日付 | 2010/02/20(土)-21日(日) |
天候 | 20日 快晴 稜線上風速10mほど 21日 快晴 稜線上風速5mほど (AM5:00 -16℃) |
パーティー構成 | いいづか・おおさわ(CL)・こうの |
アプローチ | 19日 こうの宅[21:00]==[23:05]小淵沢駅==道の駅こぶちさわ(車中泊) |
ルートと所要時間 | 20日 [3:30]起床[4:00]発--[4:40]舟山十字路[5:10]-(広河原沢経由)-[6:10]南稜尾根上--[8:05]立場山--[9:40]無名峰--[10:50]P3取付き(アンザイレン)[11:50]-(スタカット3ピッチ)-[12:55]稜線--[13:45]阿弥陀岳山頂[14:05]--[14:45]行者小屋(幕営) 21日 [4:30]起床[7:20]発--[8:20]北稜JP(アンザイレン)[8:40]--[9:15]第一岩峰[9:50]--[10:15]第二岩峰[10:25]--[10:47]終了点--[11:07]阿弥陀岳山頂[11:25]-(御小屋尾根経由)-[13:48]舟山十字路 |
ルート情報 | |
報告&感想 | 3月末の赤岳天狗尾根に向けて、舟山十字路から南稜を1日で行者小屋に抜け、翌日北稜を登り返して御小屋尾根で下山の行程で幕営フル装備を背負って阿弥陀岳を南と北から満喫してきた。 20日: いつもの前泊地の道の駅こぶちさわを4:00過ぎに立ち、[5:10]舟山十字路から広河原沢沿いに30分ほど林道を進み、標識のある分岐から南稜へ分け入る。それとなく方向を見出せる程度のトレースを踏み南稜下部の急な北斜面を登り出すが、凍った雪のため早々にアイゼンをつけることになってしまった。[6:10]尾根に出てから立場山までは尾根伝いに2時間ほど樹林帯を縫ってゆく。急登ではないが周りの景色が見えない2時間は辛く、それぞれ黙々と上り詰めてゆく。[8:05]立場山で一本とった後、なだらかな尾根を進んでゆくと疎らになってきた樹林越しに阿弥陀岳が望めるようになる。御小屋尾根と南稜をスカイラインにした南側から見る阿弥陀岳は意外に圧倒的で、早く抜け切りたいと気持ちが早る。青ナギからは快適なトレースを伸ばしてゆき、[9:40]無名峰までの急登を適度なラッセルで登りつめる。無名峰で軽装の単独者が先行していった。ピーク2564までくると森林限界を越え、阿弥陀岳まで続く岩稜が正面に迫ってくる。P1は左側の草付を、P2は雪面を左の肩から巻き、再び稜線に戻るとP3が目前になる。P3は稜線上正面から左のコルを回り込んで更にルンゼまでトラバースするが、ルンゼ手前10mほどは岩壁に沿ってのトラバースとなるため雪が悪い状態などの場合はFIXやスタカットなど安全策を採った方がよいかもしれない。ここのトラバースにはワイヤーが張られていたが中間部は雪に埋もれて掘り出す事ができなかった。[10:50]コルを回り込んだ平坦地でアンザイレンして、[11:50]ルンゼに取り付く。左を見れば南稜線・広河原沢・御小屋尾根を見渡せる。ルンゼ下部のスラブは雪に埋もれ、直接硬く締まったルンゼを登る。なんの理由があったのは不明だが取り付きから10mほど上までルンゼ雪面に滑り台状の溝が掘られていた。ピックも快適に刺さり40mほど伸ばしてビレイ点を探すが、残置も見つからず装備したナッツやハーケンを使うクラックもリスも雪に埋もれている。右往左往して岩角の雪を掻くがスリングの掛りが悪く、更に15mほど伸ばしてだましだましのビレイ点で後続を迎えた。続く2P目3P目もスタカットでリードしたが、フル装備のザックのウェストベルトを締めていないのでショルダーハーネスがピッケルを振る腕を妨げ、思うように腕が上がらない。[12:55]今日もけっこう疲労して再び稜線に戻る。残すは山頂直下の岩場だけだが、ルンゼ登りで足が遅くなった俺には難しくはないが辛い登りだった。ここの岩場にはP4・P5があるが知らないうちに越えてしまうだろう。基部から不明瞭なバンドを左上気味にP4を巻いて稜に戻り、P5を右からトラバースして稜を左側に乗り越して再び稜線に戻れば阿弥陀の山頂は目前となる。ひーひー言いながらその先の山頂を見上げると、真っ青な空をバックに二人が山頂から俺を見ていた(汗) [13:45]待望の阿弥陀岳山頂で軽く一本入れて中岳沢経由で行者へ下り、[14:45]幕を張る。年末から比べると日が長くなったのが実感できる。20:00過ぎ就寝。 21日: [4:30]起床、朝食を食べて撤収、[7:20]北稜を目指す。先行Pがいるようで昨日にはなかったトレースがJP支尾根へ伸びているが、いつもの取り付き地点より下なので、いつもの場所からトレースをつけながら支尾根に上がる。先行Pはワカンで進んでいるようだが、ワカンでは逆に辛いだろうと思える程度の積雪。[8:20]JPでアンザイレンして潅木を縫いながらおーさわがロープを引き、俺といいづかさんが後を追う。[9:15]第一岩峰では先行Pが難しい正面からトライして難儀している。話をすると日大の山岳部との事。暫し待つが(実際はロープが...)抜け切る様子もないので先行Pの横から[9:50]左の凹角に取り付くも残置が雪に埋もれて支点が採れず、更に上の浅い凹角からいいづかさんが岩角を支点にビレイしておーさわがリードする。一昨年利用した残置は雪の下だった。第二岩峰でソロの人を先行させて、2番手で再びおーさわが攀じる。ナイフリッジを越え終了点だと思われるがまだロープが出てゆく。日大Pが伝令してくれて「いっぱい」のコールを送ると終了点を過ぎ稜上を更に進んでいた。終了点の潅木が雪に埋もれてビレイ点を探して進んでいたとの事。そのままロープを引き上げてくれと伝えて、俺といいづかさんがコンテ状態で後を追って終了点まで。フル装備だとバランスが悪く、途中動きが止まってしまった(汗) 雪稜でアンザイレンを解いて、[11:07]再び今季3度目の阿弥陀の山頂を踏む。 [11:25]御小屋尾根を下降する。樹林帯までは急斜面だが堅く締まった雪のため順調に高度を下げてゆける。樹林帯に入ればトレイルも明瞭だ。なかなか高度が落ちない傾斜にぶつくさ言いながら汗にまみれて[13:48]舟山十字路へ。 当初は南稜上での幕営で計画したが、1日で抜けられるなら抜けたほうが気持ちもいいし、もれなく北稜も付いてくるって事で今回の行程になった。しかし、初めて経験するフル装備を担いでの縦走&登攀は、BCを張って軽装で攀じるより、バランス感覚や体力が更に必要だと実感させられた。長い行程だが、フル装備の登攀は気持ちに充実感が得られると思う。お勧めです。 |
