小同心クラック&横岳縦走 [冬季アルパイン]


日付 2010/03/13(土)-14日(日)

天候 13日 曇り時々雪
14日 快晴 稜線上風速10mほど (AM5:00 -10℃)

パーティー構成 いいづか(CL)・こうの

アプローチ 13日 こうの宅[08:00]==[10:30]小淵沢駅

ルートと所要時間 13日
[12:00]美濃戸口--[15:00]赤岳鉱泉BC(幕営)

14日
[4:30]起床[5:45]発--[7:00]大同心基部--[7:30]小同心クラック取付き[7:55]〜[10:00]小同心の頭--[10:20]山頂直下岩場--[10:55]横岳山頂[11:30]-(地蔵尾根)-[12:40]行者小屋[13:00]--[13:30]BC撤収[14:10]--[17:00]美濃戸口

ルート情報 ・大同心基部からのトラバースは意外に厳しい。
・2P目(核心ピッチ)を右凹角ルートに採ると、一旦右肩稜上に出てからピナクル裏側をトラバースする必要がある。途中残置ハーケンもあるが、左クラックルートの方が素直に繋げられる。
・横岳山頂直下の岩場はV級+程だと思うが、今回はベルグラが着いてかなり厳しかった。ハーケンは適度に残置されている。2Pの表記があるが50mいっぱいで山頂下の岩角まで届く。

報告&感想
13日:
いいづかさんを[10:50]にピックアップする予定で[10:30]小淵沢駅に到着する。強風のため列車が遅れているので暫し周辺を散策したが南寄りの強い風が入ってきているので暖かい。望む八ヶ岳は雲の中だ。いつものように美濃戸口に駐車して林道をゆっくり歩き出す。先週末は赤岳山頂でも雨で、林道の雪も消えて無くなっていたが、週半ばの南岸低気圧の影響で結構な積雪だ。美濃戸で一本入れて、[15:00]赤岳鉱泉に到着後BCを設営。BCの天候は曇りで時折雪も混じる。気温は-1℃ほどだが風が強く、1月2月の比ではないが気持ちが入っていないため寒さが身に沁みる。やる事ないので早々にテントにもぐり込み酒盛り開始。夕食はいいづかさんの新メニュー(笑)、回鍋肉。計画書では[3:30]起床の予定を[4:00]に変更して[20:00]過ぎ就寝。

14日:
[4:00]に起床。朝からラーメンを食べてトイレの前で一服していると、登攀装備の男女パーティーがいたのでどこを攀じるか尋ねると、同じ小同心クラックとの回答。後続しますので今日はよろしくと告げてその場を別れ、[5:45]発。軽いトレースがある大同心稜の樹林帯を急登してゆく。疎らになってきた樹林越しに大同心が見え始める広めの稜上でアイゼンを着け、更に基部まで雪が付いた岩稜帯を登る。先ほどの先行Pが小同心へトラバースしているのが見える。[7:00]俺らも大同心基部を一段上がってトラバースを開始する。このトラバースは、大同心・大同心ルンゼ・小同心の基部岩壁をアップダウンしながら辿るのだが、斜面を見下ろせばルンゼを転げ落ちるのは間違いない傾斜で、封印しているはずの高所恐怖症がじわじわと滲み出てくる。本気でコワい!。ここを突破しない事には今日の目的の小同心クラックに辿り着けない。サクサクと進むいいづかさんを必死で追って、精神的にヘロヘロ(汗)になりながら[7:30]小同心クラックの取り付きに到着。ここの取り付きは広い。後続Pはトラバースを開始するところだった。先行Pの女性がリード中だったが先ほどの者ですと挨拶して、登攀具を着けてダブル2本でアンザイレン。トポにはフェース右寄りの浅い凹状を左上との記述があるが、先行Pは正面から攀じっている。右には残置支点がなかったからとの話だが、フェース正面の様子を見ても別段問題なさそうなので俺もここから取り付く事にする。先行Pとの間を図っていると後続Pが到着して、いいづかさんに「湯川で」と声を掛けてきた。俺もその話を聞いていたので違和感なく暫し歓談(笑)
[7:55]先行Pのフォロアーがチムニーに入ったタイミングで登攀を開始する。

