フラットコーテッドレトリバーっていう名前がついている
犬一族の末裔のオラは2001.5.14生まれ。
12匹の兄弟がいるんですが、どこにいるかは分かりまへ〜ん。

そんで「しょうちゃん」って名前を
ひげのオヤジに付けられてしまいました。
フラッティーには、はっきり言ってダサイ名前です。
オラは嫌です。
ここの家族みんなも大反対のようですけど
ヒゲのオヤジが威張りくさって勝手に決めつけてるんです。

下に写っている、オラを抱っこしてる
この家で2番目に大きい人間の名前は「しゅうちゃん」です。
まぎらわしい名前つけんな!
ちなみに、この家で一番小さな人間の名前は「だいちゃん」です。

この家には2001.6.21日に、さらわれて来て家族となったんだが
皆にもみくちゃにされ、ちょっとウザッタイ毎日ではあります。

ここの家で一番大きな人間は、密かにフリスビー犬に
仕立てようともくろんでいるようなのではありますが
オラはちょっぴり嫌です。
なんでって?オラは、食う 寝る 出すが仕事で
あとは勝手気ままに庭で遊ぶが好きだからです。



2000.6.22


そんなある日、お昼ごはんをたらふく食べそしてお庭に出してもらい
ウンチをたくさんしそして思いっきり跳ね回り
疲れて果てたオラは、お昼寝タイムしたわけです。
たっぷりと寝て、そんでウツラ ウツラとして目が覚める頃
襖の向こうからカタカタと音がしてきたんだな。
なんの音かなとオラは、そのふすまの隙間からのぞいて見たんだ。
そしたらヒゲのおやじがパソコンに向かってメールを打っていた音だったんだな。
オラはちょいと背伸びをし、それを覗いて盗み読みしたんだ。



2001.6.27









タダシさま
(おらがこのいえにくることになったキーマンだ)
説明不足で申し訳ございません。
(いつものことだろ)
なにせかわいいワンチャンが来たもので
(それって、おらのことか)
オラを含め家中が浮き足立っておるしだいです。
そうだろ、そうだろ)

タダシさんから連絡先を教えてもらった後
すぐにアポをとり
即、ブリーダーさんの家に行ってみました。
(おらのじっかだ)
サッソク、4匹の小犬たちと、お見合いになりました。
(ねえちゃんたちだ)
一匹オラになつく子犬がいましたが、ひっくり返したらメスでした。

うちのだいちゃんの希望はオスだったので、ママさんに「おすは?」
と聞いたところ
全部予約済みとのこと。
(オイオイおらがいるでね〜の)
でもオラは諦めきれず、ちょっと抵抗を試みたところ
「居るにはいるけど」という
返事が返ってきました。
(なにしぶってんの)
じゃあそれをということで無理を言って連れて来てもらいました。
それを見た瞬間オラは、「ちっさい」の一言が出てしまいました。
(しつれいなやっちゃ!)
ママさんが渋った理由が一目見てわかったのです。

ママさんの話では、この子だけが逆子で
半死状態で生まれてきたのだそうです。
(そうだったのか)
でも何とか息を吹き返したそうですが
それからが大変で全然食欲がなく

他の小犬たちにドンドン差を付けられるばかりで
今じゃふたまわりほどの
差になったのだそうです。
それに逆子状態の時無理に引っ張ったもんだから 
ちょっとガニマタチャンなんです。 
(かんべんしちくれよ)
獣医さんの見立ててはナンモ心配いらんとの
お墨付きを
もらったとは言ってましたが。
(ほんとうだろうな)

まあ早い話が、はじき犬ってやつですか。
(そこまでいうか)
じゃあ何でそんな犬を選んだかって。
(ん、それをきいてみたいもんじゃわ)

それは、立派なうんこをタレタから
(そんなりゆうか、ガックシ)
それと、他の小犬たちより小さいくせに
人?一倍やんちゃ坊主だったからです

でも決定的理由は、前の晩に何故か犬を買いに行く夢を見ました。
ペット屋さんで「これラストとの一匹です」と見せられた子犬に
なんとなく似ていたような気がしたからです。

オラは神を信じない方なのですが
自分の直感は大事にするし信じる事にしてるんです

すると他の人に(神)に冒涜を吐かなくて済むからです。
自己責任ってやつですか。
(あんたはエライ)
釣りから学びました
(なんだ、ちゃんとオチがあるのね)
まあぁ、これで幾多の失敗をしたことか。
(そうだろ、ソウダロ)
でも人を恨まないというか恨めない自分が居るわけで気が楽です。

ということで、ママさんに「本当にこの子でいいんですね」と
念を押されたわけです。

そうしたら、奥の方で女の子の声がしました。
(かわいがってくれた、このうちのおねえさんだ)
「エ〜、売れちゃったの」ちょっと寂しそうな声でした。
(おらもだ)
オラは感じました、この子犬ちゃんには、「愛」があると。
(そ、そかな〜)
てな訳で即決めの即買いです。
(よっ!シャチョー)
お互いに気持ちが変わらないうちにね。

予算が余ったので、デジカメも買っちゃいました。
これもまたタイミングがよくて、ほとんどの店で予約待ちが
2週間が
当たり前の一番人気のやつ。 
引き幅もそんなに無く、しょっぱいデジカメではあります。
それがカメラ屋さんのフェアーにうまく合っちゃって
即手に入ったわけですが

価格もネットで買うよりも安く手に入ったというラッキーさ。
これってラッキー犬かなと思っちゃいました。
(そのとおりだ!)

てな訳で「しょうちゃん」が来てから
みんなハピーな状態の菊池家です。

オラだけそう思っているのかもしれません。
(そんなこたぁ〜ない)

てなウダウダ話を、タダシさんに送るメールに打ち込んでいた、ひげのおじさんです。
ソッカ〜、オネェちゃんたちと別れるのは嫌だけど
オラはこのうちに来るべくして来たんだなと思った。
ジャア目一杯暴れてやっか!






       
2001.6.29



「しょうちゃん」のおふくろは、肝っ玉「オリーブ」母さん。




うわさのタダシさんちの「シェリーちゃん」は
ヒゲのおじさんがひとめぼれした、きれいなお姉さんです。


シェリーちゃんのお友達サキちゃんは、テリトリーのママのお気に入り。


隣に住んでいるスペンサーは、おらと同じくらいの大きさなんだけど
じつは仙人?仙犬だ。
年は当年とって134万と15才だ。







また今日もカタカタと襖の奥から音がしてきた。
またヒゲのおじさんがメールを打っている音だ。
ドレ、またふすまの隙間から盗み読みでもすっか。



脚の長いリッチーとブリタニースパニエルのソレイユ

菊池さま
フラットは凄くパワフルで暴れん坊ですよ。
水が大好きで川に入ったら出てこないし
水の音を聞いただけで興奮してきます。
今年の夏に訓練の競技会に出る予定で只今訓練中です。
本当は鴨の回収の為に飼ったのだけど、何か違う方向へ(-_-;)


という、ヒゲのおやじの遠くにいるアユ釣り仲間
ナカノさんからのメールみたいだな。
リッチーとかいう名前のフラッティーを飼っているとかいないとか。
そうか、オラのトーイ親戚は、川の中で暴れまっくているんだな。
オラは雨の日は好きだ、モチロン晴れの日も好きだけど。



ナカノサマ
しょうちゃんは、家の中にいるのが大嫌いなみたいです。
なんでかっていうと、朝方うるさく何時までも鳴き騒ぐんです。
なもんですから、どうしようものかと考えた末
試しに外につないでおいたら、ぴたりと泣くのを止めました。
普通なら家の中に入りたくて泣くんですがね〜。
あばれん坊になる兆候ですかね。
という訳で、土まみれの野犬ヤンキー予備軍です。

っていうREメールを打っているところだった。
おらは四方八方囲まれた部屋にいるより
おもての草むらの中で、腹ばいになったり
仰向けになったりするのが大好きだ。
あと、おばあちゃんが大事に育てている植木や花の葉っぱを
かじってみたり、引っ張ったりするのも、だ〜いすきだ。
外は気持ち良いよ〜、思わずウンチをしたくなる気分の良さだもんな。
オラはもう家の中には入りたくないと思っているんだ。
















オラの店によく来てくれている、タダシさんちは
筋金入りの由緒正しき猫屋敷なそうだ。
そんな彼が突然「今度犬を飼う事にしたんだ」と
オラに宣言するように高らかに言った。
エ〜!家中が猫一色なところでだいじょうぶなの」と
オラは聞き返した。

タダシさんは 「家中のみんなに大反対された」と
ちょっと沈んだ声で悲しそうに語った。
ちょっと間が持ちそうもない暗い雰囲気になったので
「で、どんな種類の犬」とオラ、場を取り直すように聞き返した。
したら、「フラットコーテッド レトリバーだ」と、なんか誇らしげに答えた。
なんだそりゃ、ゴールデンレトリバーなら知ってるけど
フラット×●▽◎?「それって、どんな犬」と聞き返した。
ちょっと見はゴールデンリトリバーの黒いやつなんだけど
実はまったく違う犬種でどちらか言うと、毛の黒い
セッターって感じかな」というような事を説明してくれた。


オラはそんな、タダシさんの犬を飼う話を聞きながら
その昔、そうだな〜10年位前になるかな
エアーデルテリアのスターシャを飼っていた事を
思い出していたのだった。 

  

オラの釣り友達に、ニシケンと呼ばれている、生活そのものが
アウトドア-ライフしている釣りキチがいる。
その昔、彼の家では狩猟の必需犬として親兄弟4人で
犬を5頭飼っていたのだった。

まず一頭目は、えらく野性味たっぷりなポインター。
これは沢くだりするヤマドリを撃ち取り、回収するための犬だと言っていた。
ちなみにこのヤマドリの沢くだりのときのMAXスピードは
100キロを超えるそうで、それを撃ち命中すると
そのままのスピードで藪の中に消えていくそうです。
そういう獲物を確実に回収するための犬種だそうで
この猟でまともに使える追跡回収犬は
そうざらにはいないとニシケンはオラにエバッて話していた。

で、ここんちのポインターは撃ち手の腕前を見て
上手い奴にはとびっきりの動きを見せるのだが
下手な奴だと小バカにし、ゼンゼン働きもせずに
草むらの陰で休んでいるようなエラソーな犬だと言っていた。

ここの甲斐犬は、とにかくうるさいというか警戒心が強い。
もちろん熊撃ちに使うといっていた。
この甲斐犬は家族のみんなにも慣れなくて、大変危険な犬なそうだ。
そんな甲斐犬は一番上のお兄さんだけが扱える、たいした代物なそうだ。

あとは小さいが由々しき血統の猟犬
ヤクトなんとかかんとかで犬種名は忘れたが、どうやらテリア系ではあるようだった。
こいつはいつ何時でも、キャンキャンとうるさく吠えている奴で
とてもいい血統の犬とは思えんかったな。
ニシケンの話ではアナグマ取りの名人になるはずだったとか、ならなかったとか。

そして最後に控えしはエアーデルテリアのオスとメス。
猪獲りに使う犬だとか言っていたけど
もちろん岩手県にはそんなのはいない。

この犬は、ニシケン家から、ひと山越えた所にある松草部落の知り合いが
飼っていたのを見ていて、その頭の良い働きぶりに一番上の兄貴がたいそう惚れ込み
飼ったのだそうだが、うちのエアーデルテリアは
そこのエアーデルテリアとは、とても似ても似つかない駄犬だと言っていた。

そのひと山越えた松草部落で飼っていた、出来の良いエアーデルテリアの
話を聞いて、オラも無性にこの犬種をかってみたくなったのだ。
で、ニシケンに教えてもらったエアーデルテリアに詳しい警察犬訓練所
(なんたってこの犬種はポリスドッグ認定なのだ)
に行って「出もののエアーデルテリアの子犬がいたらお世話下さい」
と所長に頼んだが「あてにしないで、気長にまってね」と言われた。
1週間もしないうちに「わけアリの若犬がいるんだけど」という連絡が入った。
そんなウレシイ話にオラは即乗ったわけ。

東京から連れて来られたエアーデルテリアのメスの若犬は
とにかくはねる犬で、ご対面一発目からなでようと顔を近ずけた
オラに強烈なアッパーカット。
それをまともに食らったオラは思わず気を失いそうになった。
訓練士さんの話では、東京から連れて来る車中は大変だったとのことで
「果たして素人が無事に飼えるのだろうか」みたいな話をしていた。
つまり「訓練に出したほうが良いんじゃないの」と暗に言っていたが
オラ色の犬に仕立ててやろうと意気込んでいたので
その話は軽く流すことにした。
後々この言葉が分かってくるのだが..................。



さて彼女との楽しいはずの生活が、いよいよほじまるのだが
これまたいろんなことがあり過ぎて何から書こうかと迷うばかりである。
とりあえず、カッコいい犬なので名前もカッコ良いのと考えたが
いい名前が浮かばず、血統書についている名前をそのまま使うことにした。
ナントカカントカ、アナスターシャと、長ったらしい名前が付いていたのだけど
最後の名前を取って、なおかつ短縮して「スターシャ」と呼ぶことになった。
こちらの気分がいいときは、そのまま「スターシャ」で呼ぶのだが
わがままな態度にブチッと切れたオラは「スタッ!」の一言だ。

まず彼女はこらえ性がない。
20分ほどの短い時間の訓練でも、すぐに飽きてしまって
ハシャギ走りするか壊れてしまって動かなくなるかのどちらかである。
ここでこっぴどく怒るとクルッと向きを変え
さっさと家に帰ってしまう。
つまりオラの思うようには簡単にならない、たいした「わがまま娘」って事。
はっきり言って「あんたが大将!」

川原で遊ばせるとき、たまにポインターの「オイ」っていう雄犬に
出会うのですが、この雄犬が嫌がるのを無視して
オイの顔に前足でフックだのジャブを繰り出す。
しまいにゃ、その雄犬にのっかて腰を振る。
おいおい違うだろと!と思っちゃうオラ。
そりゃもう「オイ」の飼い主は眼がテン。

オラの甥っ子にもこれをやって、この年の年賀状に
「スターシャのバカ」って鉛筆で書いて
それを消しゴムで消した跡が読み取れて、思わず笑ったな〜、な!「たく」。



とにかく拾い食いが激しい。
腐ったリンゴなんかは可愛いほうで、腐ったコウモリを
自慢げにくわえて持ってきたときは、呆れてしまった。
一番すごい拾い食いは、その当時中津川の川原に岩手大学の馬術部が
たまに散歩に来ていたのだが、その馬の糞をむしゃむしゃと
食ったのにはブッタマゲタ。
口の周り、歯茎には馬の糞がべったりでオラはゲロゲロです。
心配になり行き付けの獣医さんに家に帰って即電話したら
獣医さん曰く「馬の糞は犬の大好物」と教えられた。
マタマタびっくり。
ア、そうそう、干からびた猫のミイラってのもあったな。

