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『米軍再編に自ら幕引きした座間市長』 檜花達実(原子力空母の母国化に反対し、基地のない神奈川をめざす県央共闘会議・事務局長)

 米軍再編に協力する度合いに応じて交付される再編交付金。防衛省は、米軍再編による艦載機の移駐は負担増につながるとして、異議を申し立てていることを理由に、岩国市に対し、市庁舎新築工事への補助金三五億円を凍結した。追い打ちするように、井原市長が提出した〇七年度予算案を市議会は五度に亘って否決した。このため、井原市長は市民に信を問うと辞任した。アメとムチで、国策遂行を迫る国の姿勢こそが問題であるにもかかわらず、基地問題が財政問題にすり替えられ、井原前市長は惜敗する結果になった。岩国市が容認に転じたことで、再編交付金が配分されないのは座間市のみとなった。
キャンプ座間の恒久的解消策を示せと主張し、防衛省(庁)と対立関係になった星野座間市長が、自らの主張を急転直下、転換したのが七月二八日であった。首長多選の弊害が取り上げられ、首長の任期制が話題になるなかで、星野市長は6期座間市長の座にあった。〇四年から基地強化につながる米軍の移駐に反対を表明してきた。全国三九の自治体で座間市の対応が注目されるなかで、反対の姿勢を後継させるのかが問われていた。

 〇四年に市長の肝いりで結成された「基地強化に反対する座間市連絡協議会」(市連協)は、この日、臨時総会を開催し、「国と市との間で負担軽減策を話し合う常設の協議機関の新設」を防衛省が提案するや、これを実質討議に付することなく了承した。この時の市長の見解は、「安保防衛について、国の専管事項に自治体の権限は及ばない」とするものであった。傍聴していた市民は、反対意見を封じての多数決による議事進行になすすべはなかった。この四年間、星野市長の姿勢に六万の市民署名、ステッカーや懸垂幕に座間市民として誇りを感じたであろう市民自治の理念とは一体何であったのか。八月八日、防衛省の意に沿って、市庁舎に掲げられていたたれ幕等は取り払われた。
九月五日には、新設された「キャンプ座間に関する協議会」の代表幹事会が防衛省で開かれた。この協議会が、どれ程の実効ある基地の整理・縮小につながるかは疑問が残る。先例は、沖縄で証明されている。
九月二一日の市長選は、基地問題は決着済みとして争点に至ることなく、保守系の市長が誕生した。

■キャンプ座間が前線基地に
 〇七年十二月十九日、第一軍団前方司令部の発足式がキャンプ座間でとり行われた。既にそれまでの兵站を主要な任務とする第九戦域支援コマンドを解散し、移行準備チームを発足させていたことから、要員三十名規模の前方司令部を発足させた。再編の既成事実を進めたい在日米陸軍の意向が働いたと思われる。いずれにしても、前方司令部が戦闘部隊を運用し、指揮統制することから、従来の兵站を主とする役割から大きく変貌することになったことは確かだ。今年九月末では、司令部要員は七〇人にまで増員された。

 キャンプ座間の基地強化に反対し、毎週水曜日に基地正面のバス停で座り込み、また、月一回定例デモをしている女性グループ「バスストップから基地スットップの会」(以下、ストップの会)は、星条旗新聞が報じた相模総合補給廠・第三五戦闘維持支援大隊の二〇人がイラク・クェートへ出動したことと、そして、「対テロ戦争を支援するために展開した在日米陸軍部隊の最初の部隊として歴史に記録した」との記事を追及し、キャンプ座間が、中東から東アジアに至る米軍軍事行動の出撃拠点にあることを明らかにした。在日米陸軍の司令官も兼ねるワーシンスキー司令官は九月九日記者会見で、部隊を別の部隊にくっつける「モンジュラー化」を進めていると前記の部隊運用を認めている。

 また会見では、相模総合補給廠内に整備される「戦闘指揮訓練センター」について、〇九年八月着工、一〇年十月完成予定であることも明らかにした。米軍再編に係る費用は、三兆円と言われ、日本負担で進められている。しかし、この施設は米軍予算で建設される。陸上自衛隊との合同演習が主な役割を担う施設。対テロ・ゲリラ対応の専門部隊として発足した中央即応司令部が、十二年度にもキャンプ座間に移駐する計画だ。米軍再編の主たる目的は、日米の軍事連携にあることは、明らかになっている。自衛隊の海外派兵への出撃拠点基地ともなるのだ。

 一九三七年に日本陸軍士官学校が設置されてから、陸軍の軍都として、歩んできた街。そして今、再び戦場と直結した司令基地に変貌しようとしているのだ。私たちは、県下全域が日米軍事要塞化しつある軍事再編を止めるため、これからも闘いを進めていきたいと思う。

関西共同行動ニュース No48