小同心クラック [7:55]〜[10:00]
・1P目 40m W級− こうの : フェースからチムニーを抜けてテラスでビレイ(残置ハンガーあり)
・2P目 20m W級− いいづか : 凹角からチムニーを抜けてテラスでビレイ(残置ハンガーあり)
・3P目 20m V級+ いいづか : 右凹角から右肩稜上に出て岩角でビレイ
・4P目 30m V級 いいづか : ピナクル裏側をトラバースして小同心の頭まで(残置ハンガーあり)

岩稜(雪稜) [10:00]〜[10:20]
・コンテ2P

横岳直下の岩場 [10:20]〜[10:55]
・5P目 50m V級 こうの : 階段状から浅い凹状を山頂に抜けて岩角でビレイ

[10:55]横岳山頂に到着。いいづかさんに横岳は行った事がないと話していたが、それを酌んでくれての計画で横岳もバリエーションから初登頂してしまった。アンザイレンを解くと、後続の福井組も順次到着して再び歓談。地蔵尾根経由で横岳縦走をしながら鉱泉まで下降してBC撤収。肉うどん大盛り食って美濃戸口に無事下山。


小同心クラックは来年かなと漠然としていましたが、いいづかさんのお陰でサクっと行けちゃいました。天気もルートも気持ちよいコンディションで、トラバース以外(汗)は楽しい山行になりました。ありがとうございました。
また、自分達以外のパーティーの事などお構いなしで、ロープを交差させたり支点を独占したりするパーティーの話を聞くなか、前後のパーティーはそんな話が作り話のようなスマートなパーティーでした。錫杖でもそうだったけど、同じルートを登るパーティー同士、楽しく登攀できた事にも感謝したいですね。

今回、一番手応えのある最終5P目を俺が伸ばしたからちょっと物足りなそうないいづかさんでした。夏のお花見の時はもちろんお譲りします(笑


写真(フルサイズ)のダウンロードはこちらから
http://briefcase.yahoo.co.jp/bc/kou_250/lst?.dir=/&.src=bc&.done=http%3a//briefcase.yahoo.co.jp/&.view=l





[4:00]起床[5:45]発
朝の気温は−10℃程ですが、ほぼ無風のため寒さはありません。日が伸びてきてるんですね。この時間で阿弥陀岳が赤く染まり始めていました。

大同心稜の樹林帯

急登を過ぎると大同心が目前に迫ります。
岩稜帯手前でアイゼンを装着しました。


大同心稜からの小同心
写真じゃ見えないけど、
中間部を先行Pがトラバース中です。

大同心でしょうね(笑

[7:00] 大同心基部


振り返るトラバース路。
最初の核心だった気がする(汗
基本は基部を忠実にトラバースするとの事ですが、ルンゼの雪面を含め雪が悪いと結構難儀しそうです。

[7:30] 小同心取り付き
ここで登攀具を着けてアンザイレン
先行Pが正面からリード中です。

トポでは右からフェースを左上するのですが、正面からでもホールドは豊富だし、ロープも屈曲しないのでこのルートの方が素直かもしれません。

先行PのフォロアーがTakeOff

[7:55] 1P目 W級− 40m こうの
ぼこぼこホールドのフェースからチムニーをテラスに抜けてビレイ(ハンガー2枚&ハーケン3枚の2箇所の残置支点あり)