 

生猫なんか川原で見つけようものなら、猪突猛ダッシュの
目に止まらぬ素早い動きで生猫を即座に押さえ込む。
それまでなら笑って見てられるけど、猫の首っ玉をがぶりと
銜え込んだままガックンガックンと振り回す殺猫動作に入ったとき
オラは慌てて飛んで行きスターシャの横っ腹に蹴りを入れて
ドクターストップ。
そんなスターシャ、親の仇のように暴れまくったおかげで
川原に猫が見当たらなくなった。

そういえば、ニシケンちのエアーデル2頭は、夜放し飼いにしてて
朝起きて犬小屋を見たら凶暴なアナグマを仕留めて持ち帰ってきてたそう。

あの第2次世界大戦のイギリス提督チャーチルが
ピューマ狩りに使う犬としてもエアーデルは有名なそう。

とにかく暴れ放題の野性味たっぷりの犬だった。
でも可愛いアーモンド型のあの目で見つめられ
頭をちょこなんと傾げる仕草を見たら、なんでも許してしまうオラ。

先ほどの獣医さんだが、彼の指は一本無い。
スターシャを耳真菌症の治療で連れて行ったときのこと
オラのスターシャを見たとたん
「サルグツワしましょうね」と言った。
なんでも、インターンしてる時に
エアーデルテリアに指を食いちぎられたそうです。

親友のツトムが飼っているエアーデルテリアのクリフも
スターシャと似たようなもんだと言っていた。
という話をペットアクセサリーショップのテリトリーの
ママさんに話したら「そんなにエアーデルの悪口言わないで」と怒られた。
ちなみにママさんちのエアーデルテリアのサキちゃんはおりこうさんなそうです。
そういう意味で言ったんじゃないんだけどな〜。
そのくらいワイルドでオリジナリティーあふれる犬だと
言いたかっただけなのに。
今回犬を飼うにしても、一応はアホーなエアーデルもと
ちょっとは考えていたのですから..........




 

で、その前に飼ってたのが、スピッツと柴犬の雑種「ごん」
(そういえばスピッツって、見かけなくなったな〜)
彼の最後はオラが手を下したので、とても悲しい思いが残っている。
フィラリアに徹底的にやられた「ごん」は、肝不全と腎不全を起こし
獣医さんもお手上げ状態。
あまりにも苦しそうなので、安楽死を選ぶことにしたのだったが
その運び役がオラで、最後まで家で見届けてやった方がよいか
このまま薬殺して苦しみを取ってやった方が良いかと悩みつつ
ペット病院に連れて行く道すがら、やっぱりこのまま家に連れて帰ろうと
何回となく車を引き返えそうと思ったことか。
最後にお願いして帰るとき、背中越しに聞こえてきた「ごん」の
「置いてかないで」と言ってるような悲しい声は
30年ほど経った今でも耳の奥に残っている。




 

この前に飼っていた「ペス」は臆病者の小心犬です
雷が鳴ろうというもんなら、半狂乱で騒ぐ犬でした。
彼は老衰で天寿をまっとうしました。






この前が岩手またぎ犬の「エル」です。
この犬はオラがあまりにも小さい頃飼っていた犬なので
記憶があまり無いのですが、ひとつだけ鮮明に憶えてる事があるのだ。

「エル」がご飯を食べている最中、頭をなでようと
手を出した途端ガブリとかじられたオラ。
オラがまだ3歳とか4歳のちびだったので
エルは手加減をして噛んでくれたはずで
痛みは無かったのだが、オラは痛さからではなく
驚きから泣いたのを憶えている。
お母さんに「ご飯を食べているときに手を出しちゃだめ」
と言われたことを今も憶えている。

そんなエルは「ねこいらず」を間違って食べてしまい
気が狂るわんばかりに苦しんだそうで
父が思い余って撲殺したと聞いてます。
その後、父は相当落ち込んだらしい。
彼の亡骸は歴代の飼い犬の中で唯一我が家の
庭の片隅に葬られております。


てな事を次々と思い出していくオラでした。



フニャ〜















9月6日
タダシさま
シェリーちゃんは相変わらず良い子で元気してますか。
うちの「しょうちゃん」は、一日ごとに体が大きくなっていくのが
分かるくらいで脅威ではあります。
どのくらい大きくなっていくかというと、こうです。


あそんでやろっか

このあいだウチのかみさんのお父さんの1年忌で
三日ばかり家を空け北海道に行って来たんですが
家に帰ってきてビックリ「しょうちゃん」
顔が一回りデカクなっていました。
うるさい、ほっといてくれ。
肩のあたりも気持ち盛り上がり
ちょっとばかし逞しくなっていました。
たった3日でこんなんだから
いかに成長が早いかっていうことです。
よくまあ、水とドッグフードだけで大きくなるもんなと
感心してしまいます。
たまにはなんか、ほかのものもくいてぇ〜よ〜。
まだ「しょうちゃん」が4kgくらいの時
隣の「スッピー」のお姉さんがオラにアドバイスしてくれました。
「大型犬は小型犬に比べて大きくなる速度が速いので
小さい時の写真をいっぱい撮っていたほうがイイヨ」
と言っていたのが、今は分かるような気がします。

そんで今じゃ家に来たときの3倍、12kgにもなっちまいました。
「しょうちゃん」を繋いでいた脇の物干し台の支柱も倒す勢いに
なってきて危ないので、物干し台の大移動もしたくらいです。
おまえもたおしたろか

  
溺死寸前5秒前

8月の始めに中津川に連れ行き、「泳がせ初め」
でもしようとオラは突然思いつきました。
ちょっとばかし川が深くなった所を選び
少しばかし不安でしたけど、だましだまし誘導し川に突っ込んでみました。
オイオイ、やめちくれぇ〜
そしたら「しょうちゃん」は沈したまま
川底を潜水艦になってしまい、底に張り付いたままもがいていました。
おもわずしぬかとおもった、ひとをころすきか。
予想外の状態にオラは青ざめてしまい
引き綱を慌てて引っ張り川底から「しょうちゃん」を
引っぱがしたというのは言うまでもありません。

そんな「しょうちゃん」も今じゃすっかり逞しくなり
流れのある川の深みに投げ込んだ、空き缶やら木っ端なんぞ
ちょっと躊躇しながらも果敢にもザッブン!と飛び込み
流れに逆らいながらも懸命に泳ぎ、投げた物をちゃんと
持って来るようになりました。
レトリバーの名に恥じないようこれからも
いっそう精進させようと思います。
しょうじんじゃなくあそびだろ、アソビ。

 

ラッコのしょうちゃん

話は変わり予防接種ですが
1回目は生まれて間もない時だったのでポリオだけのワクチンを打ち
2回目は7種混合のワクチンを打ち
来週には駄目押しの3回目のワクチンを打ちにいきます。
いてぇーのはやだよ〜
それが終わったらイヨイヨ御犬様の「社交界」に
デビューさせようかと思っております。
そんで、来る9月23日には保健所主催の「犬の躾け方教室」に行って
服従訓練の仕方なんか習ってこようかと思っていますが
あんまりきがのらないな〜
その前にシェリーちゃんと中津川の川原で一緒に遊んでもらい
厳しいお犬様社会のしきたりや掟なんぞ「しょうちゃん」に伝授して
いただきたいナと思っております。

それでは「宜しくお願いします」とシェリーちゃんにお伝えください。
ワ〜イ、おねえさんとデートだい


おばあ〜












2001,9,14     シェリー&しょうちゃん&タダシサン  

昨日はウチの「しょうちゃん」が粗相をかましまして、恥ずかしい限りです。
「飼い主に似たもんだ」ということで許してください。
あいじょうひょうげんぞなもし
あれから家にまっすぐに帰ったわけですが案の定、文化橋の上で「しょうちゃん」が
橋を渡るのは恐いよ〜と、壊れて動かなくなってしまいました。

くいモンがあったらわたってやるぞなもし

しょうがなく、来たときと同じようにオラが抱っこして橋を渡ったのですが
昨日、体重26キログラムのシェリーちゃんを抱き上げてみて「コリャ思ったより重い
オラの腰には無理無理」というのが実感でした。
だから早く橋渡りに慣れさせないと、でかくなった「しょうちゃん」に
この先思いやられるなと思ったしだいです。



なんか用?

「しょうちゃん」の服従訓練をピッシッと決めよう
などと言っている場合じゃなく、これ以上大きくならないうちに
橋を恐がらないで渡れるように矯正しなくてはと、痛切に感じました。
何ででしょうね、しょうちゃん橋が怖いのは。

ウルサイほっとけ

デートも終わって家に帰った「しょうちゃん」は、心なしか疲れているようで
いつもよりパワーが落ちて、静かなもんでした。
なんたってはつデートできんちょうしたからな



シェリーちゃん初めて川に入るの図

シェリーちゃん、マタマタ大きく逞しくパワフルになってましたね〜。
尾っぽはフサフサとした毛になってカッコいいし
ほっそりとした顔は相変わらず美人ですね。
オラがフラッティーだったら、そくナンパもんです。

オラの「しょうちゃん」はオスだからメスより大きくなるんでしょうね
なんか恐ろしいね。
おおきくなって、おまえのことひっぱりまくってやるぞなもし
いただいた「大きな犬を楽しくしつける」という本は
オラが釣りに熱くなる感覚と同じく、桑原さんの大きな犬に対する情熱が
ほとばしる内容で、ちょっとオラには出来ないなって感じです。  

そうだろ、そうだろ

真似事くらいで、お茶を濁そうかなってオラはおもっちゃいました。
で、「いいかげんな服従訓練」ってのが、オラのこれからのConceptかな?
いいかげんって言うのは、デタラメのいいかげんじゃなく
良い加減のいいかげんです。

じゃなく、おまえがいいかげんだろ〜に

それではまた「懲りずにデートしてください」と
シェリーちゃんにお伝えください。
オラからもよろしくね、チュッ!
















2001,9.23  躾方教室

ついにイヤイヤ行ってきました。
オラ初体験、犬の訓練士さんによる「家庭犬のしつけ方教室」とやらに。

午後の1時から講習会受付だっちゅうのに、ひげのオヤジは悠々と
パソコンの前に座ってYAHOOのオークションページなんか開いてやんの。
1時15分も時計の針が回ったあたり、おばあちゃんがやって来て
「あら!まだ居たの、たしか1時からの講習会じゃなかったのかい」
と、ひげのオヤジに言いました。
ひげのオヤジは「ウオ!」とビックリしたような声を出し
「しょう!行くど。」とオラに怒鳴りました。
「オメ〜が脳天気にパソなんかやってるからだろ〜に、そんなに怒鳴るなよ」と
オラは思いっきり胸糞悪くなりました。

講習会とやらにはあまり気の乗らないオラですが
それ以上に自動車に乗る方がもっとです。
第一あのガソリン臭いのが嫌だし、もっと嫌いなのが
あの前後左右に体が揺られる車の中です。
生唾が出てくるしあげくの果てに、せっかく食べたごちそうを
戻したくなるからです。
そんな嫌がるオラに無理強いして、ひげのオヤジは自動車に
グイ、グイッと押し込むのです。
ん〜、やっぱ「ギモジワリィ」オラはゲロゲロ寸前です。

で、ようやく15分くらいで着いた所がマッハランドの会場。
早く車から降りたいオラに、またひげのオヤジが「待て」の命令。
「早くしちくれよ〜、オラは気持ちわりんだからよ〜」
ようやく降ろしてもらったら、今度はオラに「早く来い」と
命令するひげのオヤジ。
もう、自分勝手もはなはだしい
てめェ〜の遅刻のせいだろ、まったくもう。。。。

会場に着いたらなにやらスピーカーがガ鳴り立てておりました。
「加賀野からおいでのキクチさ〜ん、おられましたら
本部前の受付までいらしてくださ〜い」のアナウンス。
「おっ〜、はっずかしいぞー」と、オラは穴があったら
入りたい気分になっちまいました。

受付をすましたオラ達に、めがねのおじさんがよって来て
「肥満になりそうな犬にはコレ○○○○フード
シェイプアップされたボディーをつくります」だと。
失礼なやっちゃ、このオラの研ぎ澄まされたボディーを
見てから言え、このドキンめ。
でも、ひげのオヤジは喜んで二つも試供品を貰ってました。
ほんとにもう貧乏根性まるだしだね。
そんなオラ達の所に、とことこと近寄ってくる
お姉さんとシーズー犬がいました。
「あれから調子はいかがでしょうか」とひげのオジサンに話し掛けているも
おじさんは「はあ〜」ってかんじです。
そうしたら、お姉さんが「まさとドクターの、、」と言ったら
ひげのオジサンは、ようやく思い出したようで
「こんなお綺麗な人、誰かなと思いまして」とかなんとか言って
取り繕っていました、この〜ヌケサクめが。
シーズーのお姉さんからも、「これ良かったらどうぞ」と
チキン&ビーフの缶詰を貰っていました。
(ケチらないで早く食わせろよ!期待してっからナおやじ!)

