人間って、不思議だよねえ。
もうどれだけの数を殺したんだかわかんないけどさ、
殺しても殺しても殺しても、どれだけ殺しても、
なぜだか、どこかで生き残ってたりするんだよね。
いや、うん、生き残ってるだけっていうならまだしも。
もうホント、何百億っていう数の人間を殺したはずなのに、
未だに、時々僕のもとにはミサイルが飛んできたりするんだよね。
ただのミサイルじゃないよ? 核積んでるよ?
人間同士の戦争では禁じられたっていう核を搭載したミサイルが、
僕のもとにはもう何千発も飛んできてるんだよ?
まあちなみに、死んでいった人間の中には、
その核ミサイルの爆発に巻き込まれたっていうのもたくさん、
本当にたくさんいるんだけども。
そういえばその飛んできたミサイルの数ってどれくらいだっけ。
何千発って言ったけど、実際の数ももうあんまり覚えてないや。
もしかしたら万を越えちゃってたりするのかな?
まあとにかく、僕が言いたいのは。
もうね、無限と言っていいくらいの数の人間を僕は殺したんだ。
それなのに、人間ってやつは未だに、
自分たち同士で核戦争ができるぐらいの文明を保持しているってこと。
ちなみに僕は僕でミサイルたくさん撃ち込まれてるけど、
このとおりピンピンしてますよ?
なんかさあ、ほんと、これじゃ終わりが見えないよね。
僕はどんな攻撃をされても壊れない。
でも人間のほうも、どれだけ殺しても殺しても殺しても、絶滅しない滅びない。
思うんだけど、どうもこの世界って、
誰かの幼稚な妄想が元になって、出来上がっているんじゃないかなあ?
際限ないたくさんの人間を相手にひとりで殺戮を続ける僕は、本当は何なんだろう?
成す術も無く僕に殺されてゆく無尽蔵な数の人間っていうのは、本当は何なんだろう?
僕が人間を殺戮するのは、楽しいからやってるんだけど。
楽しいと思うのは、それを快楽だと感じるのは、
目的が達成されていくからだと思う。
もともと僕を造った博士はそういう風に僕の行動をプログラムしたわけだから。
けれど人間を殺戮するっていうのは、
『本当の僕』にとっては何を意味することなんだろう?
そもそも殺戮を受ける側である人間っていうのが、
『本当の僕』にとっては何なんだろう、どういう風に見えているんだろう?
どうしようもなく憎しみを抱く対象?
自分にとってどうしても排除しなきゃいけないもの?
だけど消しても消しても無限に沸いて出てきちゃうものなのかなあ?
いったい何なんだって話。
だけどその『本当の僕』ってやつは僕じゃない。
そもそも仮定の話だし。
それにそんなこと深く考えるのは面倒くさいしね。
僕にとっちゃたまに掌の上で人間の頭転がすのと同じような、
暇つぶし程度の遊びって感じ。
結局のところ、僕は今日も元気に人間の虐殺を繰り返す。
この僕でさえ実は誰かの掌の上で転がされていたんだとしても。
人間殺して楽しければ、僕にとってはそれでいいのだ。
それがすべてなのだ。
今日もドリルが気持ちよくなる、ミサイルが勢いよく飛んでいく。
気持ちの良い殺戮を。
がしょんがしょん。
がしょんがしょん。
がしょん。