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『辺野古の今』 松本亜紀(辺野古に絶対基地を創らせない大阪行動)

 辺野古では、引き続き、陸上での座り込みと海上での行動が続けられています。この間、環境アセスメントの「事前調査」という名目で行われてきた〇七年二月末までの作業、そして三月十七日から始まったアセスメント「本調査」に対しても、一貫して基地建設阻止の闘いが取り組まれてきました。

 環境アセスメントをめぐって、防衛局は自らが不利になる情報はひた隠しにし、明らかに違法なやり方で事を進めてきました。市民や専門家、知事の諮問機関である県環境影響評価審査会、そして知事意見でもその問題性を指摘されたにも関らず、その声を完全に無視し、デタラメな手続きを積み重ね、「本調査」に入ったと発表しました。

 「本調査」強行以降は、主に、パッシブソナー(ジュゴンの鳴き声を記録する機材)設置に対する阻止行動と、合わせて、ライン調査やマンタ法による調査を止める行動も行われてきました。住民に対する防衛局側の作業員の対応は、日に日に高圧的で暴力的になり、阻止行動を封じるために明らかな体制強化が行われています。こちらが撮影するビデオカメラの前に立ちふさがって撮影を妨害したり、一つのポイントに作業員を20人以上も一気に配置し、住民を現場に近づけない形で作業を強行したり、海中で行動する住民に対して作業員が何人も押さえ込みにかかり、命綱であるエアーボンベを執拗にゆするというような危険行為も行われるようになりました。さらに、中立であるべき海上保安庁も防衛局の作業に手をかしています。米軍基地から出港する海上保安庁は住民の安全を守るどころか、住民が作業員から押さえ込まれ、どれだけ危険なめにあっていても傍観し、挙げ句の果てには海に出ようとする住民を2時間近くも足止めし、船の立ち入り検査をしたり、住民に船舶免許の提示を求めたりと、全くもって法的妥当性のない、防衛局側に立った行為を繰り返してきました。
現在、辺野古では、このような危険行為に対して抗議の声をあげながら、それを中止に追い込めない間は、水中の阻止行動から監視行動に重点を置き、調査機器の設置状況の確認、撮影、各種調査(リーフチェック、海草の調査、赤土調査など)を行っています。
座り込みメンバーの中では、定期的にミーティングを持ち、今後の阻止行動の方向性や、日々、訪れる人たちを繋いでいくためにどうすればいいか、また地元の人たちにどうアピールしていくのかということを繰り返し議論しています。その中で、説明の仕方の工夫、来た人に海を案内するツアー、また参加しやすいイベント(海の幸を食べようの日、島野菜を食べようの日など)を企画するなど、様々なアイデアが形になっています。

 この間、七月十八日には、沖縄県議会において「辺野古移設反対」決議が可決されました。これは、辺野古にとって大きな追い風となる歴史的な出来事であり、辺野古の現場も歓喜に包まれました。また、日本も含む各国政府や環境保護団体でつくる国際自然保護連合(IUCN)がまとめる最新版の絶滅の恐れのある生物リスト(レッドリスト)に、名護市や石垣島で大群落が確認されているアオサンゴが掲載されたというニュースも飛び込んできました。スペインのバルセロナでは、十月五日〜十四日にかけてIUCNの第四回世界自然保護会議が開かれています。この中で、日本のNGOの六団体が、日米両政府にジュゴン保護の取り組みを求める勧告案を共同提出しています。会議で採択されれば、二〇〇〇年、〇四年に続く三度目の勧告となります。

 このように、すぐに建設中止にならないとしても、辺野古を取り巻く世界的な流れはじわじわと基地建設計画の白紙撤回に向けて動いているのです。

 人が少ないといわれている辺野古ですが、現地に足を運んでみると、人々が、したたかに、しなやかに行動を続けていることが分かります。辺野古に基地をつくらせないという確信がより強まる瞬間でもあります。どんな状況の中でも、自然とともに生きることや、命を大切にするというその原点が息づき、その中で行動が続けられていることに敬意と感動を覚えます。辺野古の基地建設計画がもちあがって十二年がたち、当初の計画であった「沖合案」が撤回されてからでも三年の月日がたっています。しかし、政府はなおもあきらめていません。執拗に沖縄・辺野古を追いまわし、いつでも辺野古に襲いかかろうと準備を進めています。いい加減、沖縄から手をはなしてほしい。辺野古でずっとずっと闘い続けている人たちの思いとはいかばかりでしょうか。しかし、住民たちはどこまでも原点を見つめながら闘い続けています。そのすがたに学ぶべきものは多く、いつ何時でも辺野古のそばにいたいと思いました。

 私たちは、もう一度、自分の生活の点検をしなければならないのではないでしょうか。このような状況にある辺野古に繋がる方法はたくさんあるはずです。絶対に辺野古を孤立させない、私たちが共にいるのだという強いメッセージを送り続けなければなりません。

 大阪、そして日本に住むみなさん、辺野古の基地建設計画を、最後の最後、政府が完全にあきらめるまで共に行動を続けましょう。
関西共同行動ニュース No48