■■■ 20日 ■■■ |
■■■ 20日 ■■■ |
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広河原沢側からのトレイル 右に巻き上がりながら、途中から斜面を直上する。 直上するポイントでは間違いやすいので注意! |
南稜尾根上へ |
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立場山への樹林帯 |
立場山 2370m |
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立場山から青ナギへ |
青ナギから見る阿弥陀岳 |
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青ナギ |
P3 Zoom! |
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無名峰への急登 快適なラッセルを楽しむいいづかさん(笑 |
無名峰ピーク |
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無名峰から伸びる南稜線 |
ピーク2564付近から岩稜帯となります。 |
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広河原沢と御小屋尾根 |
ピーク2564からの南稜 阿弥陀の右の岩峰がP3 |
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権現方面 |
P1 左側草付きから巻く |
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P2 雪面沿いに左側から巻く |
P3 P3正面の基部を左に、コルを回り込んでルンゼ下部までトラバースする。終盤の岩壁基部をトラバースするところは、ちょっと怖いかも知れない。ルンゼ下部までワイヤーが張ってあるが、半分以上雪に埋もれていた。 |
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ルンゼ出だしの一枚 この溝はなんなんだろう??? |
1P目のビレイ点が構築できず寒い思いをさせてしまった(謝 |
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ルンゼ3P目 |
ルンゼから稜に戻り岩場を目指す。 |
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山頂直下の岩場をトラバース気味に左上〜右上して稜上に |
ここまで来ればあと少しだね。 |
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山頂で待つ二人 |
俺はバテバテ(汗 Byおーさわ |
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振り返る南稜 |
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無事、行者小屋まで抜け切りました(笑 今日はここで幕営 |
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■■■ 21日 ■■■ |
■■■ 21日 ■■■ |
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5:00の気温は-16℃ 風がないので寒くないです。 |
今日は定着ではないので朝から撤収して北稜を目指します。 |
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JPへの先行トレースを追う。 むー、最近はトレースを付ける快感が...(笑 |
JP手前 本日俺らは2組目。 先行はワカンで登っていた日大P。 |
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このショットはなんだ?(汗 Byおーさわ |
コンテなので左のカンテ沿いを避けて潅木を縫って登高します。 |
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先行Pが難儀していたので、横から一昨年の浅い凹角へ |
左の凹角に取り付くも支点が雪に埋もれて見つからなかったので、更にその上の凹角からおーさわが攀じり始めます。 |
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ここでも残置は雪の下。 岩角でビレイ中のいいづかさん |
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第二岩峰 |
たまには俺 |
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北稜終了点 ビレイ点となる枯木は雪に埋もれてます。 今日はスタンディングアックスかスノーバーが有効です。 |
再び阿弥陀岳山頂(笑 今季3回目だな。 |
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御小屋尾根を下降 Byおーさわ |
Byおーさわ |
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振り返る阿弥陀岳 |
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御小屋尾根上部の急下降ポイント ハシゴや凍り付いたFIXもあります。 Byおーさわ |
舟山十字路へ無事下山 カモカモ隊は既に撤収した後だったらしい。 |