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●サミットはいらない 小倉利丸(ピープルズ・プラン研究所・共同代表)

低支持率の福田政権にとって洞爺湖サミットは人気とりのために欠かせないイベントになってきた。30年以上も続いてきたサミットは、非公式の会合であるという位置づけを格好の隠れ蓑とした先進国によるグローバルな資本主義のイニシアチブ形成の場だ。
今年のサミットは環境問題が主要議題となると言われているが、世界規模の食料価格高騰などもあり本当に何が議題になるかはまだわからない。しかし、どのような議題であっても、サミットの議題は先進国の利害を貫徹するための危機管理という側面から取り上げられるのであって、環境も貧困も文字通りの解決をサミットに期待することはできない。サミットは、経済、政治、軍事のあらゆる側面において、国連や第三世界諸国の影響力を削ぎ、先進国の利害を調整するための重要な役割を果たしてきた。
しかし、サミットに事実上の国際政治の主導権を与えるような動きが残念ながら各国政府やNGOからも見出せる。サミット側も8ヶ国に加えて、中国、インド、ブラジル、韓国、南アフリカなどの政府を招待したり、「市民社会」との対話と称してNGOとの交渉の場を設けたりすることを通じて、第三世界諸国や「市民社会」を抱き込もうとやっきになっている。
こうした傾向をとらえて、サミット諸国の首脳との交渉を求め、サミットがより開かれたものとなることに期待する向きもある。しかし、わたしはこうした傾向がサミットをますます政治的に権威づけることになるということに大きな危惧をもっている。というのも、サミットは、その歴史的な経緯からみて、国連をはじめとして第三世界の影響力のある国際機関からその影響力を奪うような目論見を繰り返してきたからだ。
さらに、日本に関して重要なこととして、サミットが日米同盟とNATOの両方を包含するグローバルな集団的な安全保障の枠組みとなっているという点だ。これは憲法9条に抵触するような外交の場だということだ。小泉首相がイラク多国籍軍への参加を国会での議論も抜きに突然表明したのはサミットの場であったことはその端的な現れだ。また、80年代の規制緩和=民営化も現在国会に上程されている共謀罪法案もいずれもサミットの場で議論されてきた議題が国内に持ち込まれたものだということを忘れてはならないだろう。
サミットの本質は日本にとっては違憲外交の場である。改憲の方向性とサミット諸国がねらう日本の軍事化とは無関係ではないことをいまいちど確認し、サミットはいらない!という立場を明確にすることが大切だと思う。

関西共同行動ニュース No47