県立鎌倉高校サッカー部


<コラム>

 『日本VSトーゴ』

 

おおっ、スゲーいいパス出したな、そこだよな、改善すべき世界との違いは。最近サッカーを見る時間がなかったが、久しぶりに録画していたトーゴ戦のビデオを見て、その場面では少し驚きがあった。いまのは誰だろうと何度も再生して確認すると、それは前線に上がっていた闘莉王だった。

以前、岡田監督がこんな発言をしていた。『日本人の中距離のパスは世界に比して、精度が低くブレる』と。

おー、なるほどなるほど、それよくわかるよ。ロングインサイドパスとでも言おうか。。

もう10年も前だが、オランダ人と中距離(30mぐらいか)でインサイドパスを練習していた時に体験したのだが、彼がキックすると芝生の上をスーッと滑ってきて、足下にきてもスピードが落ちずに私の足に食い込んでくる。彼は身長190センチぐらいあっただろうか、欧米人らしく足が長く(私の腰ぐらいまであっただろうか)振り子のように長い足を使い、“ビシッー”とボールをたたく。 
対して、私のキックは、彼の足下にいくにつれて、スピードが落ちていく。スピードを上げようと力を入れるほどインにかかり、左にそれていく。ボウリングみたいで情けないキックだった。短い距離のパスでは気づかないキックの質の違い。
先日のオランダ戦では、キックの質という視点でも見ていたが、やはりオランダの中距離パスは速く、そこから攻撃のスピードが上がっていく。守備者はパスが速いことでタイミングがズレて対応が遅れていく。
オランダのスリートップでワイドにボールを動かしていく戦術が伝統となっているのも、正確で速いロングインサイドパスが蹴れて、サイドで優位に立てるということも関係しているだろう。

トーゴ戦での岡崎の2点目。センターにいた闘莉王が見事なロングインサイドパスをペナルティエリアとタッチラインの間にいた中村ケンゴに決めた。パスを受けた中村は低いセンタリングを入れ、中央で岡崎がヒールのような形で合わせゴールした。
闘莉王のサイドへのパスが速かったため、センターバックは岡崎のマークに遅れたわけだ。(後ろにいた森本も含め2人フリー)
やれ、バックラインとキーパーの間へ低いボールを入れて練習通りだなんてマスコミは騒いでいたが、その前のパスがよかったからこそ、バックラインとGKの間のスペースが使えたわけだ。
そういう意味では、日本人はもっとインサイドで速く正確に蹴れる距離を伸ばしていかないと。
そのために、蹴る際の体重移動や必要となる筋力、意識、基本練習等、考えていくべき。はたまた、日本人の身体的な特徴において難しいというのであれば、違う方法が必要なのか。

どちらにしても中距離パスのスピードと精度は、今後の日本サッカーにおいては意識して取り組まないと、なかなか改善できない課題になってしまう気がする。