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『危機とレジスタンス』 中北龍太郎(関西共同行動)

■危機の深化
 保守二党制から安保翼賛体制へ、そして昨年晩秋には自民・民主両党の改憲案発表を契機に改憲大連合へと危機の政治が進みました。危機の政治はますます深まっています。
民主党は小沢体制の下で改憲政党としての本領を遺憾なく発揮するに違いありません。代表選での演説でイタリアの名画「山猫」から引用した「変わらずに生き残るためには、変わらなければならない」という小沢の台詞は、私には、壊し屋・唯我独尊の政治スタイルを挙党一致の手法に変えて民主党を93年発刊の自著「日本改造計画」で描いた改憲―国家大改造路線の一枚岩にしていく決意表明に聞こえました。
自民党も、小泉後継レースの最先頭を走る安倍晋三がそのまま逃げ切り総裁の座を射止めたら、改憲路線を突っ走っていくことになるでしょう。安倍は、戦後政治の二大目標は豊かな国づくりと自主憲法の制定だった、前者は達成できたので今後の課題は後者だと明言しています。安倍が根っからの憲法嫌いであることは、「集団的自衛権を行使できない日本は禁治産者なのか」「憲法は日本人の精神に大きな悪い影響を及ぼしている」といったあけすけな発言でも一目瞭然です。
二大政党の改憲への前のめりとともに、今国会で自民公による改憲のための国民投票法の制定が日増しにリアルになってきている状況は、改憲スケジュールを前倒しにする危険因子です。三党は改憲と国民投票法制定の点では軌を一にしており、残されているのは投票ルールの調整だけで、そのすり合わせが着々と進んでいます。与党協議会が取り決めた国会での改憲プランは、国民投票法制定はホップ、改憲案の協議がステップ、最後のジャンプが改憲発議というものです。このように、国会はすでに改憲モードに入っており、改憲の日は刻々と近づいてきているのです。

■米軍再編と改憲
自・民両党の改憲案からも明らかなように、改憲の最大の目的は集団的自衛権の行使、海外派兵、他国での武力行使に道を開くことにあります。
改憲が急浮上してきた最大の要因は、いうまでもなく日米軍事同盟の強化にあります。小泉政権は、ブッシュ政権の戦争協力、在日米軍の強化、米軍と自衛隊とが共に戦う体制づくりなどの軍事要求に応え、米軍事戦略への追従を深めてきました。その実行はまさに、改憲の目的とピッタリ重なっています。
米軍再編に関する中間合意は、@ワシントンにある米陸軍第1軍団司令部の神奈川県座間基地への移転―日本の米世界軍事戦略のグローバルな最重要拠点化、A沖縄県名護市辺野古の海兵隊基地新設―恒久的な対テロ戦争のハブ基地化、B東京都横田基地における米軍と自衛隊の共同運用―米軍・自衛隊の共同作戦体制化、C山口県岩国基地への米艦船搭載機の配備―緊急展開体制の拡充と日米軍事一体化など、在日米軍基地を先制攻撃戦略の展開拠点とし、自衛隊を先制攻撃の他衛隊にするための企みにほかなりません。
眼を国外に転じると、アメリカのデタラメな理由による国際法違反の先制攻撃を受けたイラクは、ますます泥沼の戦場と化しています。そんな戦場に送り込まれた自衛隊の「人道支援」活動は今や全くの役立たずになってしまっています。それでも、アメリカの要請で居残り続けています。人道支援から手を引き米軍の航空輸送に集中するという方針も取りざたされていますが、それは、空爆のための航空機作戦にシフトしようとしている米軍事作戦に加担し、あまたの民間人に犠牲をもたらす殺戮支援にほかなりません。
日米軍事同盟の強化=先制攻撃戦略のための共同作戦体制づくりが、3万人とも10万人とも言われる民間人を死に追いやったイラクと同種の戦場あるいはそれを上回る地獄の戦場で、自衛隊が米軍と共に武力行使するところまで行き着くことになるのは必至です。
こんな野蛮な日米軍事同盟の飛躍的強化と連動して改憲の動きが進んでいるのです。

■レジスタンスを広げよう
基地被害に苦しむことになる地元の自治体や住民は、地元の意向を全く無視した頭ごなしの米軍再編にいっせいに怒りの声を上げています。基地の島・沖縄では米軍基地の機能強化・恒久化に対する怒りが沸点に達しようとしており、平和の島への転換をめざして新たな県民投票が準備されようとしています。基地反対運動が弱いといわれてきた本土でも、岩国で米艦載機配備をめぐる住民投票で多数の市民がキッパリと反対の意思表示をしたのをはじめ、全国各地で基地強化に反対する声は燎原の火の如く広がっています。米軍再編への怒りは新たな平和のウエーブを創りだしています。
私たちは、基地周辺から巻き起こっている平和のウエーブに共鳴し、9条改憲を許さない闘いを築き上げなければなりません。改憲をストップするために、底力を発揮して市民運動→共闘→草の根の広がりを創りだすことが求められています。数十団体の呼びかけで開かれる5・3憲法集会を市民運動の力で成功させましょう。これをホップに、共闘関係の拡大でステップし、小さくとも無数の草の根の反改憲のムーブメントの創出へジャンプしましょう。
いずれ反改憲の数千万署名運動も提唱されるでしょう。それまでに、私たちの反改憲プランをキッチリつくり、署名運動をこなしきれる理念と足腰をシッカリ鍛え上げましょう。また、08年には9条世界会議を日本で開催する企画も立てられています。9条を守る運動を万国の平和運動と連帯して進めるために、9条擁護が世界的課題となるように、私たちの運動を普遍的なものに進化させていきましょう。
改憲の危機にレジスタンスを!
共に歩みましょう!
関西共同行動ニュース No40