県立鎌倉高校サッカー部
<コラム> 『雑感@』 大事なところで力を発揮する。力が100なのに、大事なゲームだけ120の力がいつも出るなんて都合のいい話はない。100を110に、というようにベースアップをしていくことが必要。グッと伸びたかなという選手でも大事なところで力が出てこないことも多い。三歩進んで二歩下がる。いろいろな場面を経験させること。それが公式戦であるし、プレッシャーのかかったの練習。 自分の経験でいうと、力が出せないと言う経験はもちろんある。 自身の高校最後のゲームは、体が固まったようなゲームだった。台風のような天気の中、時間だけが過ぎていき、自身の無力さを感じた。朝起きて、今日やるの?!と一瞬思った。それで終わり。 インターハイの決定戦までいって負けたことで、短期間で沈んだ気持ちのリハビリができず、選手権にはいったことも影響した。勝って当たり前の状態で高校サッカーが突然終わった。 大学でも体の固まるようなゲームを経験した。 大学2年に、西が丘でやった1部2部入れ替え戦。私は2年でリーグ戦で活躍し、ベストイレブンにも選ばれていた。自分の成長が人に評価されだして、変なプレッシャー、自分が活躍しなければ、という勘違いがあった。相手は順天堂大。大学界のスターでのちに代表のナンバー10を背負う名波とマッチアップできる楽しみもあった。高校時代、清水商と練習試合ですげー左足の選手がいるなと、その数年後に同じ舞台に立てるという浮わついたところもあったと思う。この試合は体が固まった。周りの仲間がスイスイプレーしているのに、中盤で仕事ができない自分の力のなさを感じた。 前半1点、後半1点奪い、2対0で青学が勝っていたが、終盤最後にセットプレーから2失点。結局、引き分けで、1部昇格はならなかった。サッカーの2対0の怖さも思い知ったゲームになった。 ゲーム終盤、中盤でスライディングタックルをかましてくる名波は、足もつっていたと思う。今でもその映像はスローモーションのように頭に残る。スライディングをよけようと足を動かす、滑ってきた名波の顔が目に入った瞬間、ハッとした。当時、大学界のスター。こんな選手がギリギリで望んでいるのに、自分は本当の闘うメンタルになっていなかった。自分が逆にやらないといけないのに。チームメイトに申し訳なくて、センター街で涙を流したな。 どこが本当の目標になっているか?達成に向けて本気で行動しているか。舞台の上で闘う準備か出来ているか。そのプレッシャーの中で闘った経験があるか。なくても練習、ゲームの中で経験が出来ているか。 のちに名波が出した本の中で、そのゲームについて記述があった。負けたら大学をやめ、Jに行くつもりだったと。 私とは試合にのぞむ覚悟が違う。私は準備ができていなかった。 元々、硬くなるタイプではないがそれからは、あまり力を出せないといったことがなくなった。心のコントロールをして、試合に入れるようになった。気負い、緊張、楽しみ、不安、おごり…。勝ち負けより、キチッと自分の力を出すこと。そのための気持ちのコントロール。
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