明神岳 東稜 [残雪期アルパイン]


日付 2011/05/06(金)〜07(土)

天候 06日 曇時々晴れ
07日 曇
パーティー構成 3B・やまちゃん・おれ

アプローチ 05日 中山尾根下山後、小淵沢駅==沢渡 第二駐車場(幕営)

ルートと所要時間 06日
沢渡 第二駐車場[5:30]起床[6:10]==《0:25》==[6:35]上高地[6:50]--《0:40》--[7:30]明神館[7:55]--《2:00》--[9:55]宮川ノコル--《1:10》--[11:05]ひょうたん池[11:30]--《3:55》--[15:25]バットレス基部のコル(幕営)

07日
幕営地[3:00]起床[4:10]==《0:25》==[4:35]バットレス基部--《1:15》--[5:50]明神岳主峰--《1:35》--[7:25]奥明神沢のコル--《0:45》--[8:10]岳沢小屋--《1:15》--[9:25]上高地==沢渡

ルート情報 ・ 現在、養魚場はどこかの研究施設になっていて、立ち入りするのにちょっと戸惑います。
・ 養魚場から先は多少の藪漕ぎ。不安だけど上を目指せば下宮川谷に出合います。
・ 宮川ノコルまでの下宮川谷はガレ気味で落石注意。中程で不明瞭な二俣を右俣に入る。地形図を確認しましょう。
・ 宮川ノコル〜ひょうたん池間は広い沢斜面をトラバースする。デブリ多数あり。ブロック雪崩だけでなく、融雪に伴う落石にも注意が必要。
・ ひょうたん池はいたる所で幕営可能。
・ 第一階段では岩場左のルンゼ状の草付帯を登ったが、雪も少なくかなり悪い。よくよく確認すれば岩場に残置ハーケンが見て取れたから、GWなど雪が腐った時期なら岩場に取り付いた方が安定していたかもしれない。(1Pスタカット)
・ バットレス基部のコルでは、稜上で斜面を切れば3〜4張程度可能。両側の傾斜はキツイ。。
・ バットレスは基部雪面を左にトラバースしてルンゼ状を登って稜に戻る。トラバースは足元が切れ落ちている。
・ 傾斜のあるバットレスの岩場だが残置(ハーケンやスリング)多数あり。上半はバランシーだが、よく確認すればアイゼンの前歯で開けられた2つ穴やピックで支持できるリスも多数あり。(W級)

報告&感想 GWのメイン企画である明神岳東稜。GWの連休も終わる合間の金曜土曜とした日程のため上高地の入山者は少なく、東稜は俺ら1PTだけだった。カレンダー上の休日である3日〜5日には結構な数のPTが入ったようで、ひょうたん池やバットレス基部では整地された幕営跡が多数あった。

先日の鹿島槍と同様に、季節の頃もあるが温暖化の影響も多々あるようで雪の状態が悪かった。北海道では毎年の冬の平均気温が例年を上回っているらしい。次回は入る場合、明神主稜の縦走も考えると上高地までの入山に労を要するが4月中旬までが適期かもしれない。



1日目
上高地〜バットレス基部 幕営地まで
[ 8時間35分 ]

人も疎らな上高地

明神館への途中で見える明神岳X峰。
左のピークは2263

明神館

明神橋から見た宮川のコルとひょうたん池
緑○が宮川のコル
赤○がひょうたん池

明神橋

養魚場跡(現在は研究施設)先の笹薮帯
赤テープも疎らに見受けられるが、
上へ向えば下宮川谷に出合うはず。

沢筋はガレ場。簡単に落石を起こします。

暑さの中を雪が残る右岸を無心に詰めていたら、右俣に入るのを忘れてた。二俣といっても不明瞭なので、地形図を確認しながら右尾根のピークを目印に右俣に進むように注意して詰めましょう。ご察しの通りこの写真は左俣。このまま進むと宮川のコルから遠ざかり、X峰に向ってしまうみたい。俺らは写真右の笹薮を漕いで樹林帯から右俣に戻りました(汗

こんなトコに踏み跡なんてないです。
途中、身の丈

右俣に復帰

暑い&重い。

宮川のコル

すぐそこにひょうたん池が望めるが、
二つの谷を横断するため意外に時間が掛かった。


ひょうたん池手前付近で落石の音が聞こえた。振り返ると1mほどの岩がこのあたりを転がっていった。ここにいた時にあんなのが落ちてきたらどうなっていた事やら。

デブリがいっぱい。

雪面を登るとひょうたん池

ひょうたん池から見た東稜
ここは広く平坦で快適な幕営地

中央の岩稜帯が第一階段

ここは雪が少なく非常に悪かった。ロープを出したが、特にトラバースから雪面に上がる箇所は、傾斜がある上に雪解け水で緩くなった草付で抜けるのに難儀した。
赤線が俺らのルート
緑線や青線は、残置が見られたのでルートの予想
赤線と緑線の合流する場所に残置あり。

グサグサの雪稜を愚痴りながら進む。
振り返ると梓川の流れが気持ちを切り替えてくれる。

バットレスが見えるピークを越えると...。

コルの先に明神岳本峰とバットレス基部の幕営地跡

明日のために
一段目の岩壁は左にトラバースしてルンゼ状から稜に戻る。
二段目でスタカットして、雪面をもう1P伸ばした。



2日目
バットレス基部〜明神岳本峰〜岳沢〜上高地
[ 8時間35分 ]
撤収していざ本峰へ

バットレス基部左のルンゼ上から稜上に

ここでアンザイレン
山ちゃんがトップで伸ばします。

ラストの俺
後半は凹角正面のホールドばかり求めるとムズくなる。身体を離し気味にして、左フェースのホールドや、右の残置スリングなどを活用すれば楽しく登れます。

ビレイ点から見下ろすとこんな感じ

次のピッチもそのまま山ちゃん

ピークはすぐそこ
スカイラインの岩峰が本峰です。

2P伸ばした後はコンテで

明神岳直下の岩場基部を左に回りこんで主稜線上に

稜線岩稜をひと登りで本峰に立つ

本峰直下から見た、主稜線上に連なるU峰〜X峰

明神岳本峰にて
この一枚だけのためのチビ三脚(61g)

天候も不順なので本峰から奥明神沢経由で下山に

ルーファイを間違えるとムズいクライムダウンが必要になります。稜上にある懸垂支点に惹かれますが、手前から左に稜線を外せばラクに回り込めます。

一つ目のコルから振り返る本峰(左)とU峰

本峰から2つ目のコル(奥明神沢源頭部)へは残置支点もあって1Pの懸垂で降りましたが、クライムダウンでも行けそうでした。
ここの岩稜部で山岳ガイドを養成する専門学校の生徒達が登攀訓練してた。ガイド養成の専門学校があるとは...驚き。

奥明神沢下降中
急斜面だが傾斜に問題なし。
問題は腐った雪に足を取られながら必死に下る暑さでした。

岳沢下降中の一枚

汗だくで上高地に到着
河童橋付近から見た岳沢