り立たない。攻撃こそ最大の防御というのは今も変わらない真理である。このように専守防衛というのは極めて不利な戦略であるにも拘わらず、我が国はあえてそれを選択すると宣言しているのである。これも自衛隊が攻撃をしなければ戦争になることはないという誤った歴史観の上に作られている。」
D 「拉致事件に対して、自衛隊が北朝鮮に乗り込んで行って被害者を救出することを考えておくべきだという意見がある。国内でかくも大規模な誘拐事件が発生すれば、警察はそうするだろう。だが、国境をまたいでいる以上、それをやれるのは自衛隊しかいない。」
E「日本国民が考えなくてはいけないのは、同盟とは『戦友感情』であり、『連帯感』だということである。換言すればともに血を流すことでもある。これで本当に有事に日米同盟が機能するだろうか。米軍の大多数の兵士は、日本は集団的自衛権が行使できないなどということすら知らないから、もし自衛隊が米軍を見捨てる事態が発生すれば、日米同盟はその瞬間に瓦解することになるだろう。」

V 田母神論文の波紋・批判( 抜粋)
@ 今回の問題の根本には憲法がある。現行憲法では自衛隊の存在が明確ではない。そんな状態が長く続き、屈曲した気分を作っている。憲法を変えて自衛隊の存在を明記することだ。」( 志方俊之元陸将、表題「隊内の長年の鬱屈示した」朝日新聞二〇〇八・十一・十三)
A「日本の植民地支配や侵略戦争を肯定し美化した田母神論文は、村山談話に代表される日本政府の公式見解を公然と否定している点で、文民統制の原則に明らかに反している。同時に、論文の内容自体の稚拙さ過激さにも驚かされる。何よりも単純な事実誤認が多い。たとえば、日本は『相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない』と断言しているが、満州事変は関東軍の一方的謀略で開始されたものだし、日中戦争の場合も派兵に際して、事前了解を得た事実などない。幣原外交に象徴される『対中融和外交』が日本外交の基本だったとしているが、軍部や右翼などの攻撃によって、幣原外交が軟弱外交として否定され、その結果、満州事変以降の侵略戦争が開始された事実は、日本外交史の常識である。また、独特の陰謀史観がこの論文の大きな特徴である。蒋介石は共産党の工作員の陰謀によって、そして、アメリカ大統領のルーズベルトはコミンテルンのスパイの陰謀によって、対日戦に引きずりこまれたという主張がそれである。」( 吉田裕一橋大教授、表題「ゆがんだ歴史観の底意は何か。自衛隊教育の是正や政治の対応が急がれる」毎日新聞二〇〇八・十一・二十一)
B 三十年代および四十年代前半には、日本も植民地帝国主義勢力として軍国主義に陥り、侵攻し、占領し、ひどい残虐行為を行った。それを否定するのは歴史を根底から歪曲するものだ。戦後、日本が世界で獲得した尊敬と信頼を恐ろしく傷つける。勝ち目のない戦争で、自国の兵士、さらには本土の市民に理不尽な犠牲を強いた日本の指導者は近視眼的で無情だった。国を愛するということが、人々の犠牲に思いをいたすのではなく、なぜ、いつでも国家の行為を支持する側につくことを求められるのか。」( ジョン・ダワー米マサチューセッツ工科大教授、表題「『国を常に支持』が愛国か」朝日新聞二〇〇八・十二・二十二)
C たしかに、現在日本の精神状況は、日本が戦争に突入していった昭和初年代のそれに酷似しています。関東大震災の震災手形が不渡りを続発し、日本を金融恐慌が襲ったのは一九二七( 昭和二) 年のことでした。さらに、一九二
二年にはアメリカ発の世界恐慌が起きて世界経済は大混乱に陥りました。まさに、現在の経済状況と似ています。このような時代状況のなかで、貧しい庶民のなかから戦争を求める声が上がりはじめます。昭和初期と現代の状況は酷似しています。しかし、歴史はくり返すように見えて、決して同じようにはくり返さないのです。戦争に突入し、敗戦を迎えた昭和日本の間違いを吟味し、短絡的にテロや戦争にひた走るという愚を犯してはなりません。( 松本健一・歴史家、表題「歴史はくり返すのか― 田母神論文問題と時代の空気」第三文明)


関西共同行動ニュース No49