今度は「フラッティー、何ヶ月ですか」と尋ねてくるお兄さんがいました。
ひげのオジサンが「そろそろ5ヶ月かな」と答えたら、お兄さんが「うちと同じですね
どちらから購入なされましたか」と聞かれ、ひげのオジサンは「駿河さんの所からです」
と答えたら、そのお兄さんが「じゃ、うちのアニーと兄弟だ」と答えるそばで
女の子が黒い子犬を引っ張って来ました。

「あっ!おねえちゃんだ」オラはあまりの懐かしさで飛び付きました。
3ヶ月ぶりの再開です。
うれしくてうれしくて、アニーおねえちゃんとジャレまくりました。
ひとしきりハシャギ遊んだところで、今度は別な女の子が「しょうちゃんでしょ」と
言いながら黒い子犬を引っ張って近づいてきました。
駿河さんちのオラが一番大好きなおねえちゃんです。
一緒にお姉ちゃんと付いて来たのがディジー姉ちゃんです。
オラは「ワオ!ワオ!ワオ!」です。


自慢の脚線美がディジーねえちゃん

これで姉妹三人揃い踏みです、もうオラは感激の雨嵐ですです。

そうこうしてる内に、「これから躾け方教室を始めますので
段の上にお集まりください」のアナウンスが鳴りました。
オラはここにいてお姉ちゃん達と遊んでいたいなと思いました。
だからちょっと抵抗したんだが、ひげのオジサンに
抱きかかえられてしまい壇上の人になっちまいました。

いよいよ躾け方教室の始まりです。
オラより行儀の悪い犬が多く、行儀のいいオラへのアドバイスは少々です。
訓練士さん曰く「いろんな所、たとえば町の中の雑踏とか
バイパスのような自動車の交通量が多い所などに連れて行き
あらゆる環境に慣れされる事をして下さい」だけの助言で終わり。

「たったコレだけかい」とひげのオジサンはボソボソつぶやいていました。
その脇で聞いていたオラも気が抜けてしまい
思わずオシッコをたれちまいました。

早々に壇上から降りたオラたちは、駿河さんの所に行き
「プチ懐かしの家族会」を開き盛り上がりました。
姉妹みんなで記念撮影をしたあと「今度オリーブ母さんを囲んで
12匹の兄弟が集まって家族会をしようね」と、おじさんたちの話がまとまり
ディジーお姉ちゃん、アニーお姉ちゃん達とお別れをしました。



駿河さんちのママと三姉妹















オットット

「セントバーナード犬」っていう名前は知ってるけど
本物は見た事はネ〜ずら。
大きい犬だと言う事ぐらいは、オラでも知ってるのら。
川原クラブに「オラ」がデビューしたての頃の話。

いきなり彼がオラの目の前に現れた時はビックリ。
T=REX が現れたと思っちまって、思わず腰を抜かしビビッちまったオラ。
腰を抜かしたままホフク前進して、彼に見つから無いように
様子をうかがったけど、背も高い彼に簡単に見つかってしまったオラ。
こうなったら覚悟を決め近づいて挨拶に行った。
オラは恐る恐る 名前は?って聞いた。
そしたら彼はモソッと一言「ジョニー、78キロだす。」
聞きもしない体重まで答え、最初で最後の太い声を出したゾ。


オリャアアア〜

それっきりジョニーは、オラがふざけて飛び掛ったりしても
ぴくりとも動かない。
そんじゃって感じで、kissしてみたんだけど
ぜ〜んぜん相手にしてくれな〜い。

チュッチュしゆ

無愛想でツマンネ〜奴ずら。
けど、ここでオラは思ったのら。
こんな大っきい奴と知り合いになってると
何かの時助けてもらえそうな気がするゾ。
後々の事も考えると、おべっかを使って
仲良くなっておいたほうがいいなと思った。

つい先日もパドとロッキーがオレンジボールの取り合いで
今まで見た事の無いような派手なけんかをはじめた。
それを遠くで見たジョニーさんは
おもむろに歩き出しパドとロッキーのけんか仲裁を
かってでて、この場を無事に納めた。
まるで世界中の紛争があればしゃしゃり出る
「自称、世界の警察」アメリカみたいなヤツだ
このけんかでパドは耳から血を出したくらいの大騒動ではあった。

そんなビッグでキングな「ジョニー様」


おべっか「しょうちゃん」

ところで、ここんちジョニー様の家では、昔々そのまた昔
ヒゲおやじが幼少のみぎり、オラくらいある馬鹿でかいフクロウを
飼っていて、少年ヒゲおやじはそのふくろう見たさに
よくジョニーんちの肉屋の店先に通っていたそうだ。


で、このふくろうのコロッケだが、いつも身じろぎもせず
目をつぶっていて、
たまに片目を開けるくらいの
つまんない鳥だったそうだが、少年ひげおやじは
じっと飽きもせずにフクロウを見ていたそうだ。

たまにココのおやじが、少年ヒゲおやじのために店の奥から
肉の切れ端を持ってきて、これ見よがしにコロッケに食べさせ
フクロウのお食事ショウを見せてくれたそうナ。
このふくろうコロッケ、この時ばかりは両目をまんまると開け
えらく興奮し、バタバタと羽を大げさにばたつかせ
とっても迫力ある演技?をしたそうだ。

これを見終わった少年ひげオヤジも興奮したまま
中の橋交番方面に向かうのである。
そこには「セキモリペット」があった。
お目当てはモモンガのピンクちゃんに会うためである。
夜行性のピンクちゃんは、めったに巣から出て来ない
出会い確率が悪いモモンガだが、たまに外に出て遊んでいる
ところなんか見た日にゃコロッケのお食事ショウなんか
つまんなくなるほど愛くるしかったそうだ。

もう一つのお目当ては、日本リスのゴン太とワタちゃんの
仲良し夫婦に会う為でもある。
こちらはピンクちゃんと違って、かごの中くるくる回ったり
上手にひまわりの種を食べたりと、とっても愛想のいい
つがいのリスだった。
いつかは絶対に、このゴン太とワタ夫妻を俺のモンに
してやるんだと、親たちを四六時中口説いていたそうだ。
そんなある日忽然と姿を消したゴン太とワタ夫妻。
店のおやじに尋ねると、「ワタちゃんが死んでしまったので
加賀野の倉庫に移した」って少年ヒゲおやじに言いました。
このままじゃゴン太にも会えなくなると危機感が迫った
少年ひげオヤジは父親に「ゴン太を買ってくれよ」と猛烈に懇願しまくって
とうとう息子の情熱にオレタ父に、ゲージごと買ってもらったそうです。

そいつらに一通り挨拶した少年ひげオヤジは、その店の並びにある
「ツグエダ電気店」で飼われていた九官鳥のキュウちゃんに
会いに行くのであった。

子供ゴコロに「なんて安易な名前を付けるんだろう」と思っていた
少年ひげオヤジは、このキュウちゃんを少しコバカにしていて
「バカ」「すけべ」「はげ」なんて言葉を教え込もうと頑張っていた。
そんなある日、ココのオババにその現場を見つかってしまい

「おめぇだナ!ワル言葉教えでだのは」と
首根っこを捕まえられ、エラクとっちめられたそうだ。

気分が乗ると、このまま東大通りへと繰り出す少年ヒゲおやじである。
その途中、岩手公園屋にある熊や孔雀、狸などがいるケモノ臭い檻には
全然興味がなく、ココを通り越して「お猿のいるはんや銀章堂」の
店先の狭いカゴに閉じ込められている猿に会いに行くのであった。

何が面白いって、ココのお猿さんはいつもチンチンをむきだして
いじくり回しているか、うんこを手掴みにして遊んでいる
下品さがたまらなく素敵な、おさるさんだった。
もちろん、そんなオサルさんに、お愛想なんかしてやんない
少年ヒゲおやじだった。

ここで気分が悪くなった少年は、「口直しに行くべが」と開運橋を渡って
駅方面に向かうのであった。
そこには、「まるかんペット」があった。
ココのお目当ては「伝書鳩」達である。

少年ヒゲおやじの友だち「ながさわくん」は伝書鳩キチガイで
確かお兄さんも一緒になって、ダブルはとキチガイになっていた。
そんな「ながさわくん」の鳩を見に、彼の家の屋根の上に作った
鳩小屋によく遊びに行っていて、「伝書鳩」の知識をいっぱい溜め込んだ
少年ヒゲおやじは、ココの店員に訳の分からない質問なんかして楽しんでいた。

ながさわくんちは、あんまりお金が無く(当時は貧乏が主流である)
一流のレース鳩なんか買えるはずも無く、五百円の駄鳩ばかり
イッパイ集めていた「ながさわくん」ではあった。

そんな彼は、いつも口癖のように「俺もレースに勝てるような
由々しき血統の鳩が欲しい」などと言っていたが
ある日「いい事アニキから聞いた」ってエラク興奮した口調で
少年ヒゲおやじに語った。
それは、日本縦断伝書鳩レースが終わって何日か経った後
はぐれたレース鳩が県庁の屋上の駄鳩に混じって何匹か
タムロってるっていう確かな情報だ。

善は急げで、さっそく昆虫網とマタイと鳩の餌を持って
少年ヒゲおやじとながさわくんは県庁の屋上へと向かった。
しかし県庁の入り口に差し掛かった所で、守衛のオッサンに
「網なんか持って入る所じゃネエ」と怒られてしまい
この計画は一気にしぼんでしまったのであった。

しかしどうしても一級のレースハトを、手に入れたいながさわくんは
アニキと相談して昆虫網をバラバラに分解し、腹の中に隠して
難なくこの難関を突破したそうです。
レースにはぐれた鳩は、しばらく餌を食べていないらしく
腹ペコペコ状態だったので、彼らの蒔いた餌にすぐに寄って来て
あっけなく捕獲されたそうです。
帰りのながさわくんは、隠した持った鳩で腹を膨らませた格好のまま
全速力で守衛の難関を駆け抜け、「うまくいった」ってオラに威張っていた。

ながさわくん曰く、この首尾よくゲットしたレースバトは
「安く見積もっても2万円はするゾ」って自慢していた。
だから、すぐには鳩舎から出さずに、ココにいる鳩たちに
完全に馴染むまで鳩小屋の奥にある小部屋に
大事に閉じ込めておいた、ながさわくんです。

しばらく経ち、ここの鳩達に馴染んだ頃を見はかって
五百円の駄鳩たちと一緒に鳩舎から出したそうです。
上手く500円鳩に混じって飛ぶ、2万円鳩に大変ご満悦だった長沢兄弟。
あくる日、鳩小屋から飛び出して電信柱のトランスにとまった2万円鳩君
ピューと地面にそのまま落ちて行ったそうです。
あわれ2万円鳩君、あっけなく感電墜落死してしまい
たいそうがっかりし、落ち込んでいた「ながさわくん」でした。

動物大好き少年ひげオヤジは、どうしても鳩だけは好きになれず
これだけはながさわくんに感化されずに飼わなかったそうです。
その代わり小学校の裏門に、たまにテキヤが陣取って売っていた
「ひよこ」には目が無く、その度に買っては育てるものの
すぐに死んじゃう「 ひ よ こ 」
凝り性も無く何回も買っては殺してしまっていたそうだ。

八幡さんのお祭りで売っていた「中ビナ」ってやつだけは
テキヤのおっさん曰く「絶対死なない!」という言葉に釣られ
ヒヨコの3倍の値段はしたが、ホイホイと買っちまった少年ヒゲおやじ。
やっぱりヒヨコより大きいいぶん、体温保持能力が高く死ななかったそうだ。

そんな中ビナのエイトマンくんは、いつも少年の後を付いてまわり
めっちゃ可愛いかったそうですが、中ビナっていうくらいですから
あっという間に親鳥になってしまい「ごげごっごー」と
始終うるさだけの雄鶏になったそうだ。

それに雄鶏だけに大変凶暴になって可愛さも無くなった
この雄鶏エイトマン君に愛情のかけらも無くなった少年ヒゲおやじ
父親と相談して食肉として処分する事にしました。
そこでお世話になったのが、ジョニーんちの肉屋さんです。
キレイすっかりと肉だけになった哀れエイトマンくんは
家族みんなのお腹の中に美味しく収まりました。




















オラにもわけろ

風をまといながら、ながーいシッポとなが〜いタテガミをなびかせ
川原を疾走しているフラットコーテッドレトリバーをはじめて見たとき
「オラも大きくなったらあんな風になれるのかな〜」と憧れてしまった。
そんなオラのアニキの名前は「寅次郎」って言うんだ。
寅アニキの小さいときは病弱で
よく獣医さんのお世話になっていたそうだ。
そんな事は今の寅アニキからは微塵も想像できない。
体は大きくたくましく、ボールの取り合いでも
競り勝つくらいの実力の持ち主である。
そんな寅アニキは川原の次期ボスの座をうかがっているらしい。


「勘弁しちくれよ〜」

そんな若頭の寅さんはオラに川原でのしきたりや掟なんかを
教えてくれる頼もしいアニキだが、そんな寅アニキでも怖い物はある。

それは寅アニキが悪ふざけが過ぎると
寅アニキのママがバッグから取り出すマルボロのカンカラ缶だ。
この中に何がはいっているのかは知らないが
ガラガラとやけにうるさい代物だ。
いちどカンカラ缶に張り付いてあるガムテープを剥がして
中を見てみたいと思っている。
うわさによると500円玉が入っているって言う話もある。
そのカンカラ缶をママがバッグから取り出すと
寅アニキは腰を落とし後ずさりしながらちぢこまってしまう。
オラはそんなカッコイイはずのアコガレの寅アニキに
ちょっと幻滅してしまうのである。
でもオラが言うのもなんだが、「可愛いやっちゃ!」とも思うのである。







シナボン




いちおう、名家のおうまれなんだそうだが、ヨダレをまき散らすバッチィ兄貴でやんす。
それに、リードを離したら最後、ボンママは必死で追いかけて見えなくなってしまうコマッタちゃんです。
そんな、す飛んでしまう鉄砲玉シナボン、はやくオラみたいにに大人になってね。


ヴァッシュ



「小汚い白色が、洗い立てのバスケットシューズみたいな色だから
バッシュっていうんだな」って、オヤジがバッシュママに言ったら
「発音が違うって、下唇を噛んで発音するVaですから」と
イエローカードを出されたオヤジ。
正確には「ヴァッシュ」と発音するそう〜だ。
そんなのどーでもいいけどさ。



そんなヴァッシュママは「卑弥呼の水渡り」とかなんとかブツブツ言いながら
寒い朝でも構わず、スニーカーを履いたまま向こう岸から
こちら岸にジャブジャブと渡ってくる、スペな母さんだ。



冬は冬で一晩で一メートル以上も積もった日。
誰もこんな日には川原に遊びに来ないんだろうな
と思って行ったら居ました。
バッシュは首まで埋まってる日でもです。
はっきり言って馬鹿です。

そんなバッシュママは「3バツ」だって、オヤジに得意げに喋ってました。
「そんなのヒトに言うことじゃないな、狂ってる」
とオヤジは申しておりました。
触らぬ神に祟なしの、バッシュ親子でっす。
でも,オラは好きです。
マウントさせてくれるからです。
あいらぶバッシュでやんす。





朝も早よから今日もエネルギッシュな声が川原にこだましてる。
なんたって通勤途中のオヤジやおばさんが思わず振り返るほどのバカデカさだからな。

聞くところによると、小さいころは同じくらいの男の子をバッタンバッタンと
なぎ倒したほどの天下無敵の相撲少女だったそう。
「今は山に行くのも終わったから、川原にこうしているんだけど
秋には試合が目白押しなんで、こんな事はしておれないワ」って言うもんだから
「女子プロレスにでも出られるんですか?」って聞いたら
ムッっとした顔で「失礼ね」って怒られてしまった
だって今でも十分通用しそうな格闘技系のお方だと思ったんだよ。
あッ、これはルルママのお話でした。



