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『米軍再編と日米軍事一体化の今−前田哲男さんの講演会に学ぶ』 村上隆之(憲法を生かす会・大阪)

■ミサイルは日本に向かって飛んだか?
 七月六日、朝鮮人民共和国外務省は五日未明のミサイル発射を、「軍事訓練の一環」と公式に認めた。こうした同国の対応が、将来の東アジアにおける安全保障のカギを握ることが確実な六者協議の先行きに、不安を与える結果になったことは否めない。一方、日本の政府・与党内では「経済制裁」を主張する声が更に高まっており、拉致問題への対応を含め冷静な対応が求められる。マスコミ各社は、庶民の不安を煽るような報道に偏らないよう注意を促したい。

■「米軍再編」のための憲法九条改定
 さて表題の講演会は五月一七日、アピオ大阪において「しないさせない戦争協力関西ネット」が主催した学習会である。軍事ジャーナリストで沖縄大学客員教授の前田哲男さんによる講演は、こうした東アジアにおける最近の安全保障問題を考えるうえで示唆に富む内容だった。この日の講演で前田さんが強調した一つに、今回の米軍再編を「米軍による自衛隊の吸収」とした点が挙げられる。その理由を前田さんは「陸・海・空とも在日米軍基地に司令官を配置するが、どんな軍事組織にも二人の司令官はいない」としたうえで、米軍再編を完成させるためには「米政府側の事情からも日本に憲法9条を改定させる必要がある」と述べ、日本国内における最近の九条を中心とした改憲策動の裏側に、米政府の意向が絡んでいる点を指摘した。
 また、米軍再編後の運用例として前田さんは、佐世保の海上自衛隊員が極秘情報をインターネットに流出させた「ウイニー」問題を示した。この情報は日米の合同軍事演習の内容を詳細に著すもので、「軍事演習では、作戦上、明らかに日米が戦争するよう先に仕向けていることが分かる」と流出した内容を前田さんは解説した。七月五日のミサイル発射に対し、もし「経済制裁」を発動すればウイニー流出情報の内容そのままになるだろう。
 
■冷戦崩壊が「米軍再編」で軍縮になるか
一方、米軍再編が米軍基地の縮小に向かった例もあるとして、前田さんは「ドイツやフィリピンでは縮小されたが、日本だけ強化拡大・負担増になっており、沖縄では一層強まっている」と述べた。会場からは、韓国でも米軍基地機能の縮小とはいえないのではないかという質問が出た。前田さんがいうとおりブッシュは、人気の低迷の原因であるイラクでの米国民の犠牲を少なくしようと、米軍の指揮で自衛隊を自由に使おうとしているのではないか。同様のことを韓国でも考えているとすれば、仮に共和国政府が戦時体制に入ったとしても、国境近くにあるソウルの米軍基地を平澤へ南下させておけば被害が少なくて済み、また、米陸軍最新鋭の「ストライカー旅団(従来の装甲車より車重が軽く、高速移動が可能なハイテク装備の兵器)」を配備し、韓国軍隊と一体となって組織強化を図れば半島における米軍プレゼンスの低下はなく、むしろ軍備拡大強化とは言えまいか。


関西共同行動ニュース No41