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『平和の攻勢を準備しよう!』 中北龍太郎(関西共同行動)

■運動と学習の中から
「草の根の力をつちかい改憲をストップ!五・三大阪憲法集会」は、改憲は絶対に許せないという一人ひとりの熱い思いが会場を溢れんばかりに漲り、長期持久戦としての反改憲運動の跳躍台となった大きな意味のある集会となりました。また、奇しくも反安保記念日と重なった「三悪法を廃案へ!六・一五大阪緊急行動」は、国家への愛を強いる教育基本法改悪、民主主義の枯葉剤=共謀罪新設、改憲のための国民投票案、この三悪法に対する些かバラバラ観のあった各ゾーンの反対運動が、最悪の国会状況を眼前にして大阪初の共同行動を組み、怒りの声を最悪の雨天を衝いて目抜き通りに轟かせました。この秋に二つの成果をベースに平和の攻勢を広げ高めていくため、この夏、その準備をシッカリ整えていきましょう。
▼「ここ一、二年が日本の決定的なターニングポイントである。」(斉藤貴男)― 権力者たちによって平和と民主主義に対する破産宣告の申立が準備され、戦後民主主義・平和の世が崩れようとする音が次第に高まりつつあります。
▼「自衛隊は米軍の一部隊となる」(前田哲夫)― 米軍再編の本質はまさにここにあります。
講演で発せられた現日本の情況に対する鋭く的確な「予言」をキッチリ押さえて、平和の攻勢を創りだしましょう!

■イラク占領と米軍再編
イラクでの「人道支援」から手を引く日本、しかし、「大量破壊兵器保有、テロ支援」といった嘘で塗り固められた違法な先制攻撃戦争に加担し、占領のお先棒を担いだ事実は決して消え去ることはありません。そのうえに、「人道支援」に代えて戦闘地域への兵士と武器の輸送を拡大して、アメリカへの戦争協力だけに特化して強化しようというのですから、罪深くなるばかりです。
都市の全面的破壊、十万人ともいわれる一般市民の殺害、相次ぐ住民虐殺、アグレイブ刑務所における拷問など、アメリカの蛮行は枚挙に暇がありません。様々な野蛮の根本原因は、外国軍による政権転覆と占領による内戦状況の作出という根元的な戦争犯罪にあります。そしてまた、内戦を大義名分に占領を続行し米軍基地を恒久化して、中東支配を企み、不安定の弧を軍事の最前線へ変えようとしています。
こうしたアメリカの戦争を戦う日本へ、これがアメリカの日本に望む日米同盟の究極目的です。五月一日に発表された在日米軍再編の最終報告、六月二九日の日米首脳共同声明「世界の中の日米同盟」で、日米軍事同盟の根本的な改変が行われました。これによって、日本政府はアメリカ政府に、自衛隊、自衛隊基地そして軍事活動全体の実質的な指揮命令権を譲り渡すことにOKのサインを出したのです。日本は日本の防衛のためではなく、アメリカの世界規模での対テロ永久戦争という名の覇権戦争をアメリカのためにその指揮の下で戦う国になる、これが米軍再編の本質なのです。
自衛隊指揮システムの米軍への統合は、横田飛行場における在日米軍司令部の共同統合作戦調整センターの設置とそれの自衛隊の共同使用、航空自衛隊航空総司令部の横田への移転と米第五空軍司令部との併置、キャンプ座間における四軍統合機動部隊を指揮する中枢司令部の米本土からの移転と陸上自衛隊の中央即応集団司令部の設置などによって実行されようとしているのです。
このように、安保は、条約の改定もないままに、日本防衛のための同盟から、アメリカの覇権戦争のための同盟へと根本的な変質を遂げたのです。この変質の国内的プロセスは、この約一〇年間、九六年安保再定義、九七年新ガイドライン、九九年周辺事態法、〇一年アフガン戦争支援のためのインド洋への展開、〇三年イラク派兵と武力攻撃事態対処法、〇四年米軍行動円滑化法・国民保護法、などによって積み上げられてきました。米軍再編は、この延長線上で取り決められたのです。

■米軍再編と改憲・三悪法
こうした米軍再編は、武力行使を目的とした海外派兵、集団的自衛権の行使、米軍への戦争協力と一体不可分です。九条改憲が声高に唱えられるようになったのもそのためです。戦争の放棄、戦力を保有せず、交戦権を有しないという九条の本命・原点としての平和三原則は空洞化されてきましたが、それでも、海外派兵禁止、集団的自衛権の行使は違憲、戦争非協力という戦争の歯止めとしての新平和三原則として生きてきました。九条は、米軍再編の具体化を阻む大きな平和力を有し続けているのです。アメリカの戦争協力のために九条がジャマ、これが改憲の根っこであることをシッカリ見据えておきましょう。
改憲潮流が強まる中、三悪法制定の動きも予断を許さない状況となっています。国民投票法案が、平和憲法を戦争憲法に変えるための手段にほかならないという本質を寸分たりとも見失ってはなりません。アメリカのための戦死のススメを愛国心の名で国定教育とする教育基本法改悪のグロテスクさは極まっています。話すだけどころか、目配せ、内心の思いだけで私たちを検挙・処罰の恐怖にさらす共謀罪新設法は、戦争への抵抗を根こそぎ破壊する邪悪な意図に満ちた稀代の悪法にほかなりません。戦争と民主主義の破壊は二人三脚でやってくる、この真実は古今東西変わりはないようです。
進行している米軍再編、継続審議の三悪法そしてその次にやってくる改憲の陰謀、私たちは否が応でも、飛行機墜落の危急時に乗り合わせた乗客のように、こんな危機の時代に遭遇してしまっているのです。

■平和の攻勢を準備しよう!
私たちは、座して死を待つわけにはいきません、危機に対して勇気を奮い起こして立ち向かうしか生き残る道はありません。危機を克服する可能性は決して失われているわけではありません。
反基地運動不在と言われてきた岩国市で米艦船搭載機の移駐反対の住民投票が大成功を収めた運動の報告(五・三憲法集会での田村順玄講演)は、私たちに大いなる勇気を与えました。海上基地建設を阻止した沖縄の闘い、米軍基地あるところ広がる怒りの炎、米軍再編に抗する新たな胎動が始まっています。また、九条改憲に反対する世論は今なお根強く息づいています。
日本の権力者たちは、だましだまし既成事実を積み重ねていくことには長けてはいても、正面から米軍再編―改憲の戦略的・軍事的正当性をインフォームドコンセントした試しはありません。これは、戦争する国づくりと平和世論との間には大きな溝が横たわっていることの反映でもあります。三悪法も到底市民の支持を得ているとはいえません。
私たちが平和の行動を通じて平和世論を喚起すれば、戦争への道をストップするチャンスをきっとどこかで掴むことができるはずです。そのための第一弾として激動の秋に平和の攻勢を起こすために、この夏、その準備を整えておきたいものです。反改憲ネットワークの結成、三悪法を廃案に追い込むための共同行動・国会行動の環境整備、しないさせない戦争協力のための行動方針の確認など、なすべき準備に共に汗を流しましょう!

関西共同行動ニュース No41