日付 | 2011/04/29(土)〜30(日) |
天候 | 29日 曇時々晴れ、午後一時雪 30日 晴れのち雨、昼頃から一時雷雨 |
パーティー構成 | 天狗尾根隊:やまちゃん・おれ(CL) 北壁主稜隊:3B・ぐ |
アプローチ | 28日 小田急新松田[21:00]==[23:50]道の駅松川(車中泊) |
ルートと所要時間 | 28日 道の駅松川[6:45]起床[7:20]発==《0:40》==[8:00]大谷原ゲート前[8:25]--《0:50》--[9:15]取水口--《0:50》--[10:05]天狗尾根取付--《1:15》--[11:20]尾根上[11:50]--《2:40》--[14:30]第一クーロワール--《1:05》--[15:35]第二クーロワール--《1:20》--[16:55]天狗ノ鼻(幕営) 29日 天狗ノ鼻[4:00]起床[5:45]発--《》--[6:10]最低コル[6:20]--《3:05》--[9:25]荒沢ノ頭手前[9:45]--《3:15》--[13:00]天狗ノ鼻--《2:00》--[15:00]尾根上 荒沢下降点--《3:00》--[18:00]大谷原ゲート==帰路 * 荒沢ノ頭手前からと第二クーロワールでの懸垂下降と最低コル付近での雷雨の退避を含む |
ルート情報 | ・ 大谷原では大冷沢の橋の手前(30台ほど)と橋を渡った先のゲート前(10台ほど)に駐車可能。 ・ ゲートを越えて林道を辿り大川沢右岸を進むのが正解。橋のたもとから大冷沢左岸の道も付いているが、こちらは大川沢を渡り大川沢左岸の廃道を進む場合に選択する。 ・ 大川沢は水量多し。渡渉は取水口まで2回。取水口の先で更に1回だが、取水口のつり橋を渡らず、つり橋たもとの右岸に雪が残っていれば巻ける可能性あり。(3回とも膝上の深さ) ・ アラ沢も水量多いものの飛び石でなんとかなる。しかし雪渓の崩壊箇所が多々あり、短距離ながらもルートファインディングと水流際での登下降は難儀した。 ・ 尾根取付きは、アラ沢出合から10分ほどで見えてくる最初の支尾根の奥側。今回は渡渉できずに支尾根手前側のザレたルンゼ状から取付いたが、中途半端に雪が残っていてかなり悪かった。 ・ 尾根上までは藪漕ぎ。薄い踏み跡と所々赤テープがあるが、この季節に重荷での藪漕ぎは辛い。 ・ 尾根上手前から残雪あり。春も半ば過ぎの時期柄のため雪はグサグサ。ルート上のいたる所でクレバスが開いている。GWの連休は魅力だが、快適な雪稜を求めるならGWは妥当な選択ではないのだろう。 ・ 天狗ノ鼻は平坦地。20張は優に可能な広さがある。 ・ 荒沢ノ頭手前の岩場はV級程度だが、中途半端に雪が付いていたのでチョイ悪だった。 表記上の意味について。 クレバス(シュルント):氷河(雪面)や雪渓の裂け目を意しています。 ラントクルフト(ベルクシュルント):雪渓と側壁との間にできた割れ目(隙間)を意しています。 参考サイト→http://homepage3.nifty.com/kochiwashio/MtTerms/terms.html 高知鷲尾山岳会の登山用語は勉強になります。 |
報告&感想 | 今年のGWは東尾根か天狗尾根の2択のうち、東尾根の込み具合と3B隊が北壁に入る事を考慮して天狗尾根に入る事にした。3.11の震災以降の山行自粛後約2ヶ月ぶりの山行であり、重荷を背負っての渡渉・藪漕ぎ・腐り雪・雷雨と渋い要素が多かった天狗尾根になってしまったが、ダラけた結果の撤退ではないし、幕営地の景色や朝方の鹿島槍は素晴らしく満足している。次回は入るなら、4月初〜中旬に渡渉のない東尾根から挑んでみようか。 同じ日程で東尾根から鹿島槍に抜けたパーティーが落雷を受けて亡くなった報を聞いた。俺らが荒沢ノ頭手前で撤退を決めた時、すぐ隣に見える東尾根を登っていたパーティーの方だろうと思われる。当日の天気が良く、気持ちよく山頂に抜けられていれば、もしかしたら互いに挨拶し会話もしていたかもしれない。無念な結果ではあるけど、山はリスキー。ご冥福をお祈りします。 |
1日目 |
大谷原〜天狗ノ鼻幕営地まで [ 9時間35分 ] |
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ゲート手前の駐車場 |
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今回はアルパインパック60だけど、雪山用以外にワカンや渡渉用の沢装備もあるからかなり重く、22Kgほどだろうな。 |
駐車場先のゲートをすり抜けて林道を進む。200mほどで分岐があるので、右に折れる林道は山腹を巻いて大川沢の右岸となる。 |
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大川沢の右岸の様子 |
1回目の渡渉地点 |
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やまちゃんはズボンなしで沢スパッツのみ |
2回目の渡渉地点 本人曰く、「スパッツは冷たくなく意外にイケます」って、素直に信じるかどうかはあなた次第です(笑 |
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取水口のつり橋 |
3回目の渡渉地点 |
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アラ沢に分け入った直後の様子 |
最初の支尾根 ここの先(裏側)から取り付けば比較的容易なんだが...。 |
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ラントクルフトが開いて、進めません。 |
仕方なく手前のザレたルンゼ状を詰め上がります。 |
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支尾根上の藪漕ぎ |
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気温も高く、重荷では辛い。 薄い踏み跡はあるものの、気を抜くとロストしてしまう。 |
根雪が現われてきて多少は歩き易くなってきた。 |