川原のルルちゃんはそんなママとは対照的なオットリとした何事にも慌ず
川の流れの中で泳いでいても、オラみたいにバシャつかずマルデ浮かんでいるかのような
優雅な泳ぎを披露してくれる、おしとやかな美人さんです。
ルルママは「こんなにデブじゃいけないからダイエットしようね」と言ってたが
オラ的には巨乳系の豊満ルルねえちゃんでいてほしい。











「ピアノの教師だ」って言っていたが、とてもそうは見えん。
いつも生きがいいから魚屋さんかと思ったぜ。
川原で会うたびにオラのことを「エイリアン」って言うんだ。
「なんでだ?」って聞いたら「ガリガリに痩せてマズルが長いから」だってよ。
そんな事でエイリアンなんて呼ぶナッ。

そんな朝から元気いい魚屋レイママにくらべレイねえちゃん
毒気をすっかりと抜かれちっまたのか、とてもおとなしい。
それをいいことにヒゲオヤジがソ〜と背後から忍び寄りホルスタインレイちゃんの
お尻をナデナデしたら「キャイ−−−−ンッ」と叫ばれてしまい
思いっきりレイままのサングラス越しのスンゴイ目で睨まれていた。



そんな気の弱いレイちゃんだが、何かのタイミングでスイッチが
入っちゃうとオラの事を突然噛みまくる
「まさかレイママも噛みまくるんじゃないんだろな」なんて
すがすがしい朝にピッタリの会話を楽しんでいる風な
レイママ、ルルママとヒゲオヤジ、これだからアブラぎった中年は嫌いだ。

ヒゲオヤジの野郎が「しょうはとめどなくクソばかりたれやがってウンコ製造機だ
いつも2キロはたれる」なんてぬかしやがって昼のご飯を抜きにしたんだ。
だからオラはマスマスガリガリのポキポキ。
エイリアンなんて呼ばれるのは嫌だから昼飯を復活さしちくれよ〜。
イイ子にスルからっ。









隣のアッコチャンちによく来てる、もぐチャンはオラより小さいけど
突撃部隊切り込み隊長です。
強肩もぐパパが、これでもかというくらい遠くへ投げるボールを
ほかの誰よりも早く先頭を切って弾丸のように追っていくのだ。
モチロンほかのミンナは、かないっこ

無いので追うのを諦めちゃいます。

そして弾んだボールを、見事に空中殺法でくわえ取る。
うわさによると、どうやらフリスビー犬らしい。
しかし今は、ママからのお達しでフリスビーの訓練はオアズケなそうだ。

もぐパパは、白鳥隊ダジャレ将軍です。
そのセンスの無い洒落は、冷え切った冬の川原を暖めてくれます。
だから駄洒落がなかなか出ない日は、みんな足踏みをして寒さをしのいでいます。

みんな今か今かと心待ちにしているダジャレだが、今日は不発だったかなと思う日でも
最後にはビシッと決めて帰っていきます。
もちろん、みんな思いっきりひっくり返っちゃいます。





きららチャンは、なかつがわレディース茶道部部長です。
その優雅な物腰は、立てばゴールデン 座ればレトリバー(当たり前じゃ)
歩く姿は綿の花ってくらいだから、色白の雪国の女です。
ヤッパリ飼い主に似て温厚なんですな。

違うっ!ってVママが青筋立てて言うけど、綺麗なお姉さんにはメッポウ弱いんだなオラは
ひげオヤジはプラス若い娘にも弱い。
でも、あいつはストライクゾ―ンがメッポウ広いからな。








ホタルちゃんは、グルミットシャンプールームのおじさんと一緒に
川原に来るワンちゃん軍団の中のオバさんのひとりです。

オレンジのダンベルをくわえ持ってきて「一緒に遊ぼう」と言ってくれる
まるで保母さんのように優しいオバさんです。
少しぐらいオラが悪さをしても全然怒りません。

でもホタルおばさんは嬉しいはずの散歩なのに、ほんの少し寂しそうです。
なんでかな〜
やめとこ、他人のプライバシイーに踏み込むのは。
オラにとっては優しい小母さんでいてくれるから。
そんなほたる小母さんとパードラとの間に可愛いィ子供達ができたよ。


長男のへいぞうくん









小次郎もオラと一緒に遊んでくれるチビッコの保父のおじちゃんです。
小次郎と言うくらいだから川原を走る姿は、鹿のように滞空時間が長い走りをします。
まるでエアウォークのマイケルジョーダンみたい。
おでこに「シュッマーク」を書いてあげてぇ〜な。

でもケンかをすれば、ひょっとしたら川原最強かもしれない。
チビッコだからといってナメタラアカンゼヨ、K−1小次郎。





ここが川原クラブ・グランド



○○ママは、とくに恐い。






よくマアアあんなでかい体で飛ぶもんだ。
しかし飛ぶ時くらいは「ギャワンギャワン」と叫ばないで欲しい。
ビックリするじゃないか。


 

こいつら、ミドリのウンコをそこらじゅうに垂れ流すのはやめて欲しい。
白いスニーカーが深緑色になったと、ひげオヤジが怒っているゾ。












しゃけみっけ

雨降りの間げきをぬって、ひげのオヤジサンが
久しぶりに山賀橋の川原に連れてってくれた。
オラはいつものように、川に飛び込もうと前足を水につけたとたん
すぐ目の前の水面がいきなり爆発した。


爆発しょうちゃん

水が爆発するとは思いもよらないオラは
1メートルくらい後ろに跳んでしりもちを着いてしまった。
後ろを見たら、ひげオヤジが大笑いしていた。
オラは照れ隠しにワンワンと吼えまくってやった。ムカツク!


生珍味

後から知ったんだが、90cmくらいはある大きなメスの鮭を
めぐって雄鮭3匹が争奪戦の真っ最中だったらしい。
(どうりで川に近づこうとした時ひげオヤジがニヤニヤしていたわけだ)
だから何も知らない「オラ」は川岸にノコノコと降りて行ったのだ。
クソ!教えてくれればいいのにクソオヤジ。

それから1週間たって川原に行ったら、そこいらじゅうで
お魚の熟成したいい香りがする。
その中の一番大きなやつを選んで思いっきり喰らいついて食べようとしたら
「こら!食べんな。」という大きな声が後ろからして来たんだなコレガ。
オラは無視して、お魚の頭にかぶりき3口くらい食べたところで
くそオヤジに捕まりこっぴどく怒られた。
「なんでだよう、こんなに美味いものを」と言ったが、相変わらず「おっかない顔」で
「臭くなるべ!」と説教を喰らってしまった。
オラは説教より白くとろけた鮭を喰いたいのによ。マッタクゥ

その日とは別の日にちょっと香りが違う魚を発見した。
この珍しい大きな魚を川から拾い上げクソオヤジに
自慢しに持っていった。
そしたらクソオヤジは、目をまるくしていた。
「どうだ凄いだろ」と、えばったらまたブツブツと文句を言い始めた。
オラはトサカが切れたので、口の周りをクソオヤジの服に
こすりつけてやったのら。
そしたらクソおやじ、やめりゃーいいのに
そのこすり付けてやった所に鼻を持っていった。
案の定、顔を思いっきりしかめて「くっせー!」とほえていたのら。
ザマーみんしゃい。

それから家に帰ってしばらくしたら、生臭いゲップが出た。
そして胸がムカムカして気持ち悪くなってきた。
思わずオラは庭の隅っこに行って、お昼ごはんを戻してしまった。
ひげオヤジは、そーらみたことかって顔をして、またブツブツと文句を言っていた。
それからなんだかずーっと気持ち悪くて悪くて
動く気力も出なく、丸くなってうずくまって寝た。
次の朝から下痢下痢ゲーリで、おなかの中は空っぽになってしまった。
けど、悪い物をみんな出したら元気が戻った。
回復力だけは早いんだなオレ様は。

こないだなんか、ひげのオヤジは長靴を履き熊の手を持って川に行き
浅瀬に打ち上げられている白い鮭を、み〜んな川の流れの中へ戻していた。
「アア、もったいね〜ナ]と思ってオヤジの足元でグルグルと回り抗議したら
リードがオヤジの足にからまり川の中に押し込まれるようにオラの上に転んできた。
オラとオヤジは、川の中でもがいた。
「キャッパリ」したオヤジに、また文句を言われたのはいうまでもない。
それからは、川原にあまり連れてってもらえなくなった。
こんなんだったら山に連れてけーっ、山へ!テカ。


on岩山展望台










さてさてクイズだよ〜ん。
それぞれの神社名を当ててみて。
全問正解に方には、おら「しょうちゃん」の手形と生写真をプレゼント。
そのお祝いでひげオヤジがワインをプレゼントだと言ってはいるが
実のところは、飲み相手が欲しいだけのようだ。

二日酔いでも、ちゃんと起きて散歩につれてけよ!
遅刻すんなよオヤジ。





まずはここから出発と行きますか。

 
@イチョウのじゅうたんと言えば





お次は簡単なとこだよ。

 
A巨大狛犬といえば?






 
Bオチャラケ狛犬と撫牛といえば?





   
Cもみじのじゅうたんがきれいな花楽軒のおきつねさんといえば?






 
Dクルミ幼稚園の狛犬といえば?




ここで、ボーナス♪

  
Eカワトクのショウインドーがヒント




Cこれが最後の問題、ノーヒントで答えられたあなたは「コマイヌ博士」


コマッタ顔のイヌ
ん〜、苦しいこじつけ、モグパパもびっくり。


ヒントはね、オラんちから歩いていけるとこばっかだよ。

ガンバッテネ〜







また車に乗せられた。
オラは「気持ち悪くなるから嫌だ」って、あれほどひげオヤジに言ってるのによ。
まったっくっ。
今度はどこへ連れて行くきだ。
と思ったら、あんがい近場ではないの。
ちょっとほっとしたオラです。
ひげオヤジに「ココはどこだって」って聞いたら、「綱取りダムだ」って言った。
どうりで真っ白い湖面に、短い竿を持ったオッちゃんたちが
ウロウロして糸を垂れ、やけにチンコイ魚を釣り上げていたわけだ。



ひげオヤジは車のリアハッチを開け、なにやら長い板切れと
ワッカの付いた凶悪な棒を出してきた。
ハハーン、朝っぱらから物置小屋でガサゴソやっていたのはこれだったんだな。

その板切れに足を乗っけて、凶悪な棒でバランスを取りながら
見ているオラのほうが「あぶねーナ」と思う滑りでグラグラと滑り始めた。

オラも凶悪な棒が欲しくなって、ひげオヤジに「2本も持ってんだから一本オラにもおくれよ」と
その凶悪な棒をくわえたら、ひげおやじは「コリャ」と言いながら
その棒でオラのトンガリ頭を「コツン」とたたきやがった。
ほんとケチなおやじだ。



それにしてもココの雪は歩きにくいな。
表面はカリンとしているんだが、体重を掛けるとズボズボと足がのめり込み抜けにくくなる
その点、ヒゲおやじの板切れは雪にのめり込まないで、スイスイとまでは行かないにしろ
軽快に進みやがんの。
オラはココで思った。
ハハ〜ン、ヒゲおやじの後を付いて行けば楽に歩けるなと。

楽チンになった勢いで、おやじの板切れにも乗ってみた。
やっぱリケチおやじ「しょう!乗るな、重くなるべ」と、ほざきやがった。
オラは無視して何回も乗ってやった、だって楽ナンダモーン。



途中、狐の足跡を追っかけてみたり、チョロチョロ流れる沢沿いで
ヤマドリの匂いを追っかけてみたり、カモシカのウンコもあったので
体中にこすり付けていたら、またヒゲおやじのだみ声が林にコダマした。
ホントつかれるオヤジだ。













一句「春うらら 結構冷たい 川の中」しょう。
って感じで、嫌になるほどヒゲおやじが川の中に投げ込むペットボトルを拾わされた午前10時。
水が大好きな犬だって言われているけど、そんなにムキなってやんなくても良かろうに。
そんな虐待ヒゲおやじは、水は水でもどうやら「オミズ」方面が好きらしい。

昼ごはんは沢山とまではいかない腹八分目、ウトウトっていうか爆睡モードに
はいってしまい、ぐっすりと寝ていた午後3時。
「茶、行くゾ」といきなりヒゲおやじのだみ声で起こされた。
気まぐれひげオヤジったら、いつもひとの都合も考えず突然主語無しの大声でで叫ぶ。
「なんだよう茶ぐらい一人で行けよう」と思ったが、逆らえないお使えの身。
赤茶目をこすりながらも、「しょうがねぇな、付いてってやろうか」ともったいぶってやった。

ひげオヤジは縁側の机の引き出しを開けて
よそ行き用の「茶色の首輪」をおもむろに出してきた。
「これはヤッタ!」とオラはパッチリと目が覚めた。
タフィー姐さんがいる喫茶店に行く時はいつも、この大事そうに出してくる首輪だもんなと納得。
オラもひげオヤジと同じで「げんきん」を背中にしょって生きている。
しっかりと大小便も済まし、準備万端抜かり無し。
ここで一句「町通りルンルン気分で急ぎ足」しょう。
ひげオヤジは「引っ張るな!」と後ろでオラに叫んでる、無視。

さて、そのサテンにつきガラス戸を開けると、コーヒーのいい香りとともに
ダブルママの「しょうちゃん、いらっしゃ〜い」のお出迎え。
その華やかな色っぽい声に、ぼくちゃんタジロイちゃうなもう。
でもこの店の看板娘タフィ子ちゃん、今日はご機嫌ナナメで
「わんわんわんワーン」なんかオネムの時間らしい。

「しょうちゃんはリンゴ食べるかな」とタフィ子パパが豪勢に四分の一個切ってくれた。
ひげオヤジの場合はリンゴの芯しかくれない、なんたるこの格差。
「しょうちゃんはイチゴ食べるかな」と今度はタフィ子ママ。
オラはイチゴなんて見たことも無い、でも美味かった。
「ミカンは食べるかな」続けざまに出してくるフットパラなタフィ子まま。
「じゃあ今度はお肉ね」と手作りササミジャーキーを出してきてくれた。
そして、おやつはワンちゃんのおせんべいだってさ。
じゃあ今までの食いモンはなんだったんだ。
「はい、お口が乾いたでしょう」とボール一杯のお水。
いたせりつくせりとはこの事だアア〜。

ヒゲおやじはというと、綺麗なお姉さんとなにやらお話をしている。
ホント困ったおやじっ!「危険な50前後オトコ」
フルーツも食い飽きた事だし「仕込みに間に合うのかヒゲおやじ」と帰りの催促。
無視するおやじ、3回ほど催促してようやっとの事で腰をあげた。
そしたら、タフィ子ママが「メロン食べる?しょうちゃん」と言った。
(ギャオゥまだご馳走が出てくるのか!?)



