集会・行動案内 TOP
 
●私たちは希望を手にしている 新倉裕史(非核市民宣言・ヨコスカ)

5月16日、横須賀市議会は再び原子力空母の是非を問う住民投票条例を否決した。 賛成議員は10人から8人に減った。住民投票条例の成立を求める暑名は、1万2000筆も増えたのに、賛成議員が減ったのは、運動としては、きびしい評価が必要なのかもしれない。しかし、私たちはとても残念だとは思うが、落胆はしていない。条例案を否決した市議会が、「原子力空母の配備に対し多数の市民が危惧していることの証左として署名の重みは市議会として真摯に受けとめる」という意見書を全会一致で採択した。
意見書は市民がなぜ住民投票を求めるのかを、こう解説する。「横須賀市民は従前から米原子力潜水艦の放射能漏れ疑惑などから、核の安全性に対し強く不安を抱いており、その不安が解消されないまま、今回原子力空母が配備されることに一層不安を募らせたことが、今回の直接請求の一因であると言える。」
市民の不安を充分にわかっていても、住民投票条例は否決。なぜか。
市議の多くは、住民投票を実施すれば、市民の多数は「NO」に一票を投ずると判断しているのだろう。だから、なんとしても条例案を否決しなければ、という政治判断が先に立つ。そんな政治判断があるなら、意見書なんか採択しないで、条例案を一刀両断に切り捨てればいいのに、それもしない。なぜか。
やはり、署名をした5万の市民。さらに多くの、議会を見つめる市民の視線が、現実的な力を持っているということではないか。だから、条例案は否決するけれど、市民の不安に寄り添います、という「意見書」がどうしても必要だった。意見書の採択は、とても横須賀らしい結果といえるのかもしれない。しかし、間違いなく、そこに私たちの希望もある。2度の直接請求を経て、市民は負けながらも、確実に前に進んでいる。
条例案否決から1週間もたたない5月22日、横須賀配備予定の原子力空母ジョージワシントンは、太平洋上で火災事故を起こした。「エアコンや冷蔵施設、予備ボイラー室がある船尾の一角で火災が起きた。火はケーブルを伝って数カ所に広がり、一時は船体の一部が高熱を帯びた」(朝日5・24)。CNNは、海軍報道官が「深刻な火災と形容した」と伝えている。ハワイでのキティーホークとの交替式は延期された。基地内からは、修理に4週間から4ヵ月かかるとの声も聞こえてくる。8月19日の横須賀配備も遅れる可能性が出てきた。配備延期ではなく、中止こそが市民の願いだ。



関西共同行動ニュース No47