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ようやく尾根上 |
GWの初日だし震災での自粛もあって、 トレースは皆無 |
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振り返る大谷原方面 |
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雪が降ってきた。 |
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いたるところでクレバスを越えるのが辛い。 |
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第一クーロワール |
傾斜があるけど三つ峠のクーロワールを想像していたから、ちょっと安心。あんなトコをアイゼン着けてフル装備で登る勇気はないから。 |
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まずは雪壁登り |
登った先の正面の岩場は基部を左に巻いて、再び稜線へ |
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ようやく、天狗ノ鼻が近くなってきた。 |
第二クーロワール |
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ここはひたすら雪壁 |
それほど傾斜があるわけではないが、雪の状態が悪くて渋い。 |
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後続PTは第一クーロワールを登った小ピークで 幕営準備を進めているようだ。 |
第二クーロワールを抜けた稜線から、 急な雪面を登りきると天狗ノ鼻 |
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クレバスの段差を利用して幕営準備 |
翌日は別行動なので、テントは2張。 |
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隣には東尾根が長い尾根線を横たえている。 二ノ沢ノ頭にテントが見える。 下界は晴れているみたい。 |
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2日目 |
天狗ノ鼻幕営地〜荒沢ノ頭手前(撤退)〜大谷原 [ 12時間15分 ] |
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朝日を受ける鹿島槍北峰 今日の午後から荒天予報。なんとか抜けきれるかな。 |
東尾根の幕営者は既に出発した様子。 |
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五竜岳方面 |
最低コルへ |
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先発した三瓶隊は北壁隊が雪崩の可能性から戻ってきて、 天狗尾根のピストンに変更。 |
雪の状態が悪く、俺らも最低コルに幕営装備をデポしてピストンに変更。 |
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1つ目の岩稜部 右寄りのルンゼ状から稜に乗る。 |
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急速に天候が悪くなり、雪が舞ってきた。 |
2つ目の岩稜部 この岩稜部を越えれば荒沢ノ頭まで僅かだが、この時点で雪が雨に変わる。午後から天候が崩れる見込みなのでここで撤退を決める。 隣の東尾根には2人パーティーが見える。 |
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岩角にスリングを回して支点とし懸垂下降。 |
東尾根の核心部 |
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1つ目の岩稜部中間まで下降し、残りはクライムダウン。 後続PTを待たせてしまった(謝 |
近くで雷鳴が轟く中、最低コルまでクライムダウンが続く |
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最低コルにデポした幕営装備を詰め込み、天狗ノ鼻への登り返しの途中から雨が激しくなる。雷鳴もさらに近くなってきたがコルとはいえ稜上では退避する場所もなく安心できない。少し登った小ピークの岩壁基部まで必死に進み、クレバスの裂け目に身体を入れて「落ちないでくれ」と願いながら暫く丸くなる。 さらに雨が激しくなり、間近に一発落ちた。先行した3B隊を案じるが自分達も余裕があるわけがない。ようやく雨も小降りになり雷鳴も遠くに聞こえるようになってきたタイミングで天狗ノ鼻に向かい足を進めた。短いように思えたが写真の記録を辿ると1時間弱丸くなっていたようだ。 |
五竜方面に掛かる雷雲 ゴアテックスといっても土砂降りの雷雨では全身ずぶ濡れ。 なぜか登山靴の中もプール状態だった(涙 |
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延々と伸びる天狗尾根にうんざり。 3B隊が撤収するのを待って、逃げるように下山開始。腐った雪と雨に濡れた装備はさらに重く、思うようにスピードがでない。尾根下半部に差し掛かってもそれほど遠くない雷鳴は絶えず、安心できない。次々に新たな雷雲が通過してゆくのだろう。 3B曰く、「逃避行だな」とはまさにその通りだった。 |
第二クーロワールでは懸垂したが、クライムダウンで十分だった。 アラ沢への下降地点付近まで辿り着けば樹林帯に入るため、ようやくの雷から開放された安堵。でもまだ藪の下降と渡渉が待っていると思うと気持ちが折れそうになる。 |
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