ずいぶん昔、目くそべっこキャべジンくらいの大きさのを
大ちゃんからもらったたような気がする。
だからメロンの記憶はほとんど無い。
が、確か美味しかったような気はした。
だからオラは「ワン」と元気よく返事をした。
タフィ子ママが厨房に引っ込んで出てきた時、手には大きなメロンが半分握られていた。
「このメロンはしょうちゃんにオミヤゲッ。」と言った。
家まで待ちきれないオラは「今オクレ」と熱い視線をママに送った。
したら横でヒゲおやじが、いらないチャチャを入れやがった。
「オオ、今時のメロンなら俺がくいてぇくらいだ」と。
「誰がヤルモンか」と言いながら、ママが持っていたメロンに速攻でかぶりついた。
これでオラのメロンに決まり!と権利が発生した。
「後はお家で食べなさいネ」と買い物袋に入れてくれたタフィ子ママ。

家まで大事にくわえて持って帰り、大ちゃんの見てる前で心ゆくまでメロンを堪能した。
ん〜今日はイイ日だった「しゅちにくりん」ゲップ!


欲しそうな目で見るんじゃねぇ、絶対にやんねぇからなッ。







今日の朝もいい天気、絶好の散歩日和だ。
早く起きてこねぇかな、ひげオヤジ。
オラは一晩中オシッコとウンコを我慢してんだからな。
もう極限に近くて震えが来てんだからな。

ようやく家の中から押入れに布団をたたみいれる音がしてきた。
でもこれからがなげぇからな、あのひげオヤジは。
さっさと来いよと思っていたら、めずらしく身支度を早く済ませて出て来やがった。
なんだか気が抜けんな今日は。

と思ったら、オヤジの車のドアーが大きく開いてオラッチ専用のシートが敷いてあった。
やっぱりなんかヤナ予感が的中した。

オラは無駄な抵抗だと分かっちゃいるけど、手と足を踏ん張り抵抗を試みた。
が、首の皮と腰の皮をガッツリと掴まれ持ち上げられてしまった。
「もうオラッチはガギじゃあねぇんだから、そんな持ち方はよしてくれよな」
憧れのルルちゃんに見られたら、あわせる顔がネエじゃねえか。
もうすぐで一才になるんだからな!、まったくぅ
と、猛抗議したが分かっちゃいねんだよなクソオヤジ。

車が走り出して横丁を抜けたあたりから、車の揺れも手伝って
オラの膀胱がチャップンチャップン言い始めた。
もう我慢が出来なくなって、車のシートの上に立って「下ろしてくれと」抗議したが
ヒゲオヤジに知らんぷりされちゃった。
こうなたらしょうがネエっていうか、勝手にションベンが漏れてしまったのだ。

慌てたオヤジ、車を急停車し血相を変えてオラを引きずり落としやがった。
「まったくショウったらよ ツッ 車の中でショベンたれやがって」って舌打ちしながら
シートの上にたまったショウベンをこぼさない様に車から出した。
「こんな時に限ってタオルがねんだよなッ」って言いながら後ろに積んであった
Tシャツを引っ張り出してきて、車のドアーに飛び散ったシッコを拭いていたヒゲオヤジ。
それをいい加減に拭き終わったクソオヤジは「そういや、朝の用事を済ませないで
車に乗せちまったもんな、失敗失敗」とブツブツと独り言を言っていた。
「ワカりゃ〜良いんだよ、わかりゃあ、もう」
そこら辺を一回りしてもらって、残りのシッコとウンチを無事に済ませた。

このまま車をUターンして家に帰るのかなと思ったら、そうでもないような道順。
こんどは胸元のあたりがムカムカして生唾も出てきて、気も悪ぅ〜くなってきた。
クゥイ〜ンと鳴いてやったら、オヤジは車を慌てて止めオラを下ろした。
さっきの教訓が生きていたようだ「学習能力が無いオヤジだと思っていたら
ケッコウ有るんだなこいつは」と思ったが、オラは気分が悪くてそれどころではない。

少し散歩して気分が少し良くなってきたら又、車に押し込められた。
こんなことを3回ばかしやったところで、なんか見た覚えのあるうちの前で車を止めたオヤジ。
具合が悪くて意識がモウロウとしていたが、懐かしい家の匂いをかんだら
目がバッチし覚めた、ついでに頭の中が明るくなって、胸のギロギロも
WANの声とともに抜けてしまった。


ディジーねえちゃんとオリーブかあちゃん

フェンスをくぐって懐かしい中庭に出たら、チッチャくなったおっかさんがいた。
その隣にはオラのねえちゃんディジーがいた。
ディジーねえちゃんはおっかさんより一回りほどデカクなってて
もちろんオラよりも大きい、さすが大ねえちゃんだコワイ(笑)。

そしたら、ここんちのお姉さんが出てきて「しょうちゃ〜ん、よく来たね〜」と
ニコニコしてオラを迎えてくれた。
ヒゲオヤジがオラを誘拐して一年たったが、しっかりオラを忘れないでいてくれた。

半死状態で生まれた時から体が弱かったらしいオラを目いっぱい面倒を見てくれた
命の恩人でもあるんだぜ、お姉さんは。
だからオラは腰が抜けるほど尻尾を振って「会いたかったワン」と言った。


おらのだいすきなお姉さんだよ

ここんちのパパもママも出てきて、み〜んなで遊んだ。
ひげオヤジはと見ると、なんか言いたそうにしていた。
「まさか!車の中でオシッコたれたなんていうんじゃねえだろうな」
おっかさんもいるし、ねえちゃんもいるし、なんたってお姉さんがいるんだからな
たのむヨ〜それだけは勘弁してよ」って言ったら、ヒゲオヤジは
なんやらニヤニヤして鼻ひげををピクピクっとさせた、やなやつ!




かあちゃん、でぃじーねえちゃん、おら

ヒゲオヤジが「もうすぐで生まれて最初の誕生日がやってくるね」って
しょうちゃんのお兄ちゃんアルのママと先日お話してたら、話の勢いから
「地元にいる連中で集まって誕生会をやりましょうよ」って事になったんですよ。
なもんでオリーブ母さんとディジーねえちゃんも絶対来て下さいな。
なんて話をしていたヒゲオヤジとオリーブまま。
ついでに中津川の川原に集まって、川の中に入れないアルちゃん達の
水辺の特訓練習もしましょうって事になったみたいだ。
そうなると泳ぎの得意な俺様の出番だなとも思った。




なつかしのなかにわでまったりのおら











左から友情出演の白いヴァシュさんと寅兄い、アニーねえちゃん、ディジーねえちゃん
どこ見てんのおらと、陰に隠れてしまったアルにいちゃん、ヴィヴィねちゃんにオリーブかあさん。


真っ黒い犬がこんなにいっぱい集まるとブッキーではあるよなって言っていたVママ。
このあと今は亡きロッキーおじさんも加わった。



本日の出し物、川の泳ぎ方模範演技の寅さん。


腹ヘラシ姉妹オスワリ

5月11日土曜日午前9時、小雨の降る肌寒い中集まったオリーブ組
全員は集まれなかったけど、楽しいお集まり会だったよ。
YMCA=KOZOがいなきゃもっと暴れられて面白かったろうにナ
と、追っ払いの呪いを掛てくれたVママであったが黄魔術は通じなかった川原であった。
至極残念無念。






ヒゲオヤジが楽しそうにオラの所にやってきて言った。
「今日は山の別荘に連れてってやるぞ」と。
オイオイそんな贅沢なもの、いつの間に持ってたんだ?
そんなだったらもっと美味しい食い物食わしてくれヨと心の中で言った。
おっとチョイ待てよ山に連れてってやるって、まさか車で行くんじゃないだろうな
「オラはやだからな」と言ったが聞こえない振りをしていたヒゲオヤジ。

車の所まで嫌々しょっぴかれて行ったら、いつもと違う後のドアーが開いていた。
チョイと覗くと奥には、だいちゃんがニコニコして手招きしていた。
でもそんな手にはヤスヤスとのるオラではないのだ。
と思った瞬間、ヒゲオヤジに首の皮と尻の皮をつかまれ
だいちゃんの脇に、ほおり込まれてしまった。
いつもながら乱暴なオヤジだ。
山の別荘とやらに行く車の中では、だいちゃんとフザケッコして遊んでいたら
気分悪くなりゲロッパする暇もなく、あっという間に山の別荘についてしまった。
オヤジが「な〜んだ、しょうちゃんはだいちゃんと一緒に乗っていれば
具合悪くならずに済むのかぁ」と拍子抜けたような事を独り言のように言っていた。

車から降りると、白樺林の間から黒い生き物が見え隠れしていた。
ヨーク見ると、それはシェリー姉ちゃんだった。
ソッカ、山の別荘ってタダシさんのもんだったのか、納得。
ひんやりとした木立の中にある別荘の中に勝手にスタスタと入って遊んでも
ヒゲ親父の家みたいに怒られない。
だからうれしくてシェリーちゃんと家の中に入ったりでたりして遊んだ。
モチロンだいちゃんも一緒になって三匹でダンゴになって遊ん
だ。



ヒゲ親父はどこに行ったのかと探しに奥の離れの部屋に行ってみたら
タダシさんと缶焼酎を開けて音楽談義に花を咲かせている真っ最中だった。
オイオイ、帰りの運転そんなんで大丈夫かと思い「イイカゲンにしとけよ」と
ワンと吠えたが知らない振りをしてグビグビといっているヒゲオヤジ。




チョットそこら辺、キノコの生えそうな所を探しながら酒気抜きがてら散歩でもするかと
二匹プラス大小三匹で散歩することにした。
散々遊んでチョット疲れ、ヒゲ親父もアルコールが抜けた顔になった所で
下界の家へ帰る事にした。

それから三日後またまたオヤジの小汚い車に乗せられた。
でも、だいちゃんが後ろの席に乗っていたので安心してオラも乗った。
今日は朝からヒゲオヤジの、めったに着信音が鳴らないので寂しいケイタイが
派手にピコピコと鳴っている。
何かあったんだろうか。
でも掛かってくる携帯電話の内容はよく分からないが、その度にヒゲオヤジは
「あ〜そーですか、とっても残念です。」と返事をしていた。

お昼過ぎになってもケイタイは鳴っているが、でもそれを聞いていると
なんだか楽しいそうな内容の電話じゃないようだった。

でも、きっと楽しいことが待ってるんじゃないかな〜と思いつつ
だいちゃんとフザケッコしながらドライブに出かけた。
ついた先は盛岡インターの出口、ナンデカナ〜
さっそく車から降ろしてもらい、一発シャーとやらかしてやった。
まもなく銀色の自動車が寄って来てオヤジも寄って行った。
中にはオラと同じかっこうした黒い犬が乗っていた。
「ブロンコママお初です」とか何とか言って、オヤジはニヤケタ顔して
ふらつく腰つきでペコペコしていた。
オヤジったら、若い女の人には、やけに愛想がいい。
「商売もその調子でやれよ!」と言ったが、タブン聞いちゃいねェ〜んだろうな。

また車に乗せられた。
なんか広い所に連れってくれるそうだ。しばらく行った所で
「ありゃ!」とか言って、信号のある交差点でユーターンしてやがんの
ほんとにオヤジッたら可愛い女の人に会ったもんだから、舞上ってんだナ
しっかりしちくれよホントにもう。

ブロンコくん

川原に着いたが先客がいて下の広い川原で焼肉していたもんで
下にはには降りられず、上のチョット狭い広場で遊ぶことになった。

千葉からわざわざたずねて来てくれたブロンコくんはオラと3日しか変わらない誕生日で
オラの方がお兄ちゃんなはずなんだが、なんだかオラより立派でカッコいいスタイルしている。
きっと美味しい食べ物た〜くさんもらってるんだろうな。
それに引き換えオラなんか激安セール販売のニコちゃんマークの
カラカラと鳴るドッグフードだけだから、ガラガラだ。
たまにはビッグマックをタラフク喰ってみて〜ナというのがオラの今んとこの夢だ。

こないだ部屋中をシンナー臭くして、オヤジにしては珍しく一心不乱になってナンカ作っていた。
その黒い犬の置物を取り出しブロンコママにあげていたが、あんなもん貰った方が迷惑だっちゅーの。
そんなオヤジはブロンコママからおみやげを沢山貰っていた。
おいおい!オラにって貰ったモンはネコババしないでちゃんとよこせよ。

ころもちゃ〜ん

ひとしきり遊んだところで車の中を覗くと、まんまるい大きな目をした可愛いウサぴょんがいた。
名前はって聞いたら名前は「グレートジャーニーころも」って言った。
そんなころもちゃんとブロンコくんとで一緒に川原で遊び走り回りたかったな〜。
しばらくしてブロンコ一家は「安比に行きま〜す」と言って別れる事になった。

な〜んだ、さっきまでうるさく鳴っていたケイタイは、川原の皆さん「行けないよ〜」って
電話だったんだな、「みんなでダンゴになって遊びたかったな」、、、、、、、、、。









なんだか一週間くらい前から、ヒゲ親父の家族が家から出たり入ったりして
オラの縄張りにある小屋に段ボール箱を一生懸命詰め込んでいる。
オバアまでも腰が痛いって日頃から言ってるくせに、やけに張り切って
詰め物やらなんやらを運び込んでいる。

ヒゲオヤジはといえば嫁さんより大事な釣り竿の束を慎重に運んでいるし
それに世界一小さい豪華客船「タイタニック号」まで隣の家の軒下に運び入れている。
なにが始まったのかな〜。

それから一週間後、家の中がガランと殺風景になったと思ったら
いつも聞こえてくるはずのダイちゃんの笑い声やカアチャンの怒鳴り声が
パタッと聞こえなくなったし、ヒゲオヤジのヘタクソな歌も聞こえてこない。
ましてやオバアは庭に出てこないし「どないなってんだろ?」って思った。
それ以上にオラは心細くなっちゃってヒンヒンと泣いてオヤジを呼んだが
だ〜れもでてきやしない。
これって置いてけぼりっていうか、置き去りなんじゃないかと思ったら急に悲しくなってきた。
朝と夕方にヒゲ親父が来てご飯をくれたが、オラは昨日の晩からお腹がキリキリ痛くなってしまい
あれほど好きだったぺコちゃんマークのカラカラご飯も全然喰う気がしなくなっちゃた。
それよりも、オラがご飯を食べている間にオヤジがコッソリ帰っちゃうので
そっちの方が気になって気になって仕方がない。



