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『水島朝穂さんの講演を聞いて』 綾仁道子(憲法9条の会 関西)

 会場が国労会館であったことから、国鉄改革に触れ、非情にも盟友まで捨て改革を断行した中曽根と、今回の国会テロともいうべき解散劇を演じた小泉とは、同じ冷酷さを持った政治家であるという話しから始まった。自民党の新憲法草案についての問題点を逐次あげられた中で、印象に残った点の第一は、国家と人権の関係についてである。人の権利は人類の長年のたたかいによって獲得されたもので、上から貸し与えられたものではなく、憲法12条の公共の福祉とは、人権と人権のぶつかり合いを調整するものであって、新憲法草案にあるように、公の秩序の名のもとに上からおしつけられるものではないことを強調された。
 9条については、2項は軍事力の有効性を否定したもので、日米同盟は憲法違反であり、2項の改正を阻止できれば始めて、日本はアメリカではなくアジアの立場に立つことになる、と言う言葉はアメリカ一辺倒の政治家達に聞かせたい。
 今回の憲法改正の論議は、改正の作法を踏んでおらず、国民に対する理由説明、十分な情報開示と自由な討論の保障がなされていない、という指摘をされたが、政府が用意している「国民投票法案」は、この作法を全く無視したものといえるだろう。
 最近の水島さんのお話をきく集会で、憲法とは国民が国家権力を縛る為のものだということを知らない人が大勢いたという体験を話されたが、この現実を私達もふまえて運動を進めなければならないのではないかと思う。
 最後に、運動の方向として、憲法についてゆれている層"ゆるぎある護憲派"にウィングを広げていくべきだという考えを示されたが、これに関連して、質問に答えるかたちで最後に言われた言葉は、日ごろの弱点を突かれた思いで聞いた。即ち、憲法論議に、敵、味方はない。改憲論者でもじっくり話し合えば必ず一致する点が見つかるはずだ。一致しない点を見つけるのではなく、一致できる点をさがすことだ。こちこちの味方で固まってたたかう玉砕戦法は憲法にはそぐわない。我々は「たかが市民」ではあっても「されど市民」なのであって、憲法をきめるのは過半数の国民なのだ。悲観し過ぎず、卑下することなく「されど市民」として運動を展開してほしい、と。
 終始にこやかに、随分多くの問題点を、明快に、力強く論じられたのだが、随所で笑いを誘われることもあって、けっこう楽しい学習をさせて頂いたと水島さんに感謝している。
関西共同行動ニュース No39