垂直に近いチムニーですが、離れ気味にステミングで抜けてゆきます。奥に入り過ぎると体勢が厳しくなりバコバコとヘルメットをぶつける事になってしまいますよ(笑

チムニーを抜けテラス手前から一枚。
やばっ、後続が増えた!(汗

先行Pの方
出発前に鉱泉で何気なく話したら、
同じ小同心クラックとの事で一枚(笑

1P目 ビレイ点
横を見れば朝日を浴びる大同心と硫黄岳

いいづかさんもTakeOFF

サクサク攀じって楽しそうです。

2P目 W級− 20m いいづか
ビレイ点から右に寄って、凹角からチムニーをテラスに抜けてビレイ(ハンガー2枚の残置支点あり)

ピナクルでランナーとってたけど、
奥に残置ハーケンありましたよ〜(笑

いいづかさんと奇遇(?)な巡り合わせの後続P
お陰さまで、ワイワイ楽しく登れました。

後半のチムニーへは右寄りから入ります。
いいづかさんがピナクルをヘンな体勢(謎)で乗り越したので左寄りにフォローしていったが、壁が被さってくるのでヘルメットぶつけながらの窮屈な体勢になってしまった(汗

チムニーの中から
ここで何を考えたのか...(次に続く
チムニーの左壁を左手に出たらキワどいカンテ上に乗り出してしまった(汗
直登は出来ず、ルートに戻るには2歩ほどのトラバース。リードだとかなり危険ですのでチムニーから出ないように注意しましょう。でも、下まで見えてしまう高度感に感激して一枚。案外このアングルは誰も見たことないかもね〜。

2P目ビレイ点
3P目 V級+ 20m いいづか
右凹角から右肩稜上に出て岩角でビレイ

写真は左クラックルート
見難いですが、頭上の丸い岩が核心部(笑

3P目フォロー開始。
2P目チムニーを一枚。キワどいカンテはここ↑

振り返ると横岳西壁特有の空間が広がります。

右凹角から抜け出た右肩の風景
左ルートはピナクルの反対側から抜けてゆきます。

右には横岳が

横岳山頂直下の岩場
中間部に先行Pが取り付いています。
何気なく見ていると、アッズで雪を掻いて厳しそうです。

4P目 V級 30m いいづか
ピナクル裏側からトラバースして小同心の頭の岩角でビレイ(小同心頭にハンガー2枚の残置支点があるとの事)

肩から右凹角ルートを見下ろす。
後続のフォロアーが2P目チムニーを抜けるところ。
背後の飛び出た岩が前出のキワどいカンテです。

[10:00] 小同心の頭から横岳への稜線
中間部の岩は右から巻きます。

稜上をコンテで山頂直下の岩場まで進み、
振り返る小同心

[10:20] 山頂直下の岩場のビレイ点
5P目 (気持ち)W級 50m こうの
階段状を一段上がって正面凹角状を横岳山頂まで抜けて岩角でビレイ

トポによると階段状を抜けて一旦切るとの事だが、そのまま抜けてしまった。小同心クラックは氷雪もなく快適な登攀に終始できたが、氷化してなければV級程度のこのピッチはお約束のベルグラ満喫。適度にランナーの残置ハーケンがあるが、みな一様に小同心クラックではなくここが核心だったと。小同心の右肩から見た先行Pが難儀していた様子は見間違いじゃなかった事がはっきりした(涙

ビレイ点から見下ろす。

5P目ビレイ点
すぐ先が山頂なんだよ。

横岳山頂に立つ先行パーティー(笑

いいづかさん、ナイスフォロー(笑

[10:55] 横岳山頂

横岳から見下ろす小同心

赤岳と阿弥陀

後続のリーダー

同じくフォロアー

硫黄岳方面

初登頂の横岳にて記念撮影(笑
ハーネスまで外したので一般登山者のようですが、しっかり攀じり終わった後ですyo。

[11:30] 地蔵尾根まで横岳縦走です。
鉾岳付近の西側をトラバースする場所は何度歩いても緊張します。つーか、コワイ(弱


振り返る横岳

今日も快晴な赤岳

地蔵尾根でシリセード炸裂中

[12:40] 行者小屋