今日は得体の知れないおじさん達がやってきて、ガキン!ガキン!ドカーン!!なんて
派手な音たてやがって、ヒゲオヤジ達が住んでいた木と紙と土で出来た
築七十七年の家を引っぺがし壊し始めた。

ますますオラは不安になってきて、下痢が止まらなくなってきた。

次の日オヤジが「しょう、ドライブだぞ」と言って二日酔いの臭い息をオラに吹きかけた、オエッ。
久しぶりに車に乗った。
あれほど嫌いだった車の中も結構今では良いもんだなと思った。
ついた先が、オヤジの親友ツーの家だった。
ツーおじさんには何回か会ってるので、お愛想で尾っぽを振ってやった。
そしたらヒゲオヤジが言った。
「今日から4ヶ月ツーんちでホームステイだぞ、うんと暴れてやれや」とか言い残して
車でサッサと帰ってしまいやがんの、薄情なやつ。

それにしても、ここん家はとっても居心地いい。
なんたって玄関と言えども、お家の中に入れてもらって寝る事が出来るし
あゆちっくなお姉ちゃんやら、HIPHOP兄ちゃんやらが、次から次からと4人も
出てきては頭をなでてくれるし、メシよりも大好きな散歩に連れまわしてくれたりして
チョット疲れるがXIP待遇でとっても楽しいのではあるな〜。

それにしてもヒゲオヤジは会いに来てくれないナ。
ソーイヤこないだ「何とかテリアを飼いたいな〜」なんて言っていたから
オラを見捨てて、天然パーマの可愛い子、マサカ飼ってんじゃないんだろうな。
まあ、それはそれでいっか、ここん家のほうが居心地が良いからな、っと。


ヒゲオヤジ、オラを置いてどこいっちまうんだよぅ。

しょうちゃんに久しぶりに会いに行った。
やけにピカピカになって、フラッティーぶりが上がっていた
ツーに聞くところによると、最初のうちは玄関で大人しくしていたらしいが
日に日に一歩づつ家の中に入るようになって、今じゃツーの家の中を完全制覇したそうだ。
その家の中での一番のお気に入りは、温風ヒーターの目の前だそうだ。
温風ヒーターの入り口の向きを変えても、ノソノソと這って
ヤッパリ吹き出し口のまん前を、占領してしまうそうだ。
あんなに活動的だったしょうちゃん、今じゃ散歩に連れて行っても
オシッコとウンチの用事をさっさと済ませると、そくユーターンして家に帰りたがるそうだ。
すっかりとお座敷犬になリ下がってしまったようだ、困ったもんだヨしょうちゃん。
そんなしょうちゃんはフヌケた顔して、すっかりとヨソンチの犬になってしまっていた。
オラと同じで、順応性がいいってゆーか、すぐになびいてしまうってゆーか、図々しいやっちゃ。
それから一回尋ねて行ったが「お前が帰ったあと大変な事になるから
後は連れ戻す時にだけ来てくれ」ってツーに「もう来るな宣言」されてしまったので
これから4ヶ月間はしょうちゃん無しで、腑抜けたアパート生活者になったのだ。
が、オラは新しい趣味を見つけたので、しょうちゃんどころでは無いって感じである。
でもって、奴めがいなかったからメイッパイ4ヶ月間フルに
新しいアソビにドップシと浸かる事が出来たのである。
これはこれで思いっきり楽しかったな〜。
ヘドが出るほど遊びまくったな〜。
また来シーズンも仕事はほどほどにして
今度はしょうちゃんも誘って一緒にあそぼ〜っと。







朝遅くツーおじさんちの電話が鳴り、受話器を置いたツーおじさんが言った。
「しょう、オマエを迎いにくるってよ、アイツめ、内のかみさんがいない時を見はからたな」と言って
少し寂しそうな顔をしたツーおじさん。

今日は空からミゾレ雪がポタポタ落ちてヤケに薄暗い朝だしナンカやな感じがすんな〜。
しゃぁねぇからもう一回寝直すとするかと、オラお気に入りの
キティーちゃんの絵が付いた座布団を、おねぇちゃんの部屋から咥えて
玄関近くのフローリングのオラ専用の部屋に持ってきた。
そしたら、kiki覚えのあるカカトを引き摺るようにチンタラ歩く
ヒゲオヤジの足音が遠くから微かに聞こえてきた。
「その時歴史は動いた」じゃなく、ちょびっこウキウキとした気分になった、何でだろう〜?
その足音が玄関のドアーで止まりピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーンと
やけにうるさいくらいチャイムを鳴らすのはやっぱりヒゲオヤジしかいない。
ツーおじさんが居間から出てきて玄関の戸をあけたら、ヤッパリそこには
あいも変らず緑色の上下のイッチョラを着た、しょぼくれた中年ヒゲオヤジが立っていた。
オラがお家に帰る記念の日なんだからよ〜、緑色のヨレヨレのイッチョラはいい加減捨ててよ
福祉バンクでも行って小奇麗なやつを買ってもらって来いよなナ、まったく。

ツーおじさんが言った。
「しょうは玄関の外で聞きなれない足音がすればワンワンと吠えるし
家族の者が着た時も嬉しくて吠えるんだが、吠えもせずにパタパタと
落ち着かなくなったのは初めてだな、やっぱり飼い主は分かるんだな〜」と妙に感心していたが
「アッタリマエダのクラッカーだろ」と、オラはツーおじさんに一発吠えてやった。
さっそくヒゲオヤジに引き綱をセットされ、家から出て行こうとしたら
ツーんちのおねえちゃん二人が出てきて、笑いながら手を振って「又来てね〜」と
二人してきれいにハモッって言ってくれた、さすが姉妹だな
、ユニゾンだな〜。
オラを一番可愛がってくれていたツーんちのママは、お仕事で居なかった。
車の中でヒゲオヤジが話していたが、ヒゲオヤジに来た今年のツーの年賀状に
「しょうちゃん、ズーっと飼うわけにはいかないものでしょうか」って
ツーにかわってツーママが書いて来たそうだ。
だから、ツーママがここにいれば「連れて行かないで!しょちゃん」って
多分泣くんじゃね〜だろうかなと思った。

ツーおじさんはヒゲオヤジに帰り際バツ悪そうに言った「家の近くの白ラブと遊んでいる時
マウンティングに失敗してコケテしまい後ろ足の左間接を捻ってしまったようで
チョビッコ腫れてしまった」と申し訳なさそうにした。

オラは額から汗がタラ〜と流れてきそうになった。
だって、そんな詳しく要らない事まで言ったら、又ヒゲオヤジに馬鹿にされるじゃないか。
と思う暇もなくヒゲオヤジは言った。
「こらっ!しょうっ!エロイ事するからバチが当たったんだ、自業自得だバ〜カ
しゃあねえな〜、帰りの途中お医者さんの所に寄ってくか」と
ヒゲをハの字にして大きな声で笑った。ヤレヤレ。

オラの嫌いな病院へ行かなくちゃなんないのかなヤダナ〜。
でも、帰りしな病院の前を通ったら、定休日っていう札がぶら下がっていた。
オラは「も〜け」と思ったが、ヒゲオヤジは「明日ダナ」と高らかに宣告しやがった。

ようやくなつかしの我が家に入る路地に着いたら、そこにはコキタナイぼろ家はもう無く
やけにデカイが重厚感がまったく無い貧相な家が建っていた。
「お〜、結構な家を建てたじゃんじゃん、ヒゲオヤジにしては上出来じゃね〜か」と思ったが
どーやら、おかみさんが主導権を握って建てたようだ。
ヤッパリどこまでいっても主導権を握れ無い情けない奴だなヒゲオヤジ。
チョコっと小奇麗な玄関に入ってみようかなと思ったがヒゲオヤジは
「しょうはコッチ」ってムリクリ家の後ろの庭の方に引っ張られてしまった。



家の縁側の端を見てオラは一瞬、目が点になって言葉が出なかった。
「なんだよう、オラの家だけは、前のまんまのボロヤかい。」
「それにオラの運動場が狭くなってなってるじゃないか」って
ヒゲオヤジに目で訴えたが、シランプイのプイで無視されてちまった。
こーなったら動物虐待でイギリスのそっち方面の人に訴えてやると思った。
が、気のいいオラは我慢する事にしてやった。
ど〜だエライだろ俺様は、フッー。









子供が生まれたら犬を飼いなさい。
子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしょう。
子供が幼年期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう。
子供が少年期の時、子供の良き理解者となるでしょう。
そして子供が青年になった時、
自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう。






さち姫さんちに5ヶ月のフラコレ(フラットコーテッドレトリバーの略)がやってきた。


キャワいいパイちゃんはおとこのこだぞ。

名前は「パイ」ってゆうんだそうだ。
パイママが「やんちゃで困ったもんだ、ウンチもイッパイたれるし、、、、」
ってヒゲオヤジに嬉しそうに話していたら、ヒゲオヤジの奴が
オラの悪口をこれまた嬉しそうにしゃべり始めた。


ドーモドーモとこしがひくいのがオラだす。


その一、しょうはお風呂が嫌いだ。

「うちのショウは生まれてから一回しかシャワーをしたことがない。」
って、威張ってヒゲオヤジがパイママに話し始めた。
そんなの威張って話す事じゃねぇ〜つうのに。
その一回ってのも先日中オラを預かってもらっていたツーおじさんが
愛情込めて洗ってくれた一回ポッキリの事だしっ。



オらがホームステイしてたころの話だが
ツーおじさんがヒゲオヤジの店にアソビに来た時
ワインを飲みながらオラをキレイに洗ってくれた話をヒゲオヤジに話したら
ヒゲオヤジは「なんで洗ったんだよ〜」とツーおじさんに喰ってかかったらしい。
ツーおじさんは「抜け毛がひどくて、つい洗っちまったんだよ」と言った。
「そっかっ」といいながらヒゲオヤジは続けて言った
「普段は抜け毛がまったく無ぇフラコレなんだが
ようやくショウちゃんも大人の仲間入りって年なんだな〜
子供の毛が抜け出して、ようやく大人の毛に生え変わる時期が来たんだな」と。
「それにしてもショウは成長が遅いな」ってダブルオヤジはオラの悪口を言った。
ツーおじさんは「ところでオマエ今までしょうを洗ったことね〜のか」ってひげオヤジに聞いたら
「ショウは生まれてから一回も洗ってない!」って威張っていった。
そんなこと威張って言うことじゃね〜ぜ。
「真冬でも一週間に5回は川の中に入ってボール拾いさせてるから、お風呂は必要なし!
それと、なでても他の犬みたいに手が臭くなるほどの体臭はねえからな」
とキッパリと言い切った。
「真冬に川に突っ込んでも大丈夫なんか」とツーおじさんは心配そうに聞いた。
ヒゲオヤジは「胸からツララ垂らして走ってるけどなあ」とオラの気もしらねえで言った。
「それにフラコレは、アンダーヘアーが無いガードヘアーだけのシングルコートだから
ほこりも付きにくくて、いつもピカピカだし真冬に水の中に突っ込んで
ほったらかしでも勝手に乾くし手入れが楽だ」ってエラソーに言っていたが
「ろくさまブラッシングもしないくせによく言うわ」とオラは腹の中で思った。
ツーおじさんが「俺の家の中じゃ、いつも温風ヒーターのまん前に陣取って寝そべってるから
ちょっと勺に障ってヒーターの風向きを変えてやるんだが、いつの間にかヒーターのまん前を
毛が熱くなって触れないくらいになっても平気でベッタリと占領するんだぜ」と
「温風にあたっても臭わないから、いつもキレイに洗っていたんだな思った」
「それにしても臭わない犬種なんだな」って、ツーおじさんは独り言のように妙に感心していた。
「フラコレのカットってのも、ほとんど無く、やるとすれば耳の毛をジョギンと切って
オカッパにするくらいだから金がかからんでいい」って貧乏根性丸出しで言放ってたヒゲオヤジ。
「それにしても手入れなしで、いつもあんなにピカピカに黒光するものなのかね」と
ツーおじさんは酒の酔いも手伝ってかエラク感心していた。
つう事はだ、オラがお風呂が嫌いって事じゃなく
ただ単にヒゲオヤジがラクしてるって事じゃねえ〜か、まったく












今日はおっかさんに会える日だって、ヒゲオヤジが言っていたが本当だろうか。
言う事とやる事が一致しないので、家族の間ではで有名なヒゲオヤジのことだからな。
信用ならねえ〜。
同じ町内のパイちゃんもくるっていってたが、コレマタどーなんだろ。
寝ボスケのヒゲオヤジはいつもなら10時過ぎじゃなきゃ姿が見えないのに
今日は8時って驚きの早い時間に起きてきた。
それにヒゲオヤジはおそい昼飯を食うと、決まって2時間は昼寝をする。
静かでちょうど良い気温でオマケに暗くなる部屋に
寝てるもんだから、いつまでも寝てられるってヒゲオヤジは言い訳を言っていたが
ガキじゃねんだからよう、一日10時間も寝てんじゃねえよ。
とかいってるオラも一日15時間はねてるな。

ヒゲオヤジはお気に入りの帽子をかぶり、ご機嫌で車に乗り込んだ。
にゃにゃぷすっ。
オラと言えば、いつものヨソ行きの首輪は付けてもらえず普通の格好だ。
今日の主役はオラなんだからよう、少しはおめかしさしてくれよな〜
姉ちゃん達に笑われるじゃないかよう。
集合場所の北上川の河原に8時10分についた、モチロン誰もいない。
だって、9時集合だもんな。



いつのまにやら目ざといヒゲ親父は、河原の草むらの中からフリスビーを見つけてきた。
オラのこと、フラットコーテッドお拾い犬だなんて呼んでるくせに
そーゆーオヤジもお拾い屋じゃね〜か。
しょうがねえから、それで時間つぶしがてら遊んでやることにした。
そうこうしているうちに、見覚えのある、アニー姉ちゃんちのワゴン車が来た。
車から降りてきたアニー姉ちゃん相変わらずヤンチャで車から降りたとたん
すっ飛んで河原中を駆け回って竜巻を起こしていた。
アニーチャンが来たのを合図に、オリーブ母さんディジー姉ちゃん
テレビタレント犬のすたあアル兄貴、そしてビビ姉ちゃん、河原のボス トラ兄いが来て
今日のアイドル「パイ」君が来た。
真っ黒い犬ばかりが北上川の河原の一角を占領してしまい、見る人が見たら怖いと思ったかもしらん。
だって黒い色をしているってだけで、オラを怖がる人って結構いるもんな。


得体の知れねえゴムは食うなよ

シェリーちゃんも来るって聞いていたが、なかなか姿が見えないなって思いながら
みんなとカケッコしたり、川で泳いだりしているうちに、そろそろオヒラキの時間になってしまった。
「また来年もみんなそろって元気で会おうね」と言って河原を後にしたのだった。

家に帰ったら、おばあが「シェリーちゃんのパパから電話があって
ケイタイガなかなかつながらない」って電話が来たよとヒゲオヤジに言った。
ヒゲオヤジのケイタイはなかなか繋がらないので、コレマタ有名だ。
充電がメンドウッちいって、いつも電源を切ったまま車のダッシュボードにしまいっきりだ。
そんじゃケイタイの役目になってないと思うんだけど、、、、、、、、。
不携帯オヤジだ。
でも、ガールフレンドができればモチロン電源ONで、こまめに充電しているそうだ。
わかりやすいヤッチャ。

そんで、慌ててシェリーパパに電話したヒゲオヤジであった。
「函館のオカさんも連れて行ったのに居なかったね」とシェリーパパが言ったが
どーやら橋一本違いで、集合場所の一本上流の南大橋に行ったみたいだった。
わざわざ函館からオカさんも来ている事だし、会う事にしたヒゲオヤジ。
「ショウ!二次会だ」って言って、別の河原にまた出かけることになった。
こんどは中津川の瓦橋の約束らしい、間違わないで行けよ。

営林署の駐車場に車を置いて、河原の散歩道をヒゲオヤジと下流方面へと歩いていったら
シェリーちゃんが川の中で思いっきりハジケまくってる姿が見えてきた。
久しぶりに会うシェリーちゃん、ダイエット中とかで心なしかスマートになっていた。
そんなネズミ花火なシェリーちゃんにはチョット付いて行けねェ〜
だってオラはパーティー疲れの後なのだから。














北ペットクリニックの先生は「足首捻挫から来る腫れだ」って
いっていたのに、だんだんオラの左後ろアシがが
腫れて重たくなってきたよ〜。
ヒゲオヤジも「おかしいなぁ?病院に行って注射して
薬をもらってるのに、しょうのアシぜんぜんよくなんね〜な」と
首をかしげていた。


ピンクの矢印部分ガ問題のハレ

だんだん大きくなってきて不安になったヒゲオヤジ。
ブツブツ言いながら
難しい顔をして、今度は岩手大学農獣医学部の
動物病院に連れて行かれたオラ。
ここはいろんな機械があって、いろんな人がいっぱいいて
いろんな事をいっぱいされた。
帰り間際、女の先生がヒゲオヤジに「今日は外科担当の先生がいないので
カカトを開くわけにいかないので明日の午後に又来てください」
「明日切開して見ないと何とも言えないのですが、レントゲン写真から見ると
骨肉種独特のサンバーストという骨膜内に見られる陰影が写っているし
ブラシ状放射の陰影が骨膜上に写っているので骨肉種の疑いが濃厚です」と言った。
初めて聞いたぞ、オラの腫れてるところは膝カブじゃなかったんだな
かかとだってよカカト。
それに骨肉種って捻挫じゃね〜よな、ひょっとしてリンパ腺関係の癌とかと違うか?
だったらオラは、そう遠くない日に死んじまうのかよ。
やだよぅ〜、腹いっぱい飯喰いて〜よ〜、河原で遊びたいよ〜。
100歳まで生きたいよ〜。
と考えたら、体中に寒気がさして震えが止まらなくなってしまった。
「それと手術中に吐くと困りますから、朝ご飯は抜いて来て下さい。」と女先生は言った。
「オヤジ頼むよ〜」



ピンクの矢印が示す白いモヤガ飛んでる状態がサンバースト
青い矢印がギザギザのブラシ状放射の陰影。


オラは朝早くから腹が減ってグーグー鳴ってる空きっぱら腹を抱えて

「飯よこせっ!」て怒鳴りまくったが無視され
又オヤジのボコボコの車に乗せられて大学病院へと連れて行かれた。
今日はいろんな所にブツブツと注射を打たれた。
しばらくしたらチョットHiな気分になっちまった。
フラフラしてたら、ヒゲオヤジが若い女先生にちょっかいだしはじめた。
なと思ったらそーじゃなく、骨肉種の事をやたらと聞きだしていた。
「もっと早くにここに連れて来たら完治できたのでしょうか?」とヒゲオヤジ。
「骨肉種の場合、たとえレントゲンで判別できないくらいの小さなものでも
出来てしまったら、他の癌のようにリンパ腺を伝わって
転移する病気じゃないものなので広がりが早いんです」
「血旋性のいわゆる血管を通って血と一緒に広がっていく病気なので
いくら早期発見しても、骨肉種の細胞が体中に回ってしまっているので
完治はほとんど期待できないでしょうね」
「それにしょうちゃんの場合、二歳という若さなので
とてつもない速さで伝播してくので、早期発見に努めても防ぎようがないですね」と言った。
「それにレトリバー種は先天的に癌の発生率が高い犬種ですからね」とも若い女先生は言っていた。
今度は男先生がやって来て「今日は腫れている部分を切開して中の組織を少し取り出し
プレパラートにサンプリングして、ホントに骨肉種かどうか調べます」と言った。
オラのアシに穴をあけてニッパーみたいのやらハサミみたいので
切り刻むんだな、ホントやだな〜、痛いんだろうな〜、オラ家に帰りてえ〜な〜。


大学病院の庭先に生えていた珍しいキノコ 「そんなのほっとけっちゅうの!」

「そーいや、ここの待合室にあった世界の犬種って本にも
フラットコーテッドレトリバーは使役犬として、猟犬としても又家庭犬としても
とても優秀な犬なのだが、ただ一つ骨肉種の発生率が異常に高い犬種なのが残念だ」
と書いてあったな、とヒゲオヤジはつぶやいた。

なんかいい気分でへらへらしてたら、ヒゲオヤジの顔がかすんで見えて来た。
と思ったら、、、、、、、、あとは分かりましぇ〜ん。
でも手術中ヒゲオヤジの臭いだけは、ず〜っとそばで感じていた。

遠くの方で「しょう頑張ったな」ってヒゲオヤジの声がするなと思ったら
左後ろ足全体が張り裂けそうなそうな痛みでいっぱいで
オラは思わず涙を流しながら「ひいっーひいっー」と泣いてしまった。
そしたらオトコ先生が「モルヒネ投与30、そしてICUに移送」とか言って
また注射を打たれ、記憶が遠のいてしまい何がなんだか分からなくなってしまった。
夜中に目が覚めたが、相変わらず後ろ左足はギンギンと張り裂けるように痛い。
でも、さっきほどじゃ〜ないな。
周りを見渡してみるとオラのボロ小屋じゃなく、大きいぃガラスケースのなかみたいだった。
オラは痛みよりも家族のもんが誰一人としていない方が不安になって悲しくなって
「ホントにヒゲオヤジが迎えに来てくれるのだろうか」と思ってまた泣いてしまった、、、、、。
その度に何回か注射を打たれ、そしてオラは天国に落ちたのだった。

次の日の午後、ヒゲオヤジの地獄のように低〜い「しょう大丈夫か?」の声に起こされたが
体がいう事きかなくて、起き上がろうとしても起き上がれなかった。
でも、ヒゲオヤジの臭いを嗅いだら、いつもなら「オヤジ臭いからアッチ行けよ」って思うが
今日は何だかとっても安心する匂いダナと思った。
首が持ち上がるまで、ヒゲオヤジのひざ枕でトローンと2時間ばかし寝た。
その間中ヒゲオヤジは付き添ってくれていた若いおんな先生に
この病気の事をしつこく聞いていた。
結果「この病気の最後の手段はアシを切り落すしかない」みたいだったが
オラの腫れた足から切り取った細胞片やら骨細胞のプレパラート検査の
結果が出るまでは確定ではないようだ。
オラはやだよう3本足なんて、河原でボールアソビが出来なくなるじゃね〜か。
山で獲物探しごっこができなくなるじゃね〜か。
川の中に入って泳ぎながらペットボトル拾いが出来なくなるじゃね〜かよ。
悪い脚を切り落しても、そう長くは生きられそうもないみたいだしさ。
いっそのことひとおもいに、、、、、、、、、、、。























次の日、ヒゲオヤジのなかなか鳴らない携帯ガけたたましく鳴った。
それはオラのアシを切った恐怖の男先生からの、細胞検査結果報告だった。
やっぱしクロ!なそうだ。
断脚の予定日は三日後の月曜日9時と決まったそうだ。
オラはとってもいや〜な気分ガいっぱいで果てしなく落ち込んでしまった。
オラは生きててもしょうがねぇ〜や、痛い思いするなら死んだ方がましだと思った。
ヒゲオヤジが「3本足になってもだいじょうぶだ。後ろ足は前足に比べて
歩く、走る、泳ぐにしても前足ほど重要じゃないので
少しスピードが落ちるくらいだからなんともないとおんな先生が言ってたぞ」
と、人の気も知らないで、相変わらずノーテンキな事を言っていた。

今日の朝ご飯まだかな〜、やけに遅いな〜とおもったら恐怖の月曜日じゃねぇか。
今日は朝一番で手術をすると聞いてたが、ヒゲオヤジは相変わらず
ノタノタとしてなかなか家から出てこない。
早く病院に行く気はないから、べつにいいけどさッ。
ようやく家から出て来たヒゲオヤジ、心なしかアイツも何時もの馬鹿さがない。
二人してオモ〜イ空気を車の中に漂わせながら大学病院へと車を走らせたのであった。



今日も手術承諾書っていう、万が一手術中にオラが死んだとしても
文句は言わねェよっていう
誓約書と入院依頼書の2通にヒゲオヤジがサインを
している間に
、オラはまた注射を打たれまくって気を失った。
手術中ヒゲオヤジはずうずうしくも前と同じように
オラのアシが無くなるのを観つづけていたそうだ。
今日は7人の獣医さんがオラの周りに集まって手術に取り掛かったそうだ。
客員獣医師がもう一人、ヒゲオヤジと一緒に見学していたそうだが
これ幸いとばかりにヒゲオヤジは客員先生に
オラの手術の解説をしてもらっていたそうだ。



最初はデザインナイフのような替え刃式のメスで
オラのキレイさっぱりと毛を刈られてしまった後ろ足の皮に
切れ目を入れて、カンシやフォーセップスを使って大腿骨の間接部の肉を広げながら
電気ハサミみたいなもので、後ろ足にくっついている6本の筋肉を
大腿骨の間接部分から切り離し、血管と神経も切り離すけっこう大変な手術であった。
細かい血管は電気ハサミで焼きながら切り離し、太い血管は糸で2ヶ所縛り
その縛った間を切り離すのであった。
神経は術中術後の痛みを軽減するために麻酔薬を打ちながら切り離すのであった。
一番太いのが大静脈血管で、一番太い神経が坐骨神経なそうだ。
モチロンこの事はヒゲオヤジが知る訳けがない、客員先生から教えてもらったのだ。


左後ろに帽子ガチョット見えるのが富沢先生、黄金の人差し指

手術中ほとんど血が出なかったそうだ。
ヒゲオヤジは不思議そうに客員先生に尋ねたら
手術をしている富沢先生の右人差し指は芸術的な事で有名なそうで
血が出ない手術は、それだけ腕が良いという証しなそうだ。
イヨイヨ大腿骨付け根の間接を切り離す事になって、ハサミを入れたら
ねばねばの液体が出て来た。
もちろんヒゲオヤジは客員先生に聞いた「あのネバネバはなんですか」と
「あれは関節の中に入っている潤滑油のようなもので間接液って言います」と。
そして最後に脚の内側に残った大きな筋肉を切り離して グッバーイ オラの後ろ足。
その左後ろ足は、病理でどのくらい骨肉種が進行しているか検査するそうだ。
ちなみにこれ一本で2.4kgあったそうだ。
オラの体重が手術前が20.8kgだから、これを差し引くと18.4kgと
ますますヤセッコのガリガリ犬になってしまった。
ヒゲオヤジは切り離されたオラの脚を見て「スモークハムに使う豚のシンタマ
にヨーク似てるなぁ、美味しそうだな〜」と思ったそうだ。
オマエはレクター博士か!?このハンニバルオヤジめが!

手術口を丹念に縫い合わせて、ひとまず成功なそうだ。
朝の10時から始まった手術は、午後の1時半までの計3時間半の大手術だった。
富沢先生をはじめスタッフの皆さんご苦労サンでやんした。
ヒゲオヤジ、あんたは相変わらず、もの好きだねェ〜。
と言う事で「星になった、しょうちゃんの左うしろあし






























肉種とは骨に出来る場合と、骨の周囲に出来る場合があり
しょうちゃんの場合は骨の周囲(骨膜)に出来た腫瘍(ガン組織)であった。

今思えば、去年の中津川の河原の一回目の草刈りが終わってブタクサが生えそろった頃
そーだな9月中旬頃かな、川の中のボールを拾って帰ってくる途中
なんかの拍子で「きゃいーん」と鳴いて「おやっ!」と思ったのですが
それ以後何ともなかったので、河原の刈り取った葦の切り口に
足の指の間かどっかに刺さったのかな、ともその時は思いました。
その年の暮れ、河原の先輩カールおじさんにじゃれてマウンティングした時に
「きゃいーん」と鳴いた事もあって、その時は足首でも軽くひねったのかなと思いました。
でも今思うと、最初の「きゃいーん」の時点で、骨肉種は始まって来たのかもしれません。
そして肉腫となって腫れてきたのが2月のはじめです。

10月から始まった菊池家の新築工事のため、親友のところに預かってもらったしょうちゃん。
何時もお母さんが、お昼過ぎに散歩に連れて行くのだそうです。
その散歩の途中でよく出会うメスのラブラドール犬と仲良しになったそうです。
その日もジャレてマウンティングした途端「きゃいーん」だったそうで
凍り道で滑って捻挫したんだなと思ったそうです。
家に帰ってもビッコを引いて痛がっていたそうで、湿布して様子を見てたそうですが
ハレが出てきたので、ペットクリニックに連れて行ったところ
捻挫ということで、飲み薬をもらい飲ませていたら見る見るうちに
5日後にはハレが引いたそうです。
その時もらった薬が、後で分かったのですが、大学病院の先生の説明では
単なる「痛み止め」の薬だったのでした。

十数日たって、又腫れだしたしょうちゃんを引き取って家につれて帰り
ペットクリニックに連れて行ったのですが、先生は「これで固まったな」ということでした。
それは捻挫がコブ状になって固まったという意味です。
でもチョットヘンだなとは思いましたがね。
7月の終わりまでは、コブが大きくならないままだったし、クリニックの先生の言葉もあったので
結構本気モードで訓練したり、河原で遊ばせても痛がりもせずに遊んでました。
もちろんこの骨肉種の代表的な症状としてはビッコ引きと、かなりの痛みを伴うはずだと
大学病院の先生に、そう説明を受けましたが、しょうちゃんの場合
この時点まではハードに遊んでいても全然痛がらないのでした。

結局7月終わりころから例の肉腫が大きくなり始めたので、またペットクリニックに
連れて行き見てもらっても「捻挫」という事で、注射と飲み薬の併用を続けるのみでした。
それでも腫れが引けないので、動物薬品を取り扱ってる薬局に行って
相談したところ「これがいんじゃないか」ということで、動物用医薬品 局所消炎剤 
「カンメルパスタ」という薬を買って塗ってあげたんですが、これでもぜんぜん良くならないので
病院を替えようと考えたところ「岩手大学の家畜病院」って頭に浮かんだわけです。

それで、岩手大学獣医学部の家畜病院に連れて行ったんですが
あいにくと、その日は内科の先生担当の日でした。
このような外的症状の場合、内科専門の獣医さんじゃなかなか分からないんじゃないかな
とも思たんですが、さすが岩手県で一番古く、そして権威のある病院です。
佐藤内科先生は一発でしょうちゃんの脚を見て喝破しました。
その所見はズバリ「骨肉種」でした。
そして、レントゲン写真もとったのですが、骨肉種特有の影が写っていたのでした。
又肺にも転移しているような影もあるとの事でした。

次の日は外科の先生が担当日だったので、再度診ていただきましたが
やはり絶望的にクロでした。
そして次の日、この腫瘍病巣部から腫瘍組織を切り取る手術になりました。
これを生検と言うんだそうです。
この組織をプレパラーティングして顕微鏡で判断するそうです。

素人的に考えると腫瘍患部に注射を打って中の肉液を吸い出して調べれば
何も患部を切り刻まなくても分かりそうなものですけど
最初にかかっていたぺットクリニックでは、この方法で肉液と血液を採取して
医療検査機関に検査に出したのですが、この方法では結局分からず
シロということでかたずけられてしまい、発見が大幅に遅れてしまったのです。
大学病院の先生に聞いてみたら、患部を切り開き腫瘍細胞を採取しなきゃ
骨肉種とは断定出来ないものなそうです。

痛さで言えば最上級に位置するガン、その骨肉種患部を切り開いて
組織を取るとなると、麻酔から覚めた後の術後の痛みは
想像を絶するものがあります。
実際、麻酔が切れそうになった時、あまりの痛さにしょうちゃんは暴れて鳴きそして
涙を流しましたが、犬が涙を流して鳴くのは初めて見ました。
人間の場合は、患部を切り開き腫瘍組織を瞬間冷凍をかけて
それをスライスし、顕微鏡で判断ながら手術を進めていくそうで
クロの場合は、そのまま除去手術に進むそうで、手術は一回ですみます。
しょうちゃんの場合いったん病理に、この組織細胞を送って確認作業の後
骨肉種と確定してから、日取りを決めての手術となりました。
つまり患部サンプル切り取り手術をしてさらに、断脚手術となる分けで
続けざまに2回の手術は、体力的にも精神的にも可哀想といえば可哀想な事です。
というわけで、オラの教訓として、町医者の場合ですが、素人考えでも先生の言ってる事に
チョットでも?マークが付くようでしたら、さっさと大学動物病院に行った方が
それ相当の専門医がいるので安心して任せられます。
マア、この事は人間にも言えることですよね。

外科の富沢先生イワク、膨らんだ部分だけ切断でもイイのだけれども
もし骨肉腫瘍組織が切り取った部分まで広がっている場合は
再再々度手術と言う事になり、これでは想像を絶する負担で
生死を左右するかもしれない事になるので大幅に切断という事でした。
人間のようにプレパラーティングしながら切断個所判断を決める手術なら
一回の手術で収まるとは思いますが、動物病院にはそこまでの設備はないので
犬猫の場合、患部とその周辺を大幅に切断するのが常套手段わけで
うちのしょうちゃんの場合も腰の付け根からの断脚処置になったそうです。

でも、これで一安心してはいけません。
前にも書いてましたが犬の場合、人間と違って骨肉種を発見した時点で
遠隔部に広がっている可能性が大で、ほとんどの場合肺に転移してるそうです。
もちろん胸部のレントゲンも撮って調べはしましたが、この映像を見る限りでは
転移は確認できないのでシロって事にはなりましたが、5mm以下の腫瘍は
レントゲン写真では確認できないって事なので
今のところは限りなくクロに近いシロなのだそうです

断脚手術後は、どーするのかっていうことで、一週間後に術後経過状態を
診断しながら、獣医師と相談したのではありますが、骨肉腫の場合は転移していると
考えなければならないので、これ以上転移部分が広がらないように
抗がん剤の投与しなければならないそうだ。
これには上限がなく人間並みの費用が掛かるそうだ。
転移した時の外科手術は肺なので手の施しようは無いそうだ。

では、しょうちゃんの場合はと言う事になったのだが、たまたま最初に診てくれた
内科の佐藤先生が、犬猫で試したい薬があって、今までの例では転移した場合でも
それ以上の拡大は無いし、かえって減少もしくは消滅してしまったという例もあるそうです。
転移してない状態では、再発生の確率はとても少ないものになるそうだ。
もちろん貧乏な菊池家は、高価な抗がん剤を買える経済力は無いので
その薬の臨床体となる事にして、しょうちゃんのお世話をいただくことにした。
この薬、とっても臭いモノで「ワキガ+口臭+足の匂い=キングオブザくっさ〜い」 です。
手に付いたもんなら、抜けるのにマル一日掛かります。
でも、よくこの匂いを嗅ぐと、山の匂いっていうかキノコの匂いに近いものがあります。
これをしょうちゃんの大好きなパンに塗ってあげますが、食べた後のしょうちゃんお口は
モチ「くっさぁー」で、アッチ行けシィシィッてなもんです。

それから2週間経って切り取った大腿部付け根の抜糸です。
これは全然痛がらずにあっという間におわりました。
骨肉種の転移状態を調べる為に、胸部のレントゲン写真を再度撮ったのですが
それによる所見は、肋骨一部に転移したような丸い影が二つ映っており
これが骨肉腫とは断定できないが、90%そーであろうとの事でした。
又肺の影は前と比べても大きくはなっておらず、進行がこれで止まってくれればいいなと言う見解でした。
こうなったら、佐藤先生から戴いている例の薬で骨肉腫と徹底抗戦だなと思いました。

あとは、一日でもいいから、痛がらないで生き延びて欲しいなという思いで一杯です。
傷口がスッカリ良くなったら4本足の時と同じように、3本足で大好きな散歩と
川で思いっきり好きなように泳がせてすごしたい。
そ〜遠くない、その日に「オヤジ楽しかったぜ」という、おみやげを持って行かせたいなと思ってます。



















目が覚めたらズッキンズッキンしてた後ろ足が全然痛くない。
やったー!手術成功でコブが取れて治っちまったんだな。
うれしくて、うれしくてヒゲオヤジが居なくても、ちっとも寂しくない。
しばらくしたら麻酔注射も抜けてきて体が軽くなった。
よしっ!と掛け声をかけて立ち上がろうと後ろ足に力を入れたら
カックン左によろけてしまった。
もう一度立ち上がろうとしたら又こけてしまった。
あれェ〜と後ろを振り返ったら、オラの後ろ足が一本無くなっていた。
どーりで力が入らなかったのだな。
やっぱり、断脚ってのはホントだったんだな。
オラは覚悟していたから、そんなに驚きはしない。
が、やっぱり、すこしばかり落ち込んでしまった。
でも骨の芯からくる猛烈な痛みを抱えているよりは
こっちの方がとっても楽だ。
チョット歩くにはコツがいるが、痛い足をかばいながら歩くよりは
ず〜っとずーっと簡単に歩ける。
早くヒゲオヤジ迎えに来てくれないかな〜。
と思ったら、迎えにくる約束の20分前に来た。
めずらしい事もあったもんだ!
だって何時もアイツは盛岡時間で動いてるからな。
「しょう!げんきそうじゃねェ〜か、もっと落ち込んで沈んでるかと思ったぞ」
と、オラの無くなった足の付け根を撫でまわした。
オイオイ、まだ傷口がふさがっちゃ−いねんだからな
そー気安く触ってくれるなよ。
付き添ってくれた若い男先生も「こんなに元気になると思いませんでした
後ろ足が腫れていた時は、よっぽど痛かったんでしょうね」と言った。
だから前々からいってるじゃね〜か、痛いって。
富沢先生も来て、「こんなに元気なったんだから、断脚して正解
手術は大成功でしょう」と太鼓判を押してくれた。




帰り際、病院の玄関を出たところでヒゲオヤジはボソッと言った。
「しょうの後ろ足も軽くなったが、オラの財布も軽くなっちまったぜ」と。






























どんなもんだい。
一本ぐらい足が無くても、誰にも負けね〜ゾ。









10月11日しょうちゃんの半回祝いを兼ねて北上川の川原で
千葉からやって来るブロンコ君歓迎のフラットパーティーが開かれる
カウントダウンが始まった10月5日、違う意味でのカウントダウンも始まっていた。

いつもなら、「早く行こうぜ川か山へヨウ」と、小うるさいしょうちゃんだが
この日を境に散歩に行こうと、言わなくなってしまった。
試しに「行くぞ!しょう」と掛け声をかけたら
スクッと立ち上がり尻尾を弱々しく振った。
引き綱は付けずに大好きな中津川までゆっくりと向かった。
川原に着くとお約束のウンチタイム。
いつもなら黄金色の立派なウンチを垂れるのだが
今日のウンチは真っ黒のウンチになっていた。
ガン細胞が胃壁を破り始めた証拠、血便である。

それでも用を足したしょうちゃんは、川にボールを早く投げろと催促した。
今日が川で遊べる最後の日かもしれないなと思いつつ
川岸の浅い所へポチャンとボールを投げた。
しょうちゃんは川原の石によろめきながも、らうれしそうにボールをくわえ
持ってきて、もっと遠くへ投げろって顔をした。
そりゃ無理ってもんだ。
ひとしきり遊んだところで「しょう、帰るぞ」って声をかけたら
嫌がりもせずに付いてきた。
いつもなら「もうチョット遊んでいこうぜ」と、抵抗するはずなんだがなあ.....。
この日を境に呼吸にゼイゼイという音が混じるようになってきた。
そして、だんだん立ち上がる回数が減ってきた。

10月9日、「しょうが変だよ」って言うおばあちゃんの声で起こされた。
庭に行ってみると、口から細かい泡のようなヨダレを流し苦しそうにしていた。
そんなしょうちゃんを車に乗せ、おばあちゃんとかみさんに
「頼んでくるよ」と言って、大学病院へと急いだ。
大学病院では朝のミーティーングの最中らしかったが
事の次第を話したら、スタッフ全員が救急体制をしいて
しょうちゃんを車から担架で運び出して救急室へと運んだ。



ピンクの矢印のモヤがガン細胞の広がった陰影
青い矢印の丸い陰影もガン細胞


診断の結果、肺は1/5しか使われていないほどガン細胞が増殖しまくっていた。
女先生は言った「機械を使っての延命処置か、薬による安楽死かの選択になります」と。
オラは迷うことなく「安楽死」を頼んだ。
その時しょうちゃんはオラの目を見つめて、何か言ったような気がした。
けど、オラは目が曇ってしまい、何が何だか分からなくなってしまった。

獣医師助手がしょうちゃんの左足首の毛を剃って、注射針を血管に刺した。
女先生が注射をセットし「すぐに楽になれるよ」と言った。
オラの手の平の中でしょうちゃんは穏やかな眼をして
何かを言っていたが、オラは「うん、うん」と言うほかなかった。
薬を押し込み始めたその時、しょうちゃんの深いガーネット色のひとみが
漆黒の夜空に咲く一発の花火のようにパッと開いた。
そして苦しそうな息も聞こえなくなった。
微かな顔の温もりだけが両手の手の平に残った。

これまでの治療の中で、スタッフの方々は記録をとったり写真撮影など
忙しそうにしていたので聞いてみたら、学会に発表するとの事だったので
これからの愛犬家やレトリバー、それもフラット達にいくらかでも役に立てれば思い
しょうちゃんの遺体を献体し、役立ててもらう事にした。

最後に女先生にしつこく聞いたら、普通はALP(アルカリフォスファターゼ)
の値
(ガン細胞か、他の臓器が血中に出す酵素の値)は
健康体で200くらいなのだが、しょうちゃんの場合は、脚を切る前は662あって
所見も合わせて骨のガン、骨肉腫と断定できたそうだ。
でも断脚した後は207まで落ちたので一安心したそうだ。
でも、こんなに早く病状が悪化するとは、思っても見なかったそうだ。

ってことは、ペットクリニックでの血液検査の段階で分かりそうなものじゃないかと
思ったが、もはや怒る気も起きない。

これを読んでいる愛犬家のみなさん、この事を参考にしてください。

帰り間際スタッフの一人が10月22日に、しょうちゃんの遺骨が入るであろう
動物慰霊碑の前で合同慰霊祭が執り行なわれる事を知らせてくれた。

帰りの車の中でオラは思った。
ほぼ骨肉腫と分かった段階で薬殺をお願いしていれば
こんなに何回も苦しまずに済んだはずだし
でも、断脚して一類の望みに託すのが良かったのか
オラには未だに分からない。

新しい日を迎えて起きてみると、カラカラと空回りしている朝がある。
そんな日曜日の朝、岩山を散歩していたら
オラの脇をすり抜け振り向いて「ヒゲオヤジ、もういいよ、じゃあな」って言って
紅葉が始まりかけた林の向こうに、しょうちゃんは駆けて行った。


10月22日オラはけじめをつけに慰霊祭に向かった。


おわり。


ここからダサ字フォントをゲットして「おらはしょうちゃんである」を